オルゴール音質改善プロジェクト(第二回)

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2004.3.26 第二回 穴あけ。

このプロジェクトは第一回をアップしてから早 1年以上も経過してしまいました。 久々(というより忘れさられたころ)の登場です。
今回は音質にはほとんど関係ないですが みなさまからの質問の多い 穴あけのテクニックについて書いてみたいと思います。

はじめに

 カード式オルゴールの宿命! といいますか 当たり前のことなんですが カードに穴をあけないと演奏できませんね。 しかもカードは演奏中に自分自身にも 聴衆?にもよく見えるものですから あまり体裁が悪いとちょっと恥ずかしいですね。 とりわけ穴がへっぽこだったりすると特になさけないので 今回は穴をきれいにあける方法と題して書いてみました。

カードにする紙はどんなのを使ってますか。?

 カードにする紙はメーカーさんの純正のものを使っていらっしゃいますか? それとも当HPで推奨の135キロの上質紙を使ってますか? 純正の紙を使っている場合はあまり気にする必要はないのですが 薄い紙を使った場合 パンチ工具でパンチする際にケバが出ることが多いと思います。 ケバ自身は演奏や音質には全く関係ありませんが 見栄えが極端に悪いので困るわけです。

 

メーカー純正のカード 左は日本製(三協精機)、右は中国製(韻升)

純正のカードはこのような柄?が印刷してあります。 よく見るやつですね。 この紙は結構厚いものを使っていて さらにケバが出にくいものになっているようです。 最近 中国製の同様のカードも出回っていますが こちらはユポ紙といってプラスチックのような合成紙です。 こちらの方がさらに穴あけがやり易いようで優れています。ただ 演奏時に若干スリップを起こしやすいように思います。(実用上は問題はないですが)

 それに対して 当HPで推奨しているのは一般の文房具屋さんで売っている紙です。 135キロの上質紙といって求めることができます。 入手は容易でプリンターで印刷もできるので重宝するわけです。 自分で外形をカットしてつないで... とやるわけです。 この紙を使う上での欠点はケバが出やすいことなんです。 ケバとはパンチした穴にボロボロになった紙のフチがのこることで見栄えがよくありません。 ボロボロなので演奏には差し支えはないのですが メカの中にカスとして溜まってしまったり 長い目でみるといいことはないようです。

紙は私は東急ハンズで買ってますが A3サイズ、100枚入りで1200円(税別)です。 一般の文房具屋さんでも同じくらいだと思います。 写真左はケバの出た穴の例で 一部の穴の左側(円の内側)に切りきれずに残ったものが確認できるでしょう。

ケバの原因は?。

 ケバがでる理由は パンチ工具と紙の相性です。 と言い切れるかどうかわかりませんが メーカー製のパンチ工具は純正の紙の厚さにちょうどいいように設計されているようで 薄い紙では全般にケバがでるようです。
 どういうことかといいますと パンチ工具でパンチした瞬間に紙が「ひきちぎれる」ようになるのですが 上質紙の場合はナナメに裂けてしまうのです。 純正の紙の場合はきちっとセン断されるのですが...。

 薄い紙の場合は上の図(へたですみません)のようにパンチとダイの間隔(クリアラランスといいます)が紙の厚さに比較して広すぎるためにパンチが紙を押し出した時に 裂けてしまうのです。 厚い紙の場合は図のようにきちっとセン断されます。
 要するにガタガタのハサミで紙を切ると両方の刃が開いてしまっているので紙がケバケバになってしまうのと同じですね。

じゃあどうすればいい?。

 要するにクリアランスを小さ目にすればいいということですよね。 でもパンチ工具を作り直すのは大変ですから テクニックで何とかしましょう。

 

 写真はパンチをしているところです。 (本当は左手がパンチ工具の反対側を支えて使うのですがデジカメのシャッターを操作するため塞がっているためこうなりました。 私のデジカメは旧式のためセルフタイマーがない!) きたない手で申し訳ありませんが右手の親指と人さし指でパンチ工具の先端をはさんで「パチン」とやるわけですね。
 この「パチン」のやり方を工夫しようというわけです。 ちなみにこの写真の右上に見える影は以前に“ぶつくさ”コーナーで紹介したレンズ付のアームライトで細かいパンチ作業に欠かせないものです。

 図のように 音キャンで印刷したカードの十字線をパンチ工具の穴の中心にもってきて“パチン”とやるわけですが その際の右手の使い方が重要です。 手つきは図の感じでしょうか?
 手順を説明しますと パンチする位置が決まったら左手でかるく押さえます。 これでパンチ工具のパンチとダイでカード(紙)をかるく押さえたことになります。 これで以降の作業を安定して進めることができます。
 次に 右手で“パチン”とやるわけですが みなさんは真直ぐにやってませんか? 純正の紙の場合はそれでいいのですが 薄い紙の場合は ここで親指を図でいうと「若干左」方向に力をかける感じで押してみましょう。 すると どうです?? きれいに穴があくと思います。

簡単なことですが 結構高尚なテクなんですね これが。

 「なんだ その程度のこと 早く言えよ」といわれそうですが この動きには先程のクリアランスを調整する働きがあることを理解すれば なるほどと思うでしょう。
 要するに 親指で左方向に押す。 (正確に言うとパンチの後ろ側にある人さし指は同時に右方向に押して、結果的にひねっているわけです) これによって先程説明したパンチとダイの間隔(クリアランス)が小さくなっているんですね。 おかげで「よくきれるハサミ」のようになったというわけです。
 実際にはクリアランスだけの問題ではなく 上記のように「ひねり」を加えることで ハサミが紙を切る時の刃の動きと同じような感じにコントロールしているんです。 

 パンチ工具をよく見てください。 穴(ダイ)に入り込むオス(パンチ)の形をです。 下の図のように見えると思います。 

 図は極端に傾斜させて書きましたが パンチの上面は平らではなくナナメにカットされているわけです。 もちろんこの角の部分は「刃」です。 この「刃」にダイ(穴)が来るとどうなるかといいますと 間に挟まれた紙は刃の高いところから「順番に」セン断されていくのがわかると思います。 この順番にというのがミソで 

 図のようにだんだん切れ目が長くなっていき、最後に抜けるという感じで 軽く切れるわけです。 これが円周分同時に切ろうと思ったら それこそ全体重をかけても切れるかどうか... てくらいなんですね。 よくできているでしょう このパンチ工具って... 。

パンチ工具の寿命をのばす方法。

 で なんでこんな説明が必要なのか?? といいますと 実はこのパンチ工具 よくできてはいるですが、パンチとダイという刃物が柔らかいのですぐに切れなくなってしますのですね。 経験あるでしょう?

 今まで説明してきた方法で 何とか切れている内はいいのですが だんだんパンチもダイもすり減ってきます。 (要するに丸くなってきます) そうするとどうテクを使ってもきれいに切れなくなります。 まずダメになるのは刃の高いところで、その辺りにケバが目立ってきます。 その場合の第二の手段を披露したいと思います。
 偉そうに言う程のことではないのですが 先程の図を思い出してください。

 これです。 先程は右手親指を左に 人さし指を右方向に押すことで「きれい」に切ってましたが 刃がすり減ってきた場合には これから説明する「二度打ち」が効果的なんです。(私の経験では...)
 やり方はですね。 まず左手で十字線の位置にきちっと合わせて固定するところまでは前述の通りですが、右手の使い方がちがいます。
 まず 親指を(図でいう)上方向に、人さし指を下方向に「かるーく」ひねる感じで「少こーし」押します。「パチン」と音がするまでです。 この段階ではまだパンチは完了していません。 先程のお月様の満ち欠けみたいな図でいう左から2番目くらいの状態です。
 その後 今度は親指を(図でいう)下向きに、人さし指を上向きにかるくひねりながら押しきります。 パンチ完了です。 これを筆者は「二度打ち」と呼んでいます。 くどいようですが 左手がしっかりと安定してカードを支えていることが成功の秘けつです。

 うまくいきましたか? これは慣れるまで面倒なんですが 最初に説明したクリアランスをパンチの最も高いところと低いところで小さくなるように工夫したやり方なんです。 刃が減ってくる(チビテくる)のはどうしても刃の一番尖ったところなので そこにケバが発生しやすくなります。 こういった場合に上記のやり方で刃同士を「こすりつけて」やるように切るとうまく切れるわけです。 よくハサミを使う時も刃のチビた切れないものの場合に手をひねって刃をこすりつけるように使うでしょう。 あれです。

 偉そうに言うほどのことではないのですが パンチが切れないというお話をよくいただくので 今回紹介する運びになりました。

刃物は研ぐことが肝心。

 先程も触れましたが このパンチ工具はよくできてはいるのですが 刃がやわらかくてすぐにチビてしまうのが欠点のようですね。 逆にいうとそれだけ紙は刃物にとって強敵であるということです。
 ですから 少なくとも パンチ(オスの方)はダイヤモンドヤスリなどで「研ぐ」ことをお薦めします。

 軽く研ぐだけで相当に切れ味が変わります。 お試しください。
 今回は 穴あけの工具を説明しましたが どうでしたか? わかりきったことですが なにせカードオルゴールの場合はその穴の数が膨大!! ですから 楽にきれいにあけられる方がいいですよね。 みなさんもご自分で工夫されていること 教えてください。 ぜひ みんなに教えてあげてください。 お願いします。

では次回をお楽しみに

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