*讃岐の国・<涅槃の道場>を歩きます。

5月2日(第41日)

 今日は、このおへんろの旅最大のビッグニユースに直面して、弘法大師のふるさとは専門誌にお任せすることにします。( この街の風景はとても素敵です。念のため )

 外国の女性がおへんろをしているという噂はなんとなく冗談のように伝わっていました。その可愛い女性達に会ってしまったのです。左側の女性はアイリーン・エリスさん、シカゴ出身でガールスカウトをやっていました。右の女性はミシェル・トレイマーさんでフイルモントのあるペンシルベニア出身だそうです。一番札所からスタートして、連休中にこのおへんろを終了させないと大変なことになると言ってとても急いで旅をしていました。5時までに七十六番札所まで行くのだと、あっという間に追い越して行ってしまいました。

 とても明るくて、元気なお嬢さん達でした。アイリーンは、足がちょっと痛いと言ってお線香の煙を足へなでつけていました。来週になったらこのホームページにメッセージを書いてくれる事になっています。おへんろも、お線香の煙も国際的になっているのですね。


 一緒に写真を取ってもらい喜んでいるのです。

     

68番と69番は同じ敷地内にあります。70番には馬の像があったのですが、、71番は階段だらけでまさに荒行のお寺です。

六十八番札所神恵院六十九番札所観音寺・・
            ・・・七十番札所本山寺・・・・・・七十一番札所弥谷寺・・

     

72番は弘法大師の先祖のお寺。大師が断崖絶壁から飛び降りるお寺。大師が幼い頃あそんだ場所。

七十二番札所曼荼羅寺・・・七十三番札所出釈迦寺・・七十四番札所甲山寺・・


 七十五番札所は善通寺、観音寺市と同じように善通寺市とお寺の名前が行政区の名前になっています。そして、八十八箇所の総本山そのもので大規模な伽藍配置になっていました。その善通寺は善根宿をやっているという情報を高知県のサイクリングロードで追い越した老人から聞いていたので、今日はそこまでと来たのでした。結果は満員で断わられましたが、そこであの話題の三味線おへんろさんに会ったのです。民宿の岡田さんから聞いたと話したら写真をとらせてくれました。さっきまで奉納演奏をしていたとのことで、聞けなくてとても残念でした。





 この街も活気があって賑っているので駅などは諦め、携帯電話で上品な「一富士旅館」に宿を取りました。もう最後に近づいているので無理をするのはやめたのです。


・・・「一富士旅館」



5月3日(第42日)


今朝は、あの大規模なお寺七十五番札所善通寺からスタートです。弘法大師のお父さんの名前「善通」から取ったという総本山、長野の善光寺を思い出しました。善光寺も大きかったですがそれ以上かも知れません。






 次は七十六番ですが寄り道をして金毘羅さんに行くことにしました。JR善通寺駅から気動車に乗り次の駅が琴平でした。こんぴらさんは関東でも有名で、自宅の近くにも琴平神社があります。門前町から階段に入り、両側がおみやげやの階段が終わると大門(メインゲート)があります。そこからが境内ですが、まだまだ階段は続きます。そして、20数年前にこの階段を登ったことと、この階段がどんな階段だったかも思い出しました。何度も折れ曲がった階段には、本宮まで785段の段数を数えて上がり、お参りだけをして帰る人には分らない、そこで暮す人や何度もお参りする人達への配慮があったのです。でも今回もあわただしい参拝で終わりました また気動車で善通寺まで帰り、七十六番を目指します。


七十五番札所
善通寺・・・金毘羅さん・・・


 七十六番金倉寺は囲いや門の無いどこからも入れる不思議なお寺でした。この辺りの田園地帯はほとんど麦畑です。もう初夏を思わせる天候の中、3月に出発していて良かったと思いながらも汗が吹き出ます。七十七番札所道隆寺にはたくさんのおへんろさんがいました。眼に効くお像があり、そこらじゅうに「めめめめめめめ・・・」と書いた紙が貼ってあり切実さを感じます。僕も同じ気持ちでお参りをしました。県道で高松への幹線道路に出て歩きます。昨日とは一変してトラックが走っていないぶんとても静かです。観光地以外どこの街も連休で静かです。丸亀城の近くで向こうから歩いてくるおへんろさんに会いました、5月1日から逆内で周るおへんろさんでした。するとあと3日で一番へ到着可能なのです。丸亀城を過ぎ峠を越すと七十八番札所郷照寺へ曲がります。小高い丘の上にある展望の利くお寺でした。そこでも逆内のおへんろさんに会いました。今日はこれ以上は無理でした。次のお寺高照院まで6.5km、途中の坂出市まで歩き、坂出駅の近くで宿を取り泊まりました。


                 

七十六番は写真を取り忘れました。


七十六番札所金倉寺・・七十七番札所道隆寺・・七十八番札所郷照寺・・坂出市駅付近



5月4日(第43日)


 昨日で七十八番札所が終わり、残す所10ケ寺です。最後の大窪寺はいつになるのだろうか?未だへんろころがしのような山間部の道が控えているので断定は出来ない、自分のペースで進むよりほかないのです。

 七十九番天皇寺高照院は複雑な事情があるように見受けられました。鳥居もあるし、名前も本によって異なるし事情を知っている人には関係ないでしょうがね。旧街道で峠を越し街に入るとそこに八十番国分寺がありました。松の木がたくさん植わった静かなたたずまいで落ち着いていました。







 国分寺を出ると「ハンドブック」にへんろころばしと書いてある山道に入ります。ザックを背負って山の中を歩き八十一番札所白峰山に到着しました。階段のさらに上に階段があり本堂がありました。そこから更に山道を歩き八十二番札所に向かいます。あと1kmのところで、真っ青な瀬戸内海が見えました。松山市から瀬戸内海に沿って歩いて来たのに、夜だったり雨だったり平坦部を歩いたりでじっくりと見ることはなかったのです。八十二番根香寺も山寺で階段を上がったり下がったりと大変なお寺でした。ここで、次のお寺までを考えると5時までに到着しそうにないので、寝袋などを干して休みました。今日は駅に泊まる予定にしたのです。


坂出市駅・・・七十九番札所高照院(天皇寺)・・・八十番札所国分寺・・・

     

 根香寺を出て少し行くと車道になり、大パノラマが見えました。最初は瀬戸内海と本州側の山々でカーブを回ると小豆島から讃岐平野が一望できます。自然と地図を出してこれから歩くお寺を眺めました。そこへ犬を散歩に連れた人が現われ一つ一つ説明してくれました。右下に一宮寺、左に屋島寺、その後ろの凸凹した山が八栗寺で、その後ろが志度寺だそうです。大窪寺はと聞くと、指は指してくれましたが見えないとの事でした。スカイラインを降りて、町に入り駅に到着したまし。この鬼無駅はあまりにも開放的で泊まれそうにありません。電車に乗って高松まで二つ目です。そこでサウナに入り朝早く戻ればいいと考え電車に乗りました。      


・・・八十一番札所白峰寺・・・八十二番札所根香寺・・・鬼無駅(高松)



5月5日(第44日)

 高松駅発5時58分の2番電車で鬼無駅にもどりました。八十三番一宮寺までのじくざくなコースはとても分りにくく複雑で2時間も掛かってしまいました。どうしても、最後のお寺八十八番が気になります。お寺の人に八十八番でなにが貰えるのかを聞きました。錫杖なのか証明書なのかよく解りませんが、どうも結願の証を購入するようです。




 そこからの道のりも大変です。太陽はカンカン照りになって汗をかきながら街の中を進みます。途中で、軽トラックのおじさんが車に乗せてくれてほっとしました。八十四番札所屋島寺のふもとの山道入り口まで運んでくれました。そこで、雲辺寺の手前の民宿岡田で一緒だった人が山から降りてきて、戻るから荷物を置いて行ったほうがいいと教えてくれました。山に登るとエミリーさんとミシェルさんがいました。びっくりして質問すると、途中の道を間違えて今頃こんなところにいたのです。汗諾々で休んでいました。彼女達は、今日八十六番志度寺に5時までに入りその先へ行きたいと必死でした。またまた顔見知りに出会いました。


 次の札所八栗寺のふもとにケーブルカーの乗り場があります。そこで休んでいる彼女達に追いつきましたが、そこからがケーブルカーに沿って平行に登る山道です。僕はもうこれ以上いそぐのはやめました。彼女達とまたの再会を期待しながら別れました。ケーブルカーの入り口のそばで「セルプ眉山園」の人達がお接待でお茶を配っていました。そこでゆっくりと休んでから、急な勾配の山道を登り始めました。八十四番札所八栗寺に到着しました。

    

 JR志度駅付近に着いたのがもう5時30分でした。ここで宿に電話をしたのですが一番最初は満員だと断わられました。連休なのでどこも満杯かと思いきや次の電話で宿はすんなり取れました。宿に入ると、あの民宿岡田さんで一緒だった岡本さんに会いびっくりしました。彼の話だと、あの三味線を弾く女性はどのお寺でも奉納演奏をしていて、さっき志度寺でその演奏を初めて聞いたとのことでした。TV局のカメラマンなど一行が同行していてさっき電話した旅館に宿泊をしているそうです。だから断わられたのだろうということになりました。雲辺寺下の民宿で同宿した自営業の人と若い人に昨日朝国分寺で出会ったことと、あの時のご夫婦には今日屋島寺に登るときにすれ違ったとか、同じくベストを着ていた老人に今日会ったとか、アメリカの女性達は岡本さんを追い越してこの志度寺からさらに先へ行ったとか、雲辺寺から観音寺周辺で一緒だった人達はみなそれぞれこの近くにいるようでした。

明日はいよいよ八十八番大窪寺です。それぞれの人がそれぞれの思いを持って最後のお寺を訪ねるのでしょう。距離にして20kmちょっと、その先16kmが十番札所切幡寺です。僕は八十八番札所の近くの宿「民宿八十窪」へ電話をして予約を取りました。


鬼無駅・・八十三番札所一宮寺・・八十四番札所屋島寺・・
                    ・・八十五番札所八栗寺・・・「旅館栄荘」


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