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 東京・渋谷にあるBunkamuraザミュージアムで、2003年4月10日から7月13日まで、「ミレー3大名画展」が開かれています。Bunkamuraザミュージアムは、若者の街渋谷の繁華街にあり、面積はさほど広くありませんが、特色のある企画で有名です。

これらミレー3大名画の保存状態を考慮すると、今後これらの名画の海外展示は難しくなるという話も聞きました。そこで、会場が私の家に近いこともあり、久しぶりに美術鑑賞に出かけました。

オルセー美術館
オルセー美術館

  オルセー美術館は、ルーヴル美術館、ポンピドー・センター国立近代美術館とならぶフランスの3大美術館の一つで、それらの中で最も新しい1986年に開館しました。
フランス国鉄の駅舎だった建物を改造して美術館にしたので、どこかその名残のある独特のつくりになっています。

19世紀後半から20世紀にかけての美術の収蔵が多く、特に印象派絵画や彫刻などで世界に知られています。
フランスの画家では、ドラクロアまではルーブルに収蔵されていますが、それ以降はオルセーに展示されています。

美術ファンなら、パリにいったらルーヴル美術館とこのオルセー美術館は必見でしょう。私も、4年ほど前にパリに行ったとき、丸一日をかけてこの印象派の殿堂オルセー美術館を見てまわりました。

ミレーの絵画
ミレーの絵画

 オルセー美術館にはバルビゾン派と呼ばれるグループの展示室があり、ミレー、コローなどの有名な絵画が大量に展示されています。

ミレーは1814年生まれですから、印象派の創始者モネの26年先輩、ゴッホの39年先輩となります。
ミレーは1875年に亡くなりましたが、そのときはゴッホはまだ絵の勉強をはじめていませんでした。

そのゴッホは、パリに出てきてミレーの作品に接して以来一生ミレーに対して敬愛の念を持ち続けたそうです。

なぜか日本人にはミレーの絵画は人気があり、その中でも 《落穂拾い》、 《晩鐘》、 《羊飼いの少女》、 《種まく人》などは昔から特に人気が高いようです。
山梨美術館がミレーの 《種をまく人》 を購入して以来、美術ファンが観光バスで遠方からくるようになったそうです。オルセー美術館のバルビゾン派の展示室には、いつも日本人の美術ファンがつめかけています。

そのオルセー美術館から、今回 《落穂拾い》、 《晩鐘》、 《羊飼いの少女》 の3点を含むミレーの絵画が日本に来て、Bunkamuraザミュージアムで展示されました。上の写真は、 《落穂拾い》 です。

《晩鐘》
《晩鐘》

 それらミレーの名画の中でも、私は、 《晩鐘》 には昔この作品をはじめて知ってから格別の思いがありました。

絵画の専門家の間では、ミレーの作品の中では 《落穂拾い》 や晩年の 《春》 などのほうが 《晩鐘》 より優れているとする意見が多いようです。 《晩鐘》 の画題、構図は、いかにもわざとらしく作為的ではないかというような意見もあると聞きます。

しかし、そのような専門家の評価などは、私にとってはどうでもよいことです。ともかく私は、この絵の前に立つと、絵の中の農民が晩鐘に頭を垂れるように、思わず頭が下がってしまうのです。この絵の深い精神性は、理屈ぬきに私を捉えて離しません。
おそらくゴッホもこの絵を見て同じ思いをしたのでしょう。
   晩鐘に
       鍬おき
           冷えし野に祈る

《羊飼いの少女》
《羊飼いの少女》

 今回の展示作品の中で、もう一点、 《羊飼いの少女》 も、私が大好きな絵です。

画面の遠くを横切る水平線、その前に立つ大きなコートを着た少女の姿などの画面構成が見事です。赤いスカーフと、その中にある少女の白い顔が印象的です。
 野の冷えて
     襟かきあわす
         羊飼い

ピカソの 《老漁師》
ピカソの 《老漁師》

 ミレーの作品のほかに、ミレーと同時代の画家の作品や、印象派のゴッホ、ピサロなどの作品も多数展示されていました。

会場の出口に近い最後の部屋には、それら印象派画家の作品にまじって、ピカソのごく初期の具象絵画 《老漁師》 が展示されていました。

実は、私は、これまでピカソの具象絵画には、あまりよい印象を持っていませんでした。もしピカソが具象画家として終わったら、ピカソは今日のように「二十世紀最大の画家」と呼ばれることはなかっただろうと思っていました。

しかし、今回この 《老漁師》 の前に立ったとたん、私のピカソ芸術についての認識がまったく浅いものであったのを思い知らされました。

この名画はなんとピカソが13歳のときの作品だそうですが、私にはその13歳の子供の絵が部屋中の印象派大家の作品を圧するように思われました。

    深きしわに
        潮風涼し
            老漁師

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