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 5月に入ると晴れた日には25度近くまで気温が上がり、汗ばむくらいになります。つつじも盛りを過ぎ、代わって初夏の花バラ、あやめ、花しょうぶなどが盛大に咲き始めます。

陽暦5月6日ごろが二十四気の一つ、立夏にあたるそうです。暦の上ではこの日から夏に入ります。「風薫る」、「夏浅し」などと俳句に詠まれる時期です。

鯉幟(のぼり)
鯉幟(のぼり)

 世田谷区の西の外れにある次太夫堀公園で、一群の鯉のぼりが悠々と青空を泳いでいるのを見かけました。

最近東京の街中ではあまり見ることのなくなった華やかな初夏の風物詩を楽しんで、しばらくその下にたたずみました。
  風吹けば
      来るや隣の
          鯉幟  高浜虚子
虚子には、水原秋桜子に批判されたように平明な句調の俳句が大変多く、白けた思いをさせられることも少なくありません。

しかし、上記のような悠々たる俳句をみると、やはり俳句界の第一人者の風格を感じるほかありません。

次太夫掘公園には水田があり、小規模ながら実際に稲作を行っています。その水田に水を供給している水路が、公園内のうっそうたる林の木暗がりの中を流れています。

花あやめ
花あやめ

 水路の中で、一叢の黄色いあやめがあたりの暗がりを吹き飛ばすような鮮やかさで咲いていました。
  あやめ咲き
      暗き水路の
          華やげり
まだ咲きはじめたばかりなので、花の形がきりっとしており、その花の下には先の尖ったつぼみがたくさん付いています。よく日本画に描かれているような瑞々しさでした。

この黄色いあやめをもっともよく見かけますが、ともかく元気がいいのに感嘆します。


ばら開花
ばら開花

 この時期に、北半球のどの国でも人々が愛してやまない花、それがバラです。

猫の額のようなわが家の庭にも数本のバラがあり、今年も元気に咲きはじめました。

雨上がりのバラの花には、雨水が雫状に残るのをよく目にします。やがてその雫は乾いてなくなりますが、真紅など花の色が濃いバラでは雨雫のあとが薄く変色して花びらに残ることがあります。
  花びらに
      雨滴のあとや
          壷のバラ

北国イギリスでは、6月にバラが盛りになりますが、その6月が一年で最もよいシーズンとされ、結婚式はこの時期がもっとも多いということです。
その時期の花嫁さんをジューン・ブライドと呼びますが、ヨーロッパではジューン・ブライドは幸せになれるという伝承があるそうです。

あじさい
あじさい

 関東では、紫陽花(あじさい)は5月下旬から梅雨にかけてが花期です。

今年は紫陽花は例年より早く5月中旬から花をつけはじめました。花の色は、最初は葉と同じ緑色ですが、日がたつにつれ次第に色が付いてきて鮮やかな空色に変わっていきます。
  紫陽花の
      彩(いろ)まだ淡し
          雨上がり
やさしく控えめな日本の花、紫陽花は、私の特に好きな花の一つです。

5年ほど前、馬事公苑前の植木市で丈20cmほどの苗を買って植えましたが、今では高さ1メートル以上になりました。毎年紫陽花の花が咲き終わったころ、伸びすぎた枝を切り落とし、小さな鉢に挿し木して、ご近所に差し上げています。

立あおい
立あおい

 夏を代表する花の一つ立あおいは、春先に芽を出した後、5月に入ってから急激に成長して人の丈より高いくらいになります。

そして、他の花が少なくなる梅雨後半から真夏にかけて、色鮮やかな大きな花をつけて盛大に咲き誇ります。

今年は例年より開花が早いようで、馬事公苑の近くで華やかに咲きはじめたのを見つけました。
  立あおい
      早くも熱き
      彩(いろ)まとい

酷暑に負けず元気に咲く立あおいですが、8月になると次第に枯れはじめ、やがて丈高く立ったまま完全に枯れてしまいます。華麗に咲き、はかなく果てる夏の花です。

立あおいと入れ替わるように、むくげ、百日紅など晩夏の花が盛りになります。

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