オルゴール音質改善プロジェクト(第一回)

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2003.1.12 第一回 ネジ止め。

このプロジェクトではみなさんがお手持ちのカード式オルゴール(一般に「オルガニート」という名前で販売されていたと思います。)をより一層いい音で あるいはお好みの音に改良して使っていきましょう。 という趣旨で展開していこうと思います。

はじめに

 オルゴールってお店で買っただけで なにか“いじって”みようなんて気になりますか? おそらく そんな気にはなったことないんではないでしょうか。 えっ いじれるの?? なんて思った方もいらっしゃるでしょうね。 でも オルゴールって自分でいじってみると案外面白いものなんです。 自分だけの音を造り込んでいくといいますか、 自分だけの世界を創っていくといいますか....  まあ 能書きはともかくやっていきましょうよ。 少なくともカード式オルゴール(オルガニート)を持って、しかもこのHPで編曲などに興味をもたれていらっしゃる方ならだれでもできます。 難しいことはしませんから。(私もできません...)

手持ちのオルゴールを眺めてください。

 まずは手持ちのオルゴール(オルガニート)を眺めてください。 どんな形をしてますか?

 筆者の持っているのは写真のようなものです。 主に左端のを使っています。 コンパクトで持ち歩きに便利ですので デモなどには必ず持っていきます。(重宝してます。) 余談かもしれません(続編の記事で書きます)が箱はなるべく大きな方がいいですね。 見てくれがどうという意味ではなく、やはり響きが良くなる傾向にあります。

オルゴールの本体を見てみましょう。

 それでは手持ちのオルゴールのフタをあけるとかしてみてください。 中にオルゴールの本体(メカ)が入っているでしょう。

黒いプラスチックのバーがついている灰色のやつです。(正直あまり色気がないですね) これが世界的に見ても名品と筆者が評価するメカでして、三協精機が作っているTDM202という機種です。 メカの動作原理などはこちらをごらんいただくとして (本体を改造していく段階で いづれまた詳しく解説します) まず見ていただきたいのはメカ本体を箱に固定している“ネジ”なんです。 
 試しにメカを取り外しできる方は外して鳴らしてみていただきたいのですが メカ単体では“あれ?”という程貧弱な音しかしません。 この辺りはオルゴール作りの体験工房などで経験のある方も多いのではと思いますが、メカ単体はあくまで発音体の本体であって これ自体に音を豊かに大きく増幅する機能はないんですね。 もうお気付きかと思いますが“箱”がこの増幅器の役割をはたしているわけです。

ネジ止めの重要性。

 ですから メカと箱をつなぐネジこそが知る人ぞ知るといいますか 大切なものなんです。 これが貧弱ですと せっかくのメカのいい音を箱に伝えることができずに損することになるんですね。
 裏から見てみましょう。

 なんだかひっくり返されたカメのようで情けない写真ですが 裏からみると4本のネジでメカが固定されているのが判るでしょう。 こうやって裏からしっかりとネジで固定されているものをお持ちならまず正解でしょう。(いい買い物をしましたね という意味) 逆に「あれっ? 裏にネジがない???」という方は うーんいい買い物をしていないかもしれません。(あくまで かも ですが) その場合は表側から小さな木ネジで固定されているかもしれません。 もう一度表からみてみましょう。

 写真のように表から小さな木ネジ等で固定されているものがあります。 これは正直あまりいいこととは思いません。 といいますのは このメカの振動エネルギーは相当に大きいのでこのような貧弱な力で箱にとめても効率的に振動を箱に伝えるのはうまくいかないからです。(これはあくまで筆者の私見ですのであしからず:決して市販製品を批判している訳ではありませんので...) こういったものは 可能なら先に紹介したような裏からとめるタイプに改造しましょう。
 先に左端の写真にあったオルゴールも最初は木ネジタイプだったと記憶しています。 筆者が自分でビスタイプに改造したんです。

図をみていただくとおわかりだと思いますが 木ネジ程度では“がっちり”と底板にとまらないのです。 メカ本体にはM3のネジが切ってあります。(メートルネジの3ミリという意味で一般的に使用されているネジ規格です) 従って M3のビス(とワッシャー)を買ってくれば箱の底に直径約3mmの穴をあけるだけでメカをがっちり固定できるってわけです。 簡単でしょう。 穴位置は元々あった木ネジの穴が目印になるでしょう。 実際には箱にあける穴は3mmより少し大きな穴にした方が組み付けやすいでしょう。
 (但し お手持ちの箱を改造するわけですから あくまでご自身の責任でやってくださいね。 筆者は責任を負いかねます。)

スペーサー。

 ちょっと悪のりといいますか ついでに音を豊かにする(かもしれない)方法を一つ紹介します。 簡単です。 それは 先程説明した図にあった箱の底板とオルゴールメカのあいだにちょっとすきまをあけるのです。 ちょっと考えてみてください。 スピーカーって御存知ですか? あの構造は下の図のようになっているのですが 振動体である電磁石と増幅器であるコーン紙の間は糸のような細いものでつないでいますね。

 オルゴールも似たような感じです。 振動体と増幅器の間 つまりメカと箱の間は理想的には針の一点でむすぶといいわけです。 でも実際はそんな訳にはいきませんので なるべく接点を小さくしていきましょう。
 そんな訳で 考えたのはメカと箱を締め付けているビスにワッシャーを挟んでやるんです。簡単です。

 実際にはさむ時に工夫はいると思いますが これだけで かなり音質は変わってくると思います。 気に入らなくてもすぐ外せばいいんですから気楽にやってみましょう。 まあお好みもありますので過大な期待は禁物ですが ある程度は“深み”のある音色になってくるかなぁってところでしょうか。 もちろん 木ネジで止まっているタイプでも可能です。 (但し、木ネジって一旦外してしまうと再び同じ強さ以上に締め付けることはできませんし、ワッシャーの厚みの分箱への締め付け(食い込み)が浅くなりますので実際は難しいかもしれませんね。)

今後の連載予定。

 今回はメカの本体には手を入れませんでした。 でもこれだけでもかなり違った楽しみが出てきそうな気がしませんでしたか? 今後はメカ本体にも手を入れていきたいと思います。 ざっと並べてみますと 噛み合い調整(くし歯とスターホイールの位置関係を調整すること)、調律のやり変え(好みの響きを作る)、自分流の箱の製作、その他音質改善のノウハウあれこれ などなどです。 せっかく手に入れたすばらしいオルゴールです。 徹底的に楽しむためにいろいろ研究していきましょう。 
それから メカが不調だ とか 壊した などという場合 また箱付きのものを高いお金だして買うのももったいないですから メカ単体で売っているところがありますのでそこから購入されるといいでしょう。

伊豆オルゴール館

http://www.izu.fm/shop/
0557-53-0900
メールでも電話でも問い合わせれば送ってくれます。

海鳴楼

0134-23-6505 に問い合わせされると条件などを教えてくださった上で送ってくれます。 電話番号がちがってました訂正します。すみません2003.2.10

 なお カード用のパンチ工具なども購入できるそうです。 問い合わせされるといいでしょう。(筆者の処に連絡いただいてもお分けできます)
 可能ならメカを入手しておかれるといろいろ実験できていいと思います。  この連載にないことでもいろいろ試してみるとオルゴールの新しい可能性を発掘できるように思います。 実際 このメカ(TDM)はすばらしい可能性を我々に提供してくれるので大変喜んでいます。
 三協精機さんに感謝しましょう。    m(_ _)m (拝礼!)

では次回をお楽しみに

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