\documentclass{jarticle}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}
%\documentclass{amsart}
\usepackage{amsthm}
\theoremstyle{plain}
\newtheorem{theorem}{定理}
\newtheorem{definition}{定義}
\newtheorem{question}{問}
\title{5次方程式の代数解の不可能性~~by~Abel}
\author{能美武功}
\date{平成12年5月28日}
\begin{document}
\maketitle
\section{多項式の変数に置換を施す}
「3次方程式の解法」において、対称式を(~~,~~,~~)として扱った。\\
対称式とは、変数をどのように入れ換えても元の式と同じものになる式をいう、のであるが、
その扱いを行儀正しくすると、以下のようにかなり面倒である。\\
\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、(1,0,0)=x_1+x_2+x_3\\
が対称式であることを示せ。\\
解~~\\
1. ~~ x_1 とx_2 を入れ換える。x_2+x_1+x_3=(1,0,0) となり変らない。\\
2. ~~ x_1 とx_3 を入れ換える。x_3+x_2+x_1=(1,0,0) となり変らない。\\
3.~~ x_2 とx_3 を入れ換える。x_1+x_3+x_2=(1,0,0) となり変らない。\\
4. ~~ x_1 とx_2 を、 x_2 とx_3 を、 x_3 とx_1 を入れ換える。
x_2+ x_3+x_1=(1,0,0) となり変らない。\\
5. ~~ x_1 とx_3 を、 x_3 とx_2 を、 x_2 とx_1 を入れ換える。
x_3+x_1+x_2=(1,0,0) となり変らない。~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{definition}\label{3次の置換}
上において、\\
1の入れ換えを(1,2) と書き、\\
2の入れ換えを(1,3) と書き、\\
3の入れ換えを(2,3) と書き、\\
4の入れ換えを(1,2,3) と書き、\\
5の入れ換えを(1,3,2) と書くことにする。\\
またついでに入れ換えなしにも記号(1) を定義しておく。\\
上記6個の「入れ換え」を(3次の)置換という。
\end{definition}
\begin{question}
4次の置換を全て作れ。\\
解~~~4個のものの順列は24通りあるから、24個ある筈。\\
1. 1234 をこの順序に 1234 にする。つまり入れ換えないということ。これは(1) 。\\
2. 1234 をこの順序に 1243 にする。つまり3 を4 に、4 を 3に。これは(3,4) 。\\
3. 1234 をこの順序に 1324 にする。つまり2 を3 に、3 を 2に。これは(2,3) 。\\
4. 1234 をこの順序に 1342 にする。つまり2 を3 に、3 を4 に、4 を2 に。これは(2,3,4) 。\\
5. 1234 をこの順序に 1423 にする。つまり2 を4 に、4 を3 に、3 を2 に。これは(2,4,3) 。\\
6. 1234 をこの順序に 1432 にする。つまり2 を4 に、4 を2 に。これは(2,4) 。\\
7. 1234 をこの順序に 2134 にする。これは(1,2) 。\\
8. 1234 をこの順序に 2143 にする。これは(1,2)(3,4) 。\\
9. 1234 をこの順序に 2314 にする。これは(1,2,3) 。\\
10. 1234 をこの順序に 2341 にする。これは(1,2,3,4) 。\\
11. 1234 をこの順序に 2413 にする。これは(1,2,4,3) 。\\
12. 1234 をこの順序に 2431 にする。これは(1,2,4) 。\\
13. 1234 をこの順序に 3124 にする。これは(1,3,2) 。\\
14. 1234 をこの順序に 3142 にする。これは(1,3,4,2) 。\\
15. 1234 をこの順序に 3214 にする。これは(1,3) 。\\
16. 1234 をこの順序に 3241 にする。これは(1,3,4) 。\\
17. 1234 をこの順序に 3412 にする。これは(1,3)(2,4) 。\\
18. 1234 をこの順序に 3421 にする。これは(1,3,2,4) 。\\
19. 1234 をこの順序に 4123 にする。これは(1,4,3,2) 。\\
20. 1234 をこの順序に 4132 にする。これは(1,4,2) 。\\
21. 1234 をこの順序に 4213 にする。これは(1,4,3) 。\\
22. 1234 をこの順序に 4231 にする。これは(1,4) 。\\
23. 1234 をこの順序に 4312 にする。これは(1,4,2,3) 。\\
24. 1234 をこの順序に 4321 にする。これは(1,4)(2,3) 。\\
の24個。~~~(解おわり)
\end{question}
\begin{math}
多項式の変数に置換を施すとき、その多項式の左側に置換を書くことにする。例えば、\\
(1,2)(x_1^2+x_2)=x_2^2+x_1\\
或いは、x_1^2+x_2=f(x_1,x_2) とおいて、\\
(1,2)f=x_2^2+x_1\\
と書いたりする。
\end{math}

\begin{question}
\begin{math}
f=x_1^2+x_2-x_3 に (1,2) を施したあと、(1,3) を施したものは、\\
f に (1,2,3) を施したものに等しいことを説明せよ。\\
解~~~(1,2)f=x_2^2+x_1-x_3 \\
~~~~~(1,3)[(1,2)f]=x_2^2+x_3-x_1 \\
一方 (1,2,3)f=x_2^2+x_3-x_1 ~~~ より。~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
上の問から置換同志のかけ算が定義される。即ち上の例を使えば、\\
~~~(1,3)(1,2)=(1,2,3) \\
となる。(計算のやり方は常に右から左と考えること。)\\
\begin{question}
~~~(1,3)(1,2) が (1,2,3) になることをf を使わずに説明せよ。\\
解\\
まず、1はどこに行くか。\\
~~~(1,2) により、1は2に行く。次に2は(1,3)によって動かない。\\
~~~故に1は2に行く。\\
次に、2はどこに行くか。\\
~~~(1,2) により、2は1に行く。次に1は(1,3)によって3に行く。\\
~~~故に2は3に行く。\\
次に、3はどこに行くか。\\
~~~(1,2) により、3は動かない。次に3は(1,3)によって1に行く。\\
~~~故に3は1に行く。\\
従って、答は(1,2,3) ~~~(解おわり)\\
\end{question}

\begin{question}
\begin{math}
2変数の時、単項式、f=x_1^2x_2 から、(2,1) 型の対称式を作れ。\\
解~~~(1)f+(1,2)f を作ると、これは対称式。かつ求めるものとなる。\\
この式が2次の全ての置換によって変らないことを言えばよい。\\
2次の置換は(1) と (1,2) 。(1) によって変らないことは自明。\\
(1,2) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(1,2)[(1)f+(1,2)f]=(1,2)f +(1)f=(1)f+(1,2)f より。\\
実際にこれを作ると、\\
(1)f+(1,2)f=x_1^2x_2+x_2^2x_1~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}

\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、単項式、f=x_1^2x_2 から、(2,1,0) 型の対称式を作れ。\\
解~~~(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f~~を作ると、これは対称式。\\
かつ求めるものとなる。\\
この式が3次の全ての置換によって変らないことを言えばよい。\\
3次の置換は(1) , (1,2), (1,3),(2,3),(1,2,3),(1,3,2) の6個。(1) によって変らないことは自明。\\
(1,2) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(1,2)[(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f]
=(1,2)f+(1)f+(1,3,2)f+(1,2,3)f+(2,3)f+(1,3)f より。\\
(1,3) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(1,3)[(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f]
=(1,3)f+(1,2,3)f+(1)f+(1,3,2)f+(1,2)f+(2,3)f より。\\
(2,3) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(2,3)[(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f]
=(2,3)f+(1,3,2)f+(1,2,3)f+(1)f+(1,3)f+(1,2)f より。\\
(1,2,3) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(1,2,3)[(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f]
=(1,2,3)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2)f+(1,3,2)f+(1)f より。\\
(1,3,2) によって変らないことを言う。\\
\because ~~~(1,3,2)[(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f]
=(1,3,2)f+(2,3)f+(1,2)f+(1,3)f+(1)f+(1,2,3)f より。
実際にこれを作ると、\\
x_1^2x_2+x_2^2x_1+x_3^2x_2+x_1^2x_3+x_2^2x_3+x_3^2x_1~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}

\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、単項式、f=x_1x_2x_3 から、(1,1,1) 型の対称式を作れ。\\
解~~~f は既に対称式であるが、前問のやり方でも出来ることを見てみる。\\
(1)f+(1,2)f+(1,3)f+(2,3)f+(1,2,3)f+(1,3,2)f~~を作ると、これは前問でやったように対称式。\\
実際にこれを作ると、\\
x_1x_2x_3+x_2x_1x_3+x_3x_2x_1+x_1x_3x_2+x_2x_3x_1+x_3x_1x_2=6x_1x_2x_3\\
6 は無駄なので係数を1として、x_1x_2x_3~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
多項式の集合と置換に関する次の定義をしておく。\\
\begin{definition}\label{F に対応する置換の集合}
ある多項式の集合F が与えられている。このとき、その集合に属するどの多項式も変化させない
置換の集合Sを「F に対応する置換の集合」という。
\end{definition}
\begin{question}
\begin{math}
2変数の時、\\
F_1^{2}=\{-b/a=x_1+x_2, c/a=x_1x_2\}が与えられているとき、\\
F_1^{2}に対応する置換の集合S_1^{2}を求めよ。\\
解~~~S_1^{2}=\{(1), (1,2)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{math}
2次方程式を解くとき、どんなに-b/aとa/cに4則(+, -,\times, \div) を施しても根
は作れない。そこで、\sqrt{(-b/a)^2-4(a/c)}=x_1-x_2 を作るのであった。\\
\end{math}
\begin{question}
\begin{math}
2変数の時、\\
F_2^{2}=\{-b/a=x_1+x_2, c/a=x_1x_2, x_1-x_2\}が与えられているとき、\\
F_2^{2}に対応する置換の集合S_2^{2}を求めよ。\\
解~~~今度は x_1-x_2があり、(1,2)はこれを変えてしまうから駄目。\\
\therefore ~~~S_2^{2}=\{(1)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、\\
F_1^{3}=\{-a_1=x_1+x_2+x_3, a_2=x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3, -a_3=x_1x_2x_3\}
が与えられているとき、
F_1^{3}に対応する置換の集合S_1^{3}を求めよ。\\
解~~~S_1^{3}=\{(1), (1,2), (1,3), (2,3), (1,2,3), (1,3,2)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{math}
3次方程式を解くとき、どんなにa_1, a_2, a_3に4 則(+, -,\times, \div) を施しても根
は作れない。そこで、\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3) を作る
のであった。\\
\end{math}
\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、\\
F_2^{3}=\{-a_1=x_1+x_2+x_3, a_2=x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3, -a_3=x_1x_2x_3,
\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}
が与えられているとき、
F_2^{3}に対応する置換の集合S_2^{3}を求めよ。\\
解~~~(1,2)\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_2-x_1)(x_2-x_3)(x_1-x_3)\}\\
=-\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}=-\sqrt{-27D}~~~で、(1,2) は駄目。\\
(1,3)\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_3-x_2)(x_3-x_1)(x_2-x_1)\}\\
=-\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}=-\sqrt{-27D}~~~で、(1,3) は駄目。\\
(2,3)\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_1-x_3)(x_1-x_2)(x_1-x_2)\}\\
=-\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}=-\sqrt{-27D}~~~で、(2,3) は駄目。\\
(1,2,3)\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_2-x_3)(x_2-x_1)(x_3-x_1)\}\\
=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}=\sqrt{-27D}~~~で、(1,2,3) は大丈夫。\\
(1,3,2)\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_3-x_1)(x_3-x_2)(x_1-x_2)\}\\
=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\}=\sqrt{-27D}~~~で、(1,3,2) は大丈夫。\\
\therefore~~~S_2^{3}=\{(1), (1,2,3), (1,3,2)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{math}
上と同じ問題であるが、次の観点から見てみる。何故\sqrt{-27D}を作ったかというと、\\
u=x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3 \\
v=x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3 \\
と置いて、u^3+v^3 が幸運にもa_1, a_2, a_3 で表され、u^3-v^3 がa_1, a_2, a_3を4則だけ
で計算することは出来なかったが、2乗根を使えば\sqrt{-27D}として表されるのであった。\\
そこで上の問題を次のように変形して解いてみる。\\
\end{math}
\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、\\
F_2^{3}=\{-a_1=x_1+x_2+x_3, a_2=x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3, -a_3=x_1x_2x_3, \\
u^3+v^3, u^3-v^3\}
が与えられているとき、
F_2^{3}に対応する置換の集合S_2^{3}を求めよ。\\
解~~~u^3+v^3はa_1, a_2, a_3 で表されているのだから、どの3次の置換によっても変らない。\\
1)~~~さて、(1,2)[u^3-v^3] を計算する。最初に(1,2)u^3 を計算する。\\
(x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3)^3 を計算してからx_1 とx_2 を交換するのは、最初から
これを交換しておいて(x_2+\omega x_1+\omega^2 x_3)^3 を計算するのと同じことだから、\\
(1,2)u^3 =(x_2+\omega x_1+\omega^2 x_3)^3 \\
=(\omega^3 x_2+\omega x_1+\omega^2 x_3)^3 \\
=[\omega ((x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3)]^3=v^3\\
次に(1,2)v^3 を計算する。\\
(1,2)v^3 =(x_2+\omega^2 x_1+\omega x_3)^3 \\
=(\omega^3 x_2+\omega^2 x_1+\omega^4 x_3)^3 \\
=[\omega^2 ((x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3)]^3=u^3\\
\therefore ~~~(1,2)[u^3-v^3]=v^3-u^3=- [u^3-v^3]\\
~~~~~即ち(1,2) は[u^3-v^3]を変える。\\
2)~~~次に、(1,3)[u^3-v^3] を計算する。最初に(1,3)u^3 を計算する。\\
(1,3)u^3 =(x_3+\omega x_2+\omega^2 x_1)^3 \\
=(\omega^3 x_3+\omega^4 x_2+\omega^2 x_1)^3 \\
=[\omega^2 ((x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3)]^3=v^3\\
次に(1,3)v^3 を計算する。\\
(1,3)v^3 =(x_3+\omega^2 x_2+\omega x_1)^3 \\
=(\omega^3 x_3+\omega^2 x_2+\omega x_1)^3 \\
=[\omega ((x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3)]^3=u^3\\
\therefore ~~~(1,3)[u^3-v^3]=v^3-u^3=- [u^3-v^3]~~~\\
~~~~~即ち(1,3) は[u^3-v^3]を変える。\\
3)~~~次に、(2,3)[u^3-v^3] を計算する。最初に(2,3)u^3 を計算する。\\
(2,3)u^3 =(x_1+\omega x_3+\omega^2 x_2)^3=v^3\\
次に(2,3)v^3 を計算する。\\
(2,3)v^3 =(x_1+\omega^2 x_3+\omega x_2)^3 =u^3\\
\therefore ~~~(2,3)[u^3-v^3]=v^3-u^3=- [u^3-v^3]\\
~~~~~即ち(2,3) は[u^3-v^3]を変える。\\
4)~~~次に、(1,2,3)[u^3-v^3] を計算する。最初に(1,2,3)u^3 を計算する。\\
(1,2,3)u^3 =(x_2+\omega x_3+\omega^2 x_1)^3 \\
=(\omega^3 x_2+\omega^4 x_3+\omega^2 x_1)^3 \\
=[\omega^2 ((x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3)]^3=u^3\\
~~~次に(1,2,3)v^3 を計算する。\\
(1,2,3)v^3 =(x_2+\omega^2 x_3+\omega x_1)^3 \\
=(\omega^3 x_2+\omega^2 x_3+\omega x_1)^3 \\
=[\omega ((x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3)]^3=v^3\\
\therefore ~~~(1,2,3)[u^3-v^3]=[u^3-v^3]\\
~~~~~即ち(1,2,3) は[u^3-v^3]を変えない。\\
5)~~~次に、(1,3,2)[u^3-v^3] を計算する。最初に(1,3,2)u^3 を計算する。\\
(1,3,2)u^3 =(x_3+\omega x_1+\omega^2 x_2)^3 \\
=(\omega^3 x_2+\omega^4 x_3+\omega^2 x_1)^3 \\
=[\omega^2 ((x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3)]^3=u^3\\
~~~次に(1,3,2)v^3 を計算する。\\
(1,3,2)v^3 =(x_3+\omega^2 x_1+\omega x_2)^3 \\
=(\omega^3 x_3+\omega^2 x_1+\omega^4 x_2)^3 \\
=[\omega^2 ((x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3)]^3=v^3\\
\therefore ~~~(1,3,2)[u^3-v^3]=[u^3-v^3]\\
~~~~~即ち(1,3,2) は[u^3-v^3]を変えない。\\
\therefore~~~S_2^{3}=\{(1), (1,2,3), (1,3,2)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{math}
さて、次にu^3 の3乗根 u を求めるのであった。数値計算ではここでv^3 の3乗根も
求めるのであるが、数学的には3乗根の計算は1回だけ行えば足りる。何故なら、
uv が a_1, a_2, a_3 で表されるから、v=(uv)/u として4則を用いて計算できるからである。\\
実際にuv を a_1, a_2, a_3 で表してみる。それは簡単で、\\
uv=x_1^2+x_2^2+x_3^2-x_1x_2-x_1x_3-x_2x_3\\
=(x_1+x_2+x_3)^2-3(x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3)=a_1^2-3a_2\\
従ってF_2^{3} にu を付け加えて、4則演算を許したものをF_3^{3}とすれば、
F_3^{3}は、\\
-a_1=x_1+x_2+x_3\\
u=x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3\\
v=x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3\\
を含むことになり、x_1, x_2, x_3 を含むことになる。即ち、次の問題は、\\
\end{math}
\begin{question}
\begin{math}
3変数の時、\\
F_3^{3}=\{-a_1=x_1+x_2+x_3, a_2=x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3, -a_3=x_1x_2x_3, \\
u^3+v^3, u^3-v^3, u, v, x_1, x_2, x_3\}が与えられているとき、\\
F_3^{3}に対応する置換の集合S_3^{3}を求めよ。\\
解~~~ x_1があり、(1,2,3)はこれをx_2に変えてしまうから駄目。
また(1,3,2)もこれをx_3に変えてしまうから駄目。\\
\therefore ~~~S_3^{3}=\{(1)\} ~~~(解おわり)\\
\end{math}
\end{question}
上の議論の中で、「どんなに$a_1, a_2, a_3に4 則(+, -,\times, \div)$ を施しても」と
いう言葉が出てきた。体という概念があって、これを次に定義する。\\
\begin{definition}\label{体}
(数または記号の)集合R が与えられたとき、\\
そのRが体であるとは、Rの任意の二つの元に4 則を施してもRの元になっている、ことを言う。\\
\end{definition}
\begin{question}
\begin{math}
\sqrt{2} を含む(最小の)体R(\sqrt{2})とはどういうものか。説明せよ。\\
解~~~\sqrt{2}-\sqrt{2}=0~~だから、R(\sqrt{2}) は0を含む。\\
\sqrt{2}/\sqrt{2}=1~~だから、R(\sqrt{2}) は1を含む。\\
足し算、引き算を実行して、全ての整数を含む。\\
割り算を実行して、全ての有理数を含む。\\
任意の2つの有理数をp, q (正、負あり)として、p+q\sqrt{2} を含む。\\
r, s を有理数として、割り算\displaystyle{\frac{p+q\sqrt{2}}{r+s\sqrt{2}}}
を実行しても
再びp+q\sqrt{2} の形になることは既知。\\
また、p, q がどんな有理数であっても1から出発して4則を繰り返して、
作ることが出来るから、結局、\\
R(\sqrt{2})とは(p, q を任意の有理数として)p+q\sqrt{2}の集まりである。
集合の記号を使えば、\\
~~~~R(\sqrt{2})=\{p+q\sqrt{2};~~~(p, q :有理数)\}~~~~(解おわり)
\end{math}
\end{question}
\begin{question}
\begin{math}
記号 x を含む(最小の)体R(x)とはどういうものか。説明せよ。\\
解~~~x-x=0~~だから、R(x) は0を含む。\\
x/x=1~~だから、R(x) は1を含む。\\
足し算、引き算を実行して、全ての整数を含む。\\
割り算を実行して、全ての有理数を含む。\\
任意の(n+1)個の有理数をp_0, p_1, p_2 ... p_{n+1} として、
p_0+p_1x+ p_2x^2+ ... +p_nx^nを含む。\\
q_0, q_1, q_2 ... q_{m+1} を有理数として、
割り算による商\displaystyle{\frac{p_0+p_1x+p_2x^2+ ... +p_{n+1}x^n }{q_0+
q_1x+q_2x^2+ ... +q_{m+1}x^m}}
も含む。\\
結局、\\
R(x)とは有理数を係数とするx の有理式全体である。\\
集合の記号を使えば、\\
~~~~R(x)=\Biggr\{\frac{p_0+p_1x+p_2x^2+ ... +p_{n+1}x^n }{q_0+q_1x+q_2x^2+ ... +q_{m+1}x^m}
;~~~(p_i, q_j :有理数)\Biggr\}\\
~~~~(解おわり)\\
~~~~(註~~x, y から出来る体、R(x,y) が有理数を係数とするxとy の有理式全体である、
ことも分かる。)
\end{math}
\end{question}
\begin{math}
この体という言葉を使って、2次方程式の解法を振り返ってみると、\\
まず原方程式\bigr(ax^2+bx+c=0 をa で割って\bigl)x^2+(b/a)x+(c/a)=0の係数、
(b/a),(c/a)から出来る体 R\bigr((b/a),(c/a)\bigl) の中に根がないかと捜す。ない。それで、\\
これに\sqrt{(b/a)^2-4(c/a)} を添加した体 R\bigr((b/a),(c/a), \sqrt{(b/a)^2-4(c/a)}\bigl)を作る。\\
(この操作を「体の拡大」という)\\
この中にはx_1, x_2 が含まれている。即ち、「根号によって解けた」ことになる。\\
記号、(b/a),(c/a)を使わずに、x_1, x_2 を使うと、次のようになる。\\
まず原方程式(ax^2+bx+c=0 をa で割って、x^2-(x_1,+x_2)x+(x_1x_2)=0)の係数、
-(x_1,+x_2),(x_1x_2)から出来る体 R(-(x_1+x_2),(x_1x_2)) の中に根がないかと捜す。ない。
それで、\\
これに(x_1-x_2) を添加した体 R(-(x_1+x_2),(x_1x_2),(x_1-x_2))を作る。\\
この中にはx_1, x_2 が含まれている。即ち、「根号によって解けた」ことになる。\\
\end{math}
定義(\ref{F に対応する置換の集合})は、\\
ある多項式の集合F が与えられている。このとき、その集合に属するどの多項式も変化させない
置換の集合Sを「F に対応する置換の集合」という。\\
であったが、体を定義したので、この定義を次のように変える。\\
\begin{definition}\label{体に対応する置換の集合}
体R が与えられている。このとき、Rに属するどの有理式も変化させない
置換の集合Sを「体R に対応する置換の集合」という。\\
\end{definition}
\begin{math}
すると、2次方程式の解法は次のように書ける。\\
体R_1=R(-(x_1+x_2),(x_1x_2)) の中に根がないかと捜す。ない。\\
体R_1に対応する置換の集合S_1^2 は、\{(1), (1,2)\}\\
\\
体R_1を拡大した体R_2=R_1((x_1-x_2))=R_1(\sqrt{(b/a)^2-4(c/a)}) の中に根がないかと捜す。ある。\\
体R_2に対応する置換の集合S_2^2は、\{(1)\}\\
\end{math}
\\
\begin{math}
また、3次方程式の解法は次のように書ける。\\
体R_1=R(-(x_1+x_2+x_3),(x_1x_2+x_1x_3+x_2x_3),(x_1x_2x_3)) の中に根がないか
と捜す。ない。\\
体R_1に対応する置換の集合S_1^3は、\{(1), (1,2), (1,3), (2,3), (1,2,3), (1,3,2)\}\\
\\
体R_1を拡大した体R_2=R_1((u^3-v^3))=R_1(\sqrt{-27D})\\
=R_1(\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3))の中に根がないかと捜す。ない。\\
体R_2に対応する置換の集合S_2^3は、\{(1), (1,2,3), (1,3,2)\}\\
\\
体R_2を拡大した体R_3=R_2(u)=R_2(x_1+\omega x_2+\omega^2x_3)\\
=R_2(\sqrt[3] {u^3})の中に根がないかと捜す。ある。\\
体R_3に対応する置換の集合S_3^3は、\{(1)\}\\
\end{math}
\\
\begin{math}
次に4次方程式の解法を振り返ってみる。\\
u_1=x_1+x_2-x_3-x_4\\
u_2=x_1-x_2+x_3-x_4\\
u_3=x_1-x_2-x_3+x_4\\
とおいて、分解方程式\\
~~~~y^3-Ay^2+By-C^2=0~~~(A, B, C は原方程式の係数でかけている。)\\
の根はu_1^2, u_2^2, u_1^2 となる。\\
これらを開平すると、u_1, u_2, u_3 が出て、次にx_1, x_2, x_3, x_4 が解ける。\\
これを体の拡大により解釈すると、\\
最初は、R_1=R(-a,b,-c,d)\\
ここで、-a,b,-c,d は原方程式の係数。\\
-a=x_1+x_2+x_3+x_4\\
b=x_1x_2+x_1x_3+x_1x_4+x_2x_3+x_2x_4+x_3x_4\\
-c=x_1x_2x_3+x_1x_2x_4+x_1x_3x_4+x_2x_3x_4\\
d=x_1x_2x_3x_4\\
\therefore ~~~~(R_1 に対応するS_1^4)=4次の置換全部。\\
最初の拡大は、まず3次の分解方程式を解くのだから3根、u_1^2, u_2^2, u_1^2
の判別式を添加。即ち、\\
R_2=R_1(\sqrt{-27}(u_1^2-u_2^2)(u_1^2-u_3^2)(u_2^2-u_3^2))\\
=R_1(\sqrt{-27}(u_1-u_2)(u_1+u_2)(u_1-u_3)(u_1+u_3)(u_2-u_3)(u_2+u_3))\\
=R_1(\sqrt{-27})2^6(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_1-x_4)(x_2-x_3)(x_2-x_4)(x_3-x_4))\\
体R_2に対応する置換の集合S_2^4は、
\{(1), (1,2,3),(1,2,4), (1,3,4), (2,3,4), \\
(1,3,2),(1,4,2), (1,4,3), (2,4,3),(1,2)(3,4),
(1,3)(2,4), (1,4)(2,3)\}\\
次の拡大は3次方程式を解くためのu の添加。即ちこの場合は、\\
u=u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2 \\
であるから、\\
R_3=R_2(u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2)\\
体R_3に対応する置換の集合S_3^4を求める。\\
まず(1,2,3) (u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2) を計算する。\\
(1,2,3) (u_1^2)=((1,2,3) u_1)^2=(x_2+x_3-x_1-x_4)^2=u_3^2\\
(1,2,3) (u_2^2)=((1,2,3) u_2)^2=(x_2-x_3+x_1-x_4)^2=u_1^2\\
(1,2,3) (u_3^2)=((1,2,3) u_3)^2=(x_2-x_3-x_1+x_4)^2=u_2^2\\
\therefore ~~~(1,2,3) (u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2)
=u_3^2+\omega u_1^2+\omega^2 u_2^2
=\omega (u_1^2+\omega u_2^2+ \omega^2 u_3^2)=\omega u\\
即ち、変ってしまう。(1,2,3) は、体R_3に対応する置換の集合S_3^4 の元ではない。\\
同様の計算により、\\
(1,2,4)u=\omega^2 u\\
(1,3,4)u=\omega u\\
(2,3,4)u=\omega^2 u \\
(1,3,2)u=\omega^2 u\\
(1,4,2)u=\omega u\\
(1,4,3)u=\omega^2 u\\
(2,4,3)u=\omega u\\
より、3個の数字からなる巡回置換はS_3^4 の元ではない。\\
次に(1,2)(3,4) (u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2) を計算する。\\
(1,2)(3,4)u_1^2=(x_2+x_1-x_4-x_3)^2=u_1^2\\
(1,2)(3,4)u_2^2=(x_2-x_1+x_4-x_3)^2=u_2^2\\
(1,2)(3,4)u_3^2=(x_2-x_1-x_4+x_3)^2=u_3^2\\
即ち、変らない。(1,2)(3,4) は、体R_3に対応する置換の集合S_3^4 の元である。\\
同様の計算により、(1,3)(2,4), (1,4)(2,3) もS_3 の元である。\\
~~~\therefore ~~~体R_3に対応する置換の集合S_3=\{(1),(1,2)(3,4), (1,3)(2,4), (1,4)(2,3)\}\\
次の拡大はu_1^2 を開いたものを添加すること。即ち、\\
R_4=R_3(u_1)=R((x_1+x_2-x_3-x_4))\\
体R_4に対応する置換の集合S_4を求める。\\
(1,2)(3,4)u_1=x_2+x_1-x_4-x_3=u_1~~~即ち(1,2)(3,4) はS_4^4 の元。\\
(1,3)(2,4)u_1=x_3+x_4-x_1-x_2=-u_1~~~即ち (1,3)(2,4)はS_4^4 の元ではない。\\
(1,4)(2,3)u_1=x_4+x_3-x_2-x_1=-u_1~~~即ち (1,4)(2,3)はS_4^4 の元ではない。\\
~~~\therefore ~~~体R_4に対応する置換の集合S_4^4=\{(1),(1,2)(3,4)\}\\
次の拡大はu_2 を開いたものを添加すること。即ち、\\
R_5=R_4(u_2)=R((x_1-x_2+x_3-x_4))\\
体R_5に対応する置換の集合S_5^4を求める。\\
(1,2)(3,4)u_2=x_2-x_1+x_4-x_3=-u_2~~~即ち (1,2)(3,4)はS_5^4 の元ではない。\\
~~~\therefore ~~~体R_5に対応する置換の集合S_5^4=\{(1)\}\\
註~~~一見、u_3^2 をも開平する必要があるように思われるが、これは不要。\\
~~~~何故なら、C=u_1u_2u_3 は既にR_1 に入っていて、u_1 とu_2 がR_5
に入っているのだから、u_3=C/(u_1u_2)はR_5 に入っている。\\
\end{math}
\section{「重要な仮定」以降の証明}
2次方程式の体の拡大と、それに対応する置換の集合の縮小を図にすると、\\
\begin{math}
~~~~~R \subset R(\sqrt{D})\\
~~~~~S_2 \supset \{(1)\} \\
3次方程式の体の拡大とそれに対応する置換の集合の縮小を図にすると、\\
~~~~~R \subset R(\sqrt{-27D}) \subset R\Biggr(\sqrt{-27D},
\sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D}}{2}}}\Biggr)\\
~~~~~S_3 \supset \{(1), (1,2,3),(1,3,2)\} \supset \{(1)\} \\
4次方程式の体の拡大とそれに対応する置換の集合の縮小を図にすると、\\
~~~~~R \subset R(\sqrt{-27D'}) \subset R\Biggr(\sqrt{-27D'},
\sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D'}}{2}}}\Biggl)\\
\subset R\Biggr(\sqrt{-27D'}, \sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D'}}{2}}}, u_1\Biggl)
\subset R\Biggr(\sqrt{-27D'}, \sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D'}}{2}}}, u_1, u_2\Biggl)\\
~~~~~S_4 \supset \{(1), (1,2,3),(1,3,2), (1,2,4), (1,4,2), (1,3,4), (1,4,3), (2,3,4), \\
(2,4,3), (1,2)(3,4), (1,3)(2,4), (1,4)(2,3)\} \\
\supset \{(1), (1,2)(3,4), (1,3)(2,4), (1,4)(2,3)\} \\
\supset \{(1), (1,2)(3,4)\} \supset \{(1)\}
となっている。\\
ここで、添加する根号を調べると、\\
2次方程式のとき、\sqrt{D}=x_1-x_2 \\
3次方程式のとき、\sqrt{-27D}=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D}}{2}}}=x_1+\omega x_2+ \omega^2 x_3 \\
4次方程式のとき、\sqrt{-27D'}=\sqrt{-27}(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_1-x_4)\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\times (x_2-x_3)(x_2-x_4)(x_3-x_4)\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\sqrt[3]{\displaystyle{\frac{A+\sqrt{-27D'}}{2}}}=u_1+\omega u_2+ \omega^2 u_3 \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~=(x_1+x_2-x_3-x_4)^2+\omega (x_1-x_2+x_3-x_4)^2 + \omega^2 (x_1-x_2-x_3+x_4)^2\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~u_1=x_1+x_2-x_3-x_4\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~u_2=x_1-x_2+x_3-x_4\\
といずれも根の有理式(実際は多項式)で書けている。\\
そこで、次の「重要な仮定」をおく。(これは第3節で証明する。)\\
\end{math}
\begin{theorem}{(重要な仮定)}\label{重要な仮定}
方程式が根号によって解けたと仮定すると、各段階の体の拡大において添加すべき根号は、根の有理式
になっている。
\end{theorem}
次のことは当然のことであるが、念のため書いておく。\\
~~「根号内の式は、その一つ前の体の元からなる有理式である。」\\
\\
この仮定が証明されたものとすると、後は比較的容易に5次方程式が根号によって解けないことが示される。\\
~~まず、上の3例で、いずれも最初は平方根の添加、次の2例から、2番目に添加するものは3乗根であること
が見てとれる。実はこれは証明出来る事柄なのである。まずこれを示す。\\
\begin{theorem}\label{最初の拡大は2乗根}
\begin{math}
体の拡大はまず平方根から始まる。\\
証明~~~与えられた方程式を5次方程式とし、簡単のために、符号を次のようにする。\\
~~~~~x^5-a_1x^4+a_2x^3-a_3x^2+a_4x-a_5=0 \\
~~~根と係数の関係から、a_i (i=1, 2, 3, 4, 5) が基本対称式、(1,0,0,0,0), (1,1,0,0,0), \\
(1,1,1,0,0), (1,1,1,1,0), (1,1,1,1,1), になることは分かるであろう。\\
~~~a_1, a_2, a_3, a_4, a_5 からなる体をR_1 とおく。\\
~~さて、R_1 に添加すべき冪根を\sqrt[p]{r} とすれば、(p=2 であることを示すのが目標である。)\\
「重要な仮定」により、\\
~~~~~~~\sqrt[p]{r} は、根、x_1, x_2, x_3, x_4, x_5 の有理式。
これを、\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) とおく。即ち、\\
~~~~~~~~~\sqrt[p]{r}=\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
根号内の式 r は勿論、その一つ前の体の元からなる有理式である。即ち、対称式である。\\
~~~~~~~~r=\phi^p (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
体を拡大させるために\sqrt[p]{r} を作ったのだから、勿論\sqrt[p]{r} は対称式ではない。\\
従って、何か置換 \sigma があって、これに作用すると変化する。即ち、\\
~~~~~\sigma \phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) \ne \phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
置換 \sigma は、互換(2個の数字の置換)の積に書ける。即ち、\\
~~~~~\sigma=(i_m, j_m)(i_{m-1}, j_{m-1}) \ldots (i_2, j_2)(i_1, j_1)\\
~~~~~~~~~~~~~このことは証明していないが、例えば、\\
~~~~~~~~~~~~~(1,2,3,4,5)=(1,2)(2,3)(3,4)(4,5)\\
~~~~~~~~~~~~~となることから明らかであろう。\\
右から順に作用させていって、初めて\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)でなくなった(i_k, j_k)を
改めて(i, j)とおく。\\
~~~~~~~~~~~~~このような(i_k, j_k)は必ず存在する。\\
~~~~~~~~~~~~~\because もし存在しなければ、最後の(i_m, j_m)まで行って、\\
~~~~~~~~~~~~~\sigma \phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) = \phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)となり、矛盾。\\
(i, j)\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) を\phi' (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) とおく。即ち、\\
(i, j)\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) =\phi' (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
仮定より勿論、\\
~~~~~\phi' (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) \ne \phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
さて、上の式、(i, j) \phi=\phi' をp 乗する。(変数を書くのは省略。)\\
~~~~~((i, j) \phi)^p=(\phi')^p\\
この左辺は \phi に変数x_i, x_jの入れ換えを行った後、p 乗したもの。従って、これを逆の順序
つまり、p 乗した後、変数の入れ換えを行ったものに等しい。故に次の式が成り立つ。\\
~~~~~(i, j) \phi^p=(\phi')^p\\
ところが左辺の \phi^p はR の元であるから対称式。故に(i, j) を作用させても変化なし。従って、\\
~~~~~\phi^p=(\phi')^p\\
~~~~\therefore \phi'=\epsilon \phi ~~~~~(\epsilon ~は、1の虚p 乗根、又は-1。)\\
さて、(i, j)(i, j)=(1) であるから、\\
~~~~~(i, j)(i, j) \phi =\phi \\
この左辺は、(i, j)\bigr((i, j)\phi\bigl)=(i, j) \phi'=(i, j) \epsilon \phi =\epsilon (i, j) \phi=\epsilon^2 \phi \\
即ち、\\
~~~~~\epsilon^2 \phi= \phi \\
\therefore ~~~\epsilon^2=1 \\
\epsilon=1 とすると、\phi' = \phi となり矛盾。従って、\epsilon=-1\\
\therefore ~~~\phi' = -\phi \\
一方、\phi^p=(\phi')^p より、\phi^p=(-\phi)^p \\
\therefore ~~~p は2の倍数。\\
p が4, 6, 8, \ldots のときは、次々に2乗根を添加して体を拡大することにすれば、最初に拡大すべきp
は2。即ち、2乗根。そして、根x_1, x_2, x_3, x_4, x_5 はいずれも特別扱いをしていないから、(i, j)
で言えたことはすべての他の組み合わせで言えなければならない。即ち \phi は、\\
~~~~~(1,2) \phi =-\phi ~~~~~(1,3) \phi =-\phi ~~~~~(1,4) \phi =-\phi ~~~~~(1,5) \phi =-\phi \\
~~~~~(2,3) \phi =-\phi ~~~~~(2,4) \phi =-\phi ~~~~~(2,5) \phi =-\phi ~~~~~(3,4) \phi =-\phi \\
~~~~~(3,5) \phi =-\phi ~~~~~(4,5) \phi =-\phi \\
を満たさねばならない。上の10の関係を満たす多項式を5次の交代式という。\\
ここで一般に「交代式」の定義を書いておく。
\end{math}
\begin{definition}\label{交代式}
2個の置換(i,j)~(これを互換という)によって符号を変える多項式を交代式という。
\end{definition}
\begin{math}
(註~~~この定義に矛盾が生じないかどうかを示す必要があるが、ここでは省略する。)\\
\\
以上から分かったことは、「最初の拡大は2乗根によるものであり、添加すべき式は交代式」
ということである。\\
交代式の例は簡単に作れて、\\
~~~p=(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_1-x_4)(x_1-x_5)(x_2-x_3)(x_2-x_4)(x_2-x_5)\\
~~~~~~~\times (x_3-x_4)(x_3-x_5)(x_4-x_5)\\
このp を最簡交代式というが、これを用いると、任意の交代式~\phi ~はh を対称式として、\\
~~~~~~~~~~~~\phi=h p \\
と書けることが証明される。\\
証明には、因数定理「多項式の変数x にp を代入して0になれば、その多項式はx-p で割り切れる」を用いる。\\
まず交代式~\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) が(x_1-x_2)で割り切れることを言う。\\
\because ~~~(1,2)\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)=-\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) \\
~~~~~~この左辺は\phi (x_2, x_1, x_3, x_4, x_5)である。故に、\\
~~~~~~\phi (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)=-\phi (x_2, x_1, x_3, x_4, x_5)\\
この\phi のx_1 に x_2 を代入すると、\\
~~~~~~\phi (x_2, x_2, x_3, x_4, x_5)=-\phi (x_2, x_2, x_3, x_4, x_5)\\
右の式を左辺に移項して、\\
~~~~~~~~ ~~~2\phi (x_2, x_2, x_3, x_4, x_5)=0\\
\therefore ~~~\phi (x_2, x_2, x_3, x_4, x_5)=0\\
即ち、\phi は(x_1-x_2)で割り切れる。\\
同様にして、(x_1-x_3) \ldots (x_4-x_5) で割り切れるから、\phi~ はp で割り切れる。
その商をh とすると、\\
~~~~~~\phi=hp\\
ここでh が対称式であることを言う。\\
~~~~~~両辺に(1,2) を施して、\\
~~~~~~~~~~~ ~~~(1,2)\phi=(1,2)(hp) \\
~~~~~この左辺は-\phi。 故に -hp。\\
~~~~~右辺は、[(1,2)h][(1,2)p]に等しい。またこれは(1,2)h(-p) であるから、\\
~~~~~~~~~~(1,2)h(-p)=-hp \\
~~~~~~両辺を~-p~で割って、\\
~~~~~~~~~~~(1,2)h=h\\
~~~~~同様にしてどんな(i,j) に対しても、(i,j)h=h \\
~~~~~即ちh は対称式。\\
以上から分かったことは、「最初の拡大は2乗根によるものであり、添加すべき式はhp
(対称式\times 最簡交代式)」
ということである。ところが、対称式はもともとR_1 の元であるから、添加の必要はない。\\
即ち、「最初の拡大は2乗根によるものであり、添加すべき式は最簡交代式である」こと
が分かった。(証明終わり)
\end{math}
\end{theorem}
\begin{math}
R_2 は、R_1 に最簡交代式 P を添加して作られた。\\
~~最簡交代式は互換を施すと変化するが、互換を偶数回施しても変化しない。つまり、R_2 の元を変化さ
せない置換は、偶数回の互換によって出来る置換である。そこで次の定義を設ける。\\
\end{math}
\begin{definition}\label{偶置換}
偶数個の互換の積で出来る置換を偶置換という。それ以外の置換を奇置換という。(1) は0 回の互換を
行って出来る置換だから偶置換に入れる。\\
\end{definition}
例~~~(1,2,3)=(1,2)(2,3) ~~~~偶置換\\
~~~~~(1,2,3,4)=(1,2)(2,3)(3,4)~~~~奇置換\\
~~~~~(1,2)(2,3,4)=(1,2)(2,3)(3,4)~~~~~奇置換\\
(註~~~「ある置換が偶数個の互換で表され、かつ奇数個の互換でも表される」ということはおこらない。
このことは証明を要することであるが、ここでは省略する。)\\

次に証明する定理は、「平方根の次の体の拡大は立方根」であるが、準備のためまず次の定理を示す。\\
\begin{theorem}\label{偶置換によって変化しない多項式}
\begin{math}
任意の偶置換によって変化しない多項式~\phi ~はS+S'P (ここでS、S'は対称式、
P は最簡交代式)と表される。\\
証明~~~最初に、任意の偶置換は3個の数字の置換(i,j,k) の積によって表されることを示す。\\
~~そのためにまず、任意の互換~(i,j) ~は~(1,l)~の形の互換の積によって表されること
を言う。それは、\\
~~~~~~~~~~~~~~(i,j)=(1,i)(1,j)(1,i)~~~だからである。\\
~~従って、2個の(1,l) の形の互換の積が(i,j,k) と書けることを言えばよい。それは,
ただ計算すれば出てくる。つまり、\\
~~~~~~~~~~~~(1,i)(1,j)=(1,j,i) \\
~~~~~~~~となるから。これで示された。\\
~~~~~~~~~~~~~~~例~~~(1,2)(3,4)=(1,2)(1,3)(1,4)(1,3)=(1,3,2)(1,3,4)\\
~~~~~~~~~~~~~~(2,3)(4,5)=(1,2)(1,3)(1,2)(1,4)(1,5)(1,4)=(1,3,2)(1,4,2)(1,4,5)\\
従って、上に掲げた定理は、「任意の(i,j,k)によって変化しない多項式はS+S'Pと表される」
を示せばよいことになった。これを示す。\\
~~もし与えられた多項式~\phi~ が任意の(i,j) によって変化しないならば ~\phi~ は
対称式だから、S'=0 とおけばよい、からこの場合はすみ。\\
~~ある(i,j)が存在して、(i,j)\phi=\phi' ~~~(\phi' \ne \phi) とする。\\
すると\phi は、任意の互換(k,l) を(1回)施されて \phi' となる。\\
~~~~~~~~~~\because ~~~(k,l)(i,j)が偶置換だから変化せず、(k,l)(i,j)\phi=\phi \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~両辺に(k,l) を施して、(i,j)\phi=(k,l)\phi\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\therefore ~~~(k,l)\phi=\phi' \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~これで示された。\\
即ち、\phi は、任意の奇置換に対して \phi' となる。\\
~~また、\phi' は、任意の偶置換に対して\phi'となり、任意の奇置換に対して\phi となる。\\
(\because~~~ 置換を互換の積になおして考えればよい。)\\
すると、\displaystyle{\frac{\phi+\phi'}{2}}は対称式、
\displaystyle{\frac{\phi-\phi'}{2}}は交代式になる。\\
\Biggr(\because ~~~\tau を奇置換とすれば、~\tau \Bigr( \displaystyle{\frac{\phi-\phi'}{2}}\Bigl)
=\displaystyle{\frac{\phi'-\phi}{2} }より。\Biggl)\\
\phi は上の二つの式をつかって、\\
~~~~~\phi=\displaystyle{\frac{\phi+\phi'}{2}}+\displaystyle{\frac{\phi-\phi'}{2}}
=対称式+交代式\\
と表すことが出来、また、任意の交代式はS'P (S' は対称式、P は最簡交代式)と書けるから、\\
~~~~~\phi=S+S'P\\
と表すことが出来た。~~~(証明終わり)\\
\end{math}
\end{theorem}
上の定理により、「最初の拡大によって出来た体$R_1$の元は任意の偶置換によって変化しない多項式」で
あることが分かった。\\
ここで次の定理を示す。\\
\begin{theorem}\label{2番目の拡大は3乗根}
\begin{math}
2番目の体の拡大は立方根による。\\
証明~~~R_1に\psi(x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) を添加して体を拡大する。\\
~~~~~\psi(x_1, x_2, x_3, x_4, x_5)=\sqrt[q]{r_1}~~~(r_1は R_1 の元)\\
としてq を求める。(q=3 が予告していた数である。)\\
\psi ~は、R_1 の元ではないから、ある(i,j,k) があって、\\
(i,j,k) \psi =\psi' ~~~(\psi' \ne \psi)\\
\psi をq 乗するとR_1 の元だから、これに(i,j,k) を施しても不変。\\
(i,j,k) \{\psi^q\}=(\psi)^q \\
q 乗してから変数を入れ換えても、変数を入れ換えてからq 乗しても同じだから、\\
\{(i,j,k)\psi \}^q=(\psi)^q \\
\therefore ~~~(\psi' )^q=\psi^q \\
\therefore~~~\psi' =\omega \psi ~~~~(\omega は1の虚q乗根)\\
さて、(1,2,3)(1,2,3)(1,2,3)=(1) だから、\\
\psi=(1,2,3)(1,2,3)(1,2,3)\psi=\omega^3 \psi \\
故に、 ~~~\omega は1の虚3乗根。\\
~~~ (\omega \psi )^q=\psi^q~~~より、q は3の倍数。\\
q が6, 9, 12, \ldots のときは、3乗根を次々と添加することにして、(2乗根の次に)最初に
添加すべき根は3乗根。即ちR_2=R_1(\sqrt[3]{r_1}) であることが分かった。~~~(証明終わり)\\
\end{math}
\end{theorem}
\begin{math}
~~さて、5次方程式のときに、2回目の拡大が出来るであろうか。実はこの拡大が不可能であることが
証明されるのである。(1回目の拡大は最簡交代式の添加であるから、これは可能。)\\
~~ここですぐその証明をしても気分が出ないと思われるので、3次、4次方程式の場合を振り返ってみる
ことにする。\\
\\
3次方程式のとき。\\
~~~u=x_1+\omega x_2 +\omega^2 x_3 \\
とおくと、u はR_1 の元ではない。なぜなら、\\
(1,2,3)u=x_2+\omega x_3 + \omega^2 x_1 =\omega^2 (x_1+\omega x_2 +\omega^2 x_3)=
\omega^2 u \ne u \\
即ち、偶置換で変化してしまうから。ところが、u^3 はR_1 の元である。
なぜなら、S_3 には偶置換は(1) を除いて2個、つまり(1,2,3)と(1,3,2)しかなくて、\\
(1,2,3)u^3=\{(1,2,3)u\}^3=\{\omega^2 u\}=\omega^6 u^3=u^3 \\
(1,3,2)u^3=\{(1,3,2)u\}^3=\{\omega u\}=\omega^3 u^3=u^3 \\
であるから。\\
即ち、変数が3個のときは、「それ自身は偶置換で変化するが、その3乗は偶置換では変化しない
多項式」を捜すことが出来ている。\\
\\
4次方程式のとき。\\
u_1=x_1+x_2-x_3-x_4\\
u_2=x_1-x_2+x_3-x_4\\
u_3=x_1-x_2-x_3+x_4\\
とし、\\
u=u_1^2+\omega u_2^2+\omega^2 u_3^2 \\
とおくと、u はR_1 の元ではない。なぜなら、\\
(1,2,3)u=u_3^2+\omega u_1^2 + \omega^2 u_2^2 =\omega u \ne u \\
(ここでの(1,2,3) は、変数x についてであって、u に対するものでないことに注意。)\\
であった。\\
しかしu^3 はR_1 の元。なぜなら、\\
(1,2,3)u^3=\{(1,2,3)u\}^3=(\omega u)^3=u^3 ~~~etc\\
だからである。即ち、「それ自身は偶置換で変化するが、その3乗は偶置換では変化しない
多項式」を捜すことが出来ている。\\
\\
5次方程式でこれを捜そうとしても、うまくいかないのである。少し努力してみる。例えば、\\
3乗でR_1 に入るのだから、\psi=u_1^2+ \omega u_2^2+\omega^2 u_3^2 として、
u_1, u_2, u_3 にうまいx_1, x_2, x_3, x_4, x_5 の多項式を考えつけばよい。しかしこれは
難しい。例えば u_1 として、\\
u_1=x_1+x_2-x_3-x_4-x_5 \\
とおき、(1,2,3) を作用させると、\\
(1,2,3)u_1=x_2,+x_3-x_1-x_4-x_5 \\
これはu_1 とは違うので、-u_2 とおいて、\\
u_2=x_1-x_2-x_3+x_4+x_5 \\
(1,2,3)u_2=x_2-x_3-x_1+x_4+x_5 \\
これはu_1 とも、u_2とも違うので、-u_3 とおいて、\\
(1,2,3)u_3=x_2-x_3+x_1-x_4-x_5 =u_1\\
即ち、\\
(1,2,3)u_1^2=u_2^2\\
(1,2,3)u_2^2=u_3^2\\
(1,2,3)u_3^2=u_1^2\\
で、\\
(1,2,3)\psi=\omega^2 \psi\\
一方、3乗の方は、
(1,2,3)\psi^3=\{(1,2,3)\psi\}^3=\{\omega^2 \psi\}=\psi^3\\
つまり、「(1,2,3)で3乗は変らないが元の式は変る」ものが出来た。\\
しかし\psi^3 がR_1 の元であるためには、「どんな偶置換に対しても\psi^3 が変らない」
ことが必要なのである。そこで、偶置換(1,2,3,4,5)でやってみると、\\
(1,2,3,4,5)u_1^2=(x_2+x_3-x_4-x_5-x_1)^2=u_2^2 \\
である。が、\\
(1,2,3,4,5)u_2^2=(x_2-x_3-x_4+x_5+x_1)^2=(x_1+x_2-x_3-x_4+x_5)^2\\
となり、u_1 でもu_2 でもない。つまり、
(1,2,3,4,5)\psi^3 は\psi^3 ではないのである。\\
~~さて、実は次のことが言えるのである。\\
\end{math}
\begin{theorem}\label{5変数のとき3次の拡大は無理}
\begin{math}
\psi を5変数x_1, x_2, x_3, x_4, x_5 の多項式とする。すると、\\
\psi^3 が任意の偶置換によって変化しないならば、\psi は任意の偶置換によって変化しない。\\
証明~~~(1,3,2,4,5) は偶置換。\\
\therefore~~~(1,3,2,4,5) \psi^3=\psi^3 \\
\therefore~~~\{(1,3,2,4,5) \psi\}^3=\psi^3 \\
\therefore~~~(1,3,2,4,5) \psi=\omega \psi ~~~(\omega^3=1)\\
(注意~~~ここで、\omega^3=1~ であって、「\omega は1の虚3乗根」でないことに注意。
即ち、(1,3,2,4,5) \psi= \psi かもしれない。)\\
一方、(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)=(1) だから、\\
\psi=(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)(1,3,2,4,5)\psi=\omega^5 \psi \\
\therefore ~~~\omega^5=1 \\
\omega^3=1 でもあったから、\\
~~~~~~~~~~~\omega=1 \\
\therefore~~~(1,3,2,4,5)\psi=\psi\\
同様の計算によって、\\
~~~~~~~~~~~(3,2,1,5,4)\psi=\psi\\
\therefore ~~~(3,2,1,5,4)(1,3,2,4,5)\psi=\psi \\
\therefore~~~(1,2,3)\psi=\psi \\
同様の計算により、任意の(i,j,k) に対し、\\
~~~~~~~~~~~~(i,j,k)\psi=\psi \\
即ち\psi はR_1 の元。~~~~(証明終わり)\\
\end{math}
\end{theorem}
\begin{math}
~~即ち、変数が5個あると、3次の根号を添加することによって体を拡大することは出来ないのである。\\
すると5次方程式はR(\sqrt{D})までの拡大で根を含まねばならないが、これは、\\
~~~~~~x_1=S_1+S_2P ~~~(S_1, S_2 は対称式、P は最簡交代式)\\
が恒等式になり得ないので無理。\\
以上から「5次方程式は根号を用いて根を求めることは出来ない」ことが示された。\\
\end{math}

\section{「重要な仮定」の証明}
\begin{math}
~~さて、残った「重要な仮定」、即ち、定理\ref{重要な仮定}(重要な仮定)「体を拡大するときに添加する根号は
与えられた方程式の根の有理式で書ける」を示すことが、この節の目的である。\\
~~これが2次、3次、4次方程式のときに成立していたことを、諄(くど)いようであるが
もう一度見てみる。\\
\\
1~~~2次方程式のとき。~~\sqrt{D}=x_1-x_2 ~~で大丈夫。\\
2~~~3次方程式のとき。~~\sqrt{-27D}=(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3) \\
~~~~~~~~~~~~~~~~次にu を添加。~~u=x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3 \\
~~~~~で大丈夫。\\
3~~~4次方程式のとき。~~\sqrt{-27D'}=(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_1-x_4)(x_2-x_3)\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x_2-x_4)(x_3-x_4)\\
~~~~次にu を添加するが、これは、u=(x_1+x_2-x_3-x_4)^2 \\
~~~~~~~~~~~~~~~+\omega (x_1-x_2+x_3-x_4)^2+\omega^2 (x_1+x_2-x_3-x_4)^2 \\
~~~~次にu_1 を添加するが、これは、u_1=x_1+x_2-x_3-x_4 \\
~~~~次にu_2 を添加するが、これは、u_2=x_1-x_2+x_3-x_4 \\
~~~~で大丈夫。\\
~~~以下定理\ref{重要な仮定}を示すが、途中4個所で証明を飛ばす。これは証明の筋道
を追いやすいようにとの配慮であるが、この方法が成功しているかどうかは未知。勿論後に
証明を定理、あるいは問題の形で説明する。また、「最後から2番目の拡大に関して成立」
の部分はアーベルのもとの論文でも分かり難いので、後で解説をつける。\\
\\
定理\ref{重要な仮定}の証明~~~5次方程式\\
~~~~~x^5+a_1x^4+a_2x^3+a_3x^2+a_4x+a_5=0 \\
が与えられていて、a_1、a_2、a_3、a_4、a_5からなる体R_1 を拡大していって、\\
~~~~~~R_1 \subset R_2 \subset \cdots R_{k-1} \subset R_{k-1}(\sqrt[p]{r})=R_{k} \\
のところで解けたとする。\\
~~~~~~\sqrt[p]{r}=\alpha \\
とおいて、\\
~~~~x_1=r_0+r_1\alpha + \cdots + r_{p-1} \alpha^{p-1} \\
~~~~~(r_0, r_1, \cdots r_{p-1} はR_{k-1} の元。)\\
が根だとする。(このように、分母を有理化できることは証明を要すが、後に
問題\ref{有理化}において説明する。)\\
~~このとき、R に添加すべき元を少し変更することによって、\alpha の1乗の係数 r_1
を1 にすることが出来、改めて根 x_1 は、\\
~~~~x_1=r_0+\alpha + \cdots + r_{p-1} \alpha^{p-1} \\
としてよい。(このように、1にできることは証明を要すが、後に
定理\ref{1に出来る}において示す。)\\
~~このx_1 を原方程式に代入して、\alpha の冪で整頓すると、\\
~~~~~~~~T_0+T_1 \alpha ++T_1 \alpha^2+ \cdots ++T_{p-1} \alpha^{p-1} =0 \\
~~~~~~(T_i (i=0, 1, \cdots p-1)はR_{k_1} の元。)\\
となる。(\because ~~~\alpha が根だから。)\\
~~表現の一意性により、(「表現の一意性」は証明を要すが、後に定理\ref{表現の一意性}
において示す。)\\
~~~~~~~~T_0=T_1=T_2= \cdots =T_{p-1}=0 \\
となる。故に、\epsilon を1の虚p 乗根として、\\
~~~~x_2=r_0+(\epsilon \alpha)+r_2+(\epsilon \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon \alpha)^{p-1}\\
~~~~x_3=r_0+(\epsilon^2 \alpha)+r_2+(\epsilon^2 \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon^2 \alpha)^{p-1}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\cdots \cdots \cdots\\
~~~~x_{p}=r_0+(\epsilon^{p-1} \alpha)+r_2+(\epsilon^{p-1} \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon^{p-1} \alpha)^{p-1}\\
とおき、これらを原方程式に代入すると、\\
x_2 を代入~~~~T_0+T_1(\epsilon \alpha) + T_2(\epsilon \alpha)^2 + \cdots +T_{p-1}(\epsilon \alpha)^{p-1}=0\\
x_3 を代入~~~~T_0+T_1(\epsilon^2 \alpha) + T_2(\epsilon^2 \alpha)^2 + \cdots +T_{p-1}(\epsilon^2 \alpha)^{p-1}=0\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\cdots \cdots \cdots \\
x_{p} を代入~~~~T_0+T_1(\epsilon^{p-1} \alpha) + T_2(\epsilon^{p-1} \alpha)^2 + \cdots +T_{p-1}(\epsilon^{p-1} \alpha)^{p-1}=0\\
(このことはちょっと分かり難いので、後に練習問題\ref{Tになること}として解説する。)\\
となるから、x_1, x_2, \cdots x_{p}, は原方程式の根。\\
\epsilon は1の虚p 乗根だから、\\
~~~~~\epsilon^{p-1}+\epsilon^{p-2}+ \cdots +\epsilon^2+\epsilon^1 +1 =0 \\
に気をつければ、\alpha はx_1, x_2, \cdots x_{p} で次のように表される。\\
~~~~\alpha = \displaystyle \frac{1}{p}(x_1+\epsilon^{-1} x_2+\epsilon^{-2}x_3+ \cdots +\epsilon^{-(p-1)}x_{p})\\
これで、「最後に添加すべき根号は原方程式の根の有理式で表される」は示された。\\
次に「最後から二番目に添加すべき根号も原方程式の根の有理式で表される」を示す。\\
(これが示されれば、この証明が次々に前に適用出来て、証明終りとなる。)\\
そのときに使うので、上の式から、r_0, r_2, r_3, \cdots , r_{p-1}も原方程式の根の有理式で表される
ことを言っておく。\\
~~~~r_0 = \displaystyle \frac{1}{p}(x_1+ x_2+x_3+ \cdots +x_{p})\\
~~~~r_2\alpha^2 = \displaystyle \frac{1}{p}(x_1+\epsilon^{2(-1)} x_2+\epsilon^{2(-2)}x_3+ \cdots +\epsilon^{-2(p-1)}x_{p})\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\cdots \cdots \cdots \\
~~~~r_{p-1}\alpha^{p-1} = \displaystyle \frac{1}{p}(x_1+\epsilon^{(p-1)(-1)} x_2+\epsilon^{(p-1)(-2)}x_3+ \cdots +\epsilon^{-(p-1)(p-1)}x_{p})\\
ここで \alpha は既に原方程式の根で表されているから、r_0, r_2, r_3, \cdots , r_{p-1}も原方程式の根の有理式で表されている。\\
さて、最後から二番目の拡大をR(\sqrt[q]{r}) とする。即ち、拡大が次のようになっているとする。\\
~~~R \subset \cdots \subset R_{k-2} \subset R_{k-2}(\sqrt[q]{r}) \subset R_{k-2}(\sqrt[q]{r}, \sqrt[p]{r'}) \\
~~最後から二番目の拡大のときの添加する\sqrt[q]{r} が、原方程式の根、x_1, x_2, \cdots x_p で表されることを言う。\\
(以下の証明はひどくさっぱりしている。しかし分かり難いので、後に練習問題\ref{最後から二番目}として解説する。)\\
すぐ前にやった結果から、r_0, r_2, r_3, \cdots , r_{p-1}も原方程式の根の有理式で表されている。\\
この中で、R_{k-2}(\sqrt[q]{r})に拡大して初めて含まれたものがある筈。(もしそうでなければ、
r_0, r_2, r_3, \cdots , r_{p-1} は全てR_{k-2}までの元であり、R_{k-1}まで拡大することなく
\sqrt[p]{r'} を添加することによってx_1, x_2, \cdots x_p, が解けたことになる。これは矛盾。)\\
そのr_i をy_0 とおく。y_0 はx_1, x_2, \cdots x_p の有理式である。今、S_5 を5 次の置換
全部の集合として、(その数は5 の階乗個ある。従って、120個の置換となる。)
次の方程式F(y)=0 を考える\\
\end{math}
\begin{equation}\label{エフワイの式}
F(y)=\displaystyle \prod _{\sigma \in S_5}(y-\sigma y_o)=0
\end{equation}
\begin{math}
と、これは120次の方程式だが、係数はx_1, x_2, \cdots x_5 の対称式。従って、原方程式
の係数で書けている。\\
~~このことを次の様に解釈する。即ち、\\
~~最初に方程式F(y)=0 が与えられていて、これを解こうとする。係数の体(これは原方程式の
係数のなす体と同じ)を拡大していって、R_{k-1}=R_{k-2}(\sqrt[q]{r}) まで来たとき、y_0 が初めて
解けた。\\
~~即ち、最後に添加した\sqrt[q]{r} は、\sigma y_0 (\sigma \in S_5) で表される。\\
~~\sigma y_0 (\sigma \in S_5) はx_1, x_2, \cdots x_5 の有理式だから、\sqrt[q]{r} は
x_1, x_2, \cdots x_5 の有理式である。~~~~~(証明終わり)\\
\end{math}

さて、残されたものをやる。\\
\begin{question}\label{有理化}
\begin{math}
1)~~次の \xi を有理化せよ。但し \alpha=\sqrt[3]{2} である。\\
~~~~~~~\xi=\displaystyle \frac{1}{g(\alpha)} =\displaystyle \frac{1}{1+2 \alpha +3 \alpha^2} \\
2)~~~~次の \xi を有理化せよ。但し \alpha=\sqrt[5]{2} である。\\
~~~~~~~\xi =\displaystyle \frac{1}{g(\alpha)} =\displaystyle \frac{1}{1+2 \alpha +3 \alpha^2+4 \alpha^3 +5 \alpha^4} \\
(解-1)分子、分母に\\
~~~~~g(\omega \alpha) g(\omega^2 \alpha) ~~~(\omega~ は1の虚3乗根)\\
をかける。\\
g(\omega \alpha) g(\omega^2 \alpha)=(1+2 \omega \alpha +3 \omega^2 \alpha^2)
(1+2 \omega^2 \alpha +3 \omega \alpha^2)\\
=1+2 \omega \alpha +3 \omega^2 \alpha^2 \\
~~~~~~~2 \omega \alpha +4 \alpha^2 + 12\omega^2 \\
~~~~~~~~~~~~~~~3 \omega^2 \alpha^2+ 12 \omega +18 \alpha \\
=(1+12 \omega +12 \omega^2) + (2 \omega^2 + 2 \omega +18) \alpha + (3 \omega +4 + 3 \omega^2) \alpha^2 \\
=-11+16\alpha +\alpha^2 \\
\therefore ~~~\xi=\displaystyle \frac{-11+16\alpha +\alpha^2}{(1+2 \alpha +3 \alpha^2)(-11+16\alpha +\alpha^2)}\\
~~~~=\displaystyle \frac{-11+16 \alpha + \alpha^2}{89}~~~~(解1~~終わり)\\
1)~~の解説。\\
何故g(\omega \alpha) g(\omega^2 \alpha)~~には\omega がなくなるかというと、この式は
\omega \alpha と\omega^2 \alpha の対称式。従って、変数2の基本対称式で書ける。実際に
その基本対称式を作ってみると、\\
\sigma_1=\omega \alpha+\omega^2 \alpha=-\alpha \\
\sigma_2=(\omega \alpha)( \omega^2 \alpha)=\alpha^2 \\
確かに\omega は含まれていない。この2個と、元の式の係数で表されるのだから、\omega は含まれない。\\
次に、何故分母が有理化されるかというと、\\
~~g(\alpha)g(\omega \alpha) g(\omega^2 \alpha)~は\alpha, \omega \alpha と
\omega^2 \alpha の対称式。従って、変数3の基本対称式で書ける。実際に
その基本対称式を作ってみると、\\
\sigma_1=\alpha+\omega \alpha+\omega^2 \alpha=0 \\
\sigma_2=(\alpha)(\omega \alpha)+(\alpha)(\omega^2 \alpha)+(\omega \alpha)( \omega^2 \alpha)=0 \\
\sigma_3=(\alpha)(\omega \alpha)(\omega^2 \alpha)=2 \\
0, 0, 2 と、元の式の係数で表されるのだから\alpha ~は含まれない。(解説終わり)\\
\\
(解-2)分子、分母に\\
~~~~~g(\epsilon \alpha) g(\epsilon^2 \alpha) g(\epsilon^3 \alpha)g(\epsilon^4 \alpha)~~~(\epsilon~ は1の虚5乗根)\\
をかける。\\
~~すると、分母は有理化され、分子には~\epsilon~ は含まれず、\\
\xi=\displaystyle \frac{-3359+4028 \alpha +121 \alpha^2+110 \alpha^3+100 \alpha^4}{38949} \\
(解2~~終わり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{theorem}\label{1に出来る}
\begin{math}
R_(\sqrt[p]{r}) まで拡大して、方程式の根x_1 が、(\sqrt[p]{r}=\alpha とおいて) \\
~~~~x_1=r_0+r_1 \alpha +r_2 \alpha^2+ \cdots +r_{p-1} \alpha^{p-1} \\
として解けたとする。このとき、拡大のとき添加すべき\sqrt[p]{r} を少し変えることにより、\\
~~~~x_1=r_0+\alpha +r_2 \alpha^2+ \cdots +r_{p-1} \alpha^{p-1} \\
と、\alpha の係数を1にすることが出来る。\\
証明~~case~~1)~~r_1 \ne 0, ~~ case~~2) ~~r_1=0 , の二つの場合に分けて示す。\\
case~~1) ~のとき。\\
R に\sqrt[p]{r}~ を添加する代わりに、r_1\sqrt[p]{r} を添加すればよい。\\
r_1\sqrt[p]{r} を改めて\beta とおく。即ち、\\
\beta=r_1\alpha \\
\alpha=\displaystyle \frac{\beta}{r_1} \\
であるから、\\
x_1=r_0+\beta+r_2\displaystyle \biggr(\frac{1}{r_1}\biggl)^2 \beta^2+ \cdots +
r_{p-1}\displaystyle \biggr(\frac{1}{r_1}\biggl)^{p-1} \beta^{p-1}\\
ここでr_i\displaystyle \biggr(\frac{1}{r_1}\biggl)^i はR の元であるから、改めてr_i と
おけば、体R(\beta) において、\\
~~~~x_1=r_0+\beta +r_2 \beta^2+ \cdots +r_{p-1} \beta^{p-1}\\
と書けた。これでcase~1)~の証明は終わり。\\
case~2)~即ちr_1=0~~のとき。\\
~~r_i~(i=2,3, \cdots p-1) の中で、0~に等しくない最初のものをr_m \alpha^m とする。
(これは必ず存在する。そうでなければ、x_1=r_0 、即ち、x_1 がその前の体R の元となり、
拡大する必要がなかったことになる。)\\
そして、\beta=r_m \alpha^m~とおいて、R に\beta を添加して体R(\beta) を作ればよい。\\
あと示さねばならないことは、「\alpha をR の元と\beta で表すことが出来る」である。\\
以下、その証明。\\
~~p は素数、m はそれより小さい自然数だから、p と m は互いに素。
従って最大公約数は1。故にうまい整数h とk を捜してくれば、\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~mh=pk+1 \\
と出来る。(具体的にはユークリッドの互除法を使えばよい。この解説も後でする。)\\
\therefore~~~~\alpha^{mh}=\alpha^{pk} \alpha \\
\alpha^p=r, \alpha^m=\displaystyle \frac{\beta}{r_m}だから、
\biggr(\displaystyle \frac{\beta}{r_m}\biggl)^h=r^k \alpha \\
\therefore~~~~~~~\alpha=\displaystyle \frac{\beta^h}{r_m^hr^k}\\
即ち、\alpha はR(\beta) の元。\\
なおまた、x_1は、\\
x_1=r_0'+\beta +r_2' \beta^2 + \cdots +r_{p-1}' \beta^{p-1}\\
と表される。~~~~(証明終わり)\\
\end{math}
\end{theorem}
~~数に関するユークリッド互除法を忘れた人のために、次の練習問題を解いておく。\\
\begin{question}\label{数に関するユークリッド互除法}
\begin{math}
問~~p=87 とq=67 は互いに素である。hp=kq+1 を満たす整数h とk を求めよ。\\
解~~87を67で割って余りを求める。\\
~~~~~~87=67 \times1+20~~~~~\therefore~~~20=p-q \\
~~~~その余り20で67を割って余りを求める。\\
~~~~~~67=20 ・\times3+7 ~~~~~\therefore~~~7=q-3\times 20=q-3(p-q)=4q-3p \\
~~~~その余り7で20を割って余りを求める。\\
~~~~~~20=7 \times 3+(-1) ~~~~~\therefore~~~-1=20-3\times 7= (p-q)-3(4q-3p)=10p-13q \\
即ち、\\
~~~~~~~h=-10, k=-13\\
が、求める整数解(の一つ)であって、\\
~~~~~~-10p=-13q+1~~~~~~(解終わり)\\
\end{math}
\end{question}
次の「一意性」の定理を示す前に多項式の最大公約数を見つけるときの、ユークリッド互除法を
復習しておく。\\
\begin{question}\label{多項式に関するユークリッド互除法}
\begin{math}
x^4+5x^3+10x^2+11x+3 と x^4+4x^3+7x^2+10x+3 の最大公約数(多項式)を求めよ。\\
解~~~x^4+5x^3+10x^2+11x+3 を x^4+4x^3+7x^2+10x+3で割って、余りを求める。\\
~~~~~~~~x^4+5x^3+10x^2+11x+3 =(x^4+4x^3+7x^2+10x+3)・1+x^3+3x^2+x\\
この余り、x^3+3x^2+xでx^4+4x^3+7x^2+10x+3を割り、余りを求める。\\
~~~~~~~~x^4+4x^3+7x^2+10x+3=(x^3+3x^2+x)(x+1)+3x^2+9x^+3\\
この余り、3x^2+9x^+3でx^3+3x^2+xを割り、余りを求める。\\
~~~~~~~~x^3+3x^2+x=(3x^2+9x^+3)(1/3)x+0 \\
余りは0。即ち(3x^2+9x^+3)~~あるいは、3 で割ったx^2+3x+1 が最大公約数。~~~(解終わり)\\
\end{math}
\end{question}
\begin{theorem}\label{表現の一意性}
\begin{math}
p が素数で、\alpha=\sqrt[p]{r} のとき、ある数\xi が\\
~~~\xi=a_0+a_1\alpha +a_2 \alpha^2 + \cdots +a_{p-1} \alpha^{p-1} \\
(ここで a_i~(i=1, 2, \cdots p-1) は、\alpha を添加する前の体の元。)\\
と表されたとすると、この表し仕方はこれしかない。(このことを、「表現の一意性」という。)\\
証明~~次のように二通りに表されたと仮定する。\\
~~~\xi=a_0+a_1\alpha +a_2 \alpha^2 + \cdots +a_{p-1} \alpha^{p-1} =
b_0+b_1\alpha +b_2 \alpha^2 + \cdots +b_{p-1} \alpha^{p-1} \\
(ここで a_i, b_i~(i=1, 2, \cdots p-1) は、\alpha を添加する前の体の元。)\\
a_i-b_i=r_i とおいて、r_i=0~(i=1, 2, \cdots p-1)~を示す。即ち、右辺を左に移項して、\\
r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 + \cdots +r_{p-1} \alpha^{p-1} \\
降冪の順になおして、\alpha をx に変えた方程式を作ると、\\
r_{p-1}x^(p-1)+r_{p-1}x^(p-1)+ \cdots +r_2x^2+r_1x+r_0=0 \\
ここで「全てのr_i が0であること」を示せばよい。これを示す。\\
この方程式は\alpha を根にもつ。即ちx-\alpha を因数に持つ。また、\alpha は、方程式\\
~~~~~~~~~~~~x^p-r=0 \\
の根。故にこの方程式もx-\alpha を因数に持つ。故に、上の二つの式の最大公約数は1ではなく、
ある多項式である。これをユークリッドの互除法によって求めると、係数が添加する前の体の元
q_i~である多項式、\\
~~~~q_mx^m+q_{m-1}x^{q-1}+ \cdots +q_1x+q_0 \\
が出来、最大公約数である。最大係数を1にするためq_m で割って作った式、\\
~~~x^m+s_{m-1}x^{q-1}+ \cdots +s_1x+s_0\\
(ここで s_i~(i=1, 2, \cdots m) は、\alpha を添加する前の体の元。)\\
も両多項式の最大公約数である。ところがこれは、x^p-rを1次因数に分解したものの、m個の積
でなければならない。即ち \epsilon を1の虚p 乗根として、\\
~~~~x^p-r=(x-\alpha)(x-\epsilon \alpha)(x-\epsilon^2 \alpha) \cdots (x-\epsilon^{p-1} \alpha)\\
の右辺の1次因数のm個の積。積を作って上の式の定数項とを較べると、\\
~~~~~~~~~s_0=(-1)^m\epsilon' \alpha^m \\
となる。ところが、m は p-1 以下の数であるから、\alpha^m は「\alpha を添加する前の体の元」
ではありえない。s_0 は「\alpha を添加する前の体の元」であるから、これは矛盾。\\
(\because ~~~m と p は互いに素。故に、hp=km+1 をみたすh, k がある。\\
~~~~\therefore ~~~(\alpha^p)^h=(\alpha^m)^k \alpha \\
~~~~~ここでもし、\alpha^mが「\alpha を添加する前の体の元」ならば、\\
~~~~~\alpha も「\alpha を添加する前の体の元」となり、矛盾。)\\
これは、r_i の中に0でないものがあるとを仮定したことから生じた矛盾。従って、全ての
r_iは0である。~~~~(証明終わり)\\
\end{math}
\end{theorem}
\begin{question}\label{Tになること}
\begin{math}
本来は、\\
「問~~~x_1=r_0+\alpha +r_2 \alpha^2 +r_3\alpha^3+\cdots + r_{p-1}\alpha^{p-1}\\
が、方程式、\\
~~~x^5+a_1x^4+a_2x^3+a_3x^2+a_4x+a_5 =0\\
の根であるならば、\epsilon を1の虚p 乗根として、\\
~~~~x_2=r_0+(\epsilon \alpha)+r_2+(\epsilon \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon \alpha)^{p-1}\\
~~~~x_3=r_0+(\epsilon^2 \alpha)+r_2+(\epsilon^2 \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon^2 \alpha)^{p-1}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\cdots \cdots \cdots\\
~~~~x_{p}=r_0+(\epsilon^{p-1} \alpha)+r_2+(\epsilon^{p-1} \alpha)^2 \cdots +r_{p-1}(\epsilon^{p-1} \alpha)^{p-1}\\
も上の方程式の根である」\\
ことを示さねばならないのであるが、次数が低いところで具体的にやった
方が分かり易いと考え、p=3、方程式の次数が4、のときを例示することにした。\\
問1)~~多項式x^2 に\\
~~~~~~~~x_1 = r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 \\
を代入し、定数項T_0^{(2)}, \alpha の係数T_1^{(2)}, \alpha^2 の係数T_2^{(2)} を計算せよ。\\
また、同じくx^2~ に、\\
~~~~~~~x_2 = r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2 \\
~~~~~~~x_3 = r_0+r_1\omega^2 \alpha +r_2\omega \alpha^2 \\
を代入せよ。\\
問2)~~多項式x^3 に\\
~~~~~~~~x_1 = r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 \\
を代入し、定数項T_0^{(3)}, \alpha の係数T_1^{(3)}, \alpha^2 の係数T_2^{(3)} を計算せよ。\\
また、同じくx^3~ に、\\
~~~~~~~x_2 = r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2 \\
~~~~~~~x_3 = r_0+r_1\omega^2 \alpha +r_2\omega \alpha^2 \\
を代入せよ。\\
問3)~~多項式x^4 に\\
~~~~~~~~x_1 = r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 \\
を代入し、定数項T_0^{(4)}, \alpha の係数T_1^{(4)}, \alpha^2 の係数T_2^{(4)} を計算せよ。\\
また、同じくx^4~ に、\\
~~~~~~~x_2 = r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2 \\
~~~~~~~x_3 = r_0+r_1\omega^2 \alpha +r_2\omega \alpha^2 \\
を代入せよ。\\
問4)~~多項式\\
~~~~~~~~~f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+g \\
に\\
~~~~~~~~x_1 = r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 \\
を代入し、定数項T_0, \alpha の係数T_1, \alpha^2 の係数T_2 を計算せよ。\\
また、同じくx^3~ に、\\
~~~~~~~x_2 = r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2 \\
~~~~~~~x_3 = r_0+r_1\omega^2 \alpha +r_2\omega \alpha^2 \\
を代入せよ。\\
解~~~1)~~x_1^2=(r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2)^2\\
=r_0^2+r_1^2\alpha^2+r_2 ^2\alpha^4+2r_0r_1\alpha +2r_0r_2\alpha^2
+2r_1\alpha r_2\alpha^2\\
=(r_0^2+2r_1r_2r)+(r_2^2r+2r_0r_1)\alpha+(r_1^2+2r_0r_2)\alpha^2\\
\therefore~~~~~~T_0^{(2)}=r_0^2+2r_1r_2r\\
~~~~~~~~~~~T_1^{(2)}=r_2^2r+2r_0r_1\\
~~~~~~~~~~~T_2^{(2)}=r_1^2+2r_0r_2\\
x_2~を代入。\\
x_2^2=(r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2)^2\\
=r_0^2+\omega^2r_1^2\alpha^2+\omega r_2 ^2\alpha^4+\omega 2r_0r_1\alpha
+\omega^2 2r_0r_2\alpha^2+2r_1\alpha r_2\alpha^2\\
=(r_0^2+2r_1r_2r)+(r_2^2r+2r_0r_1)\omega \alpha+(r_1^2+2r_0r_2)\omega^2\alpha^2\\
=T_0^{(2)}+T_1^{(2)}\omega \alpha +T_2^{(2)}\omega^2 \alpha^2\\
x_3~を代入。\\
x_3^2=(r_0+r_1\omega^2 \alpha +r_2\omega \alpha^2)^2\\
=r_0^2+\omega r_1^2\alpha^2+\omega^2 r_2 ^2\alpha^4+\omega^2 2r_0r_1\alpha
+\omega 2r_0r_2\alpha^2+2r_1\alpha r_2\alpha^2\\
=(r_0^2+2r_1r_2r)+(r_2^2r+2r_0r_1)\omega^2 \alpha+(r_1^2+2r_0r_2)\omega\alpha^2\\
=T_0^{(2)}+T_1^{(2)}\omega^2 \alpha +T_2^{(2)}\omega \alpha^2\\
解~~~2)~~x_1^3=(r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2)^3~~~を求める。\\
~~~~(a+b+c)^3=(a)^3+(b)^3+(c)^3+3(a)^2(b)+3(a)^2(c)+3(b)^2(a)+3(b)^2(c)
+3(c)^2(a)+3(c)^2(b)+6(a)(b)(c)~~より\\
~~~(r_0+r_1\alpha +r_2\alpha^2)^3=(r_0)^3+(r_1\alpha )^3+(r_2\alpha^2)^3+3(r_0)^2(r_1\alpha)+3(r_0)^2(r_2\alpha^2)+3(r_1\alpha)^2(r_0)+3(r_1\alpha)^2(r_2\alpha^2)
+3(r_2\alpha^2)^2(r_0)+3(r_2\alpha^2)^2(r_1\alpha)+6(r_0)(r_1\alpha)(r_2\alpha^2)\\
=(r_0^3+r_1^3r+r_2^3r^2+6r_0r_1r_2r)\\
+(3r_0^2r_1+3r_1^2r_2r+3r_2^2r_0r)\alpha\\
+(3r_0^2r_2+3r_1^2r_0+3r_2^2r_1r)\alpha^2\\
\therefore~~~~~~T_0^{(3)}=r_0^3+r_1^3r+r_2^3r^2+6r_0r_1r_2r\\
~~~~~~~~~~~T_1^{(3)}=3r_0^2r_1+3r_1^2r_2r+3r_2^2r_0r\\
~~~~~~~~~~~T_2^{(3)}=3r_0^2r_2+3r_1^2r_0+3r_2^2r_1r\\
x_2~を代入。\\
x_2^3=T_0^{(3)}+T_1^{(3)}\omega \alpha +T_2^{(3)}\omega^2 \alpha^2\\
x_3~を代入。\\
x_3^3=T_0^{(3)}+T_1^{(3)}\omega^2 \alpha +T_2^{(3)}\omega \alpha^2\\
解~~~3)~~x_1^4=(r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2)^4~~~を求める。\\
~~~~(a+b+c)^4=(a)^4+(b)^4+(c)^3)+4(a)^3(b)+4(a)^3(c)+4(b)^3(a)+4(b)^3(c)
+4(c)^3(a)+4(c)^3(b)+6(a)^2(b)^2+6(a)^2(c)^2+6(b)^2(c)^2+12(a)^2(b)(c)
+12(b)^2(a)(c)+12(c)^2(a)(b)~~より\\
~~~~(r_0+r_1\alpha+r_2\alpha^2)^4=(r_0)^4+(r_1\alpha)^4+(r_2\alpha^2)^3)+4(r_0)^3(r_1\alpha)+4(r_0)^3(r_2\alpha^2)+4(r_1\alpha)^3(r_0)+4(r_1\alpha)^3(r_2\alpha^2)
+4(r_2\alpha^2)^3(r_0)+4(r_2\alpha^2)^3(r_1\alpha)+6(r_0)^2(r_1\alpha)^2+6(r_0)^2(r_2\alpha^2)^2+6(r_1\alpha)^2(r_2\alpha^2)^2+12(r_0)^2(r_1\alpha)(r_2\alpha^2)
+12(r_1\alpha)^2(r_0)(r_2\alpha^2)+12(r_2\alpha^2)^2(r_0)(r_1\alpha)\\
=(r_0^4+4r_1r_0r+4r_2^2r_0r^2+4r_2r_1r+6r_1^2r_2^2r^2+12r_0^2r_1r_2r)\\
+(r_1^4r+4r_0^3r_1+6r_0^2r_2^2r+12r_1^2r_0r_2r)\alpha \\
+(r_2^4r^2+4r_0^3r_2+4r_1^3r_2r+6r_0^2r_1^2+12r_2^2r_0r_1r)\alpha^2\\
\therefore~~~~~~T_0^{(4)}=r_0^4+4r_1r_0r+4r_2^2r_0r^2+4r_2r_1r+6r_1^2r_2^2r^2+12r_0^2r_1r_2r\\
~~~~~~~~~~~T_1^{(4)}=r_1^4r+4r_0^3r_1+6r_0^2r_2^2r+12r_1^2r_0r_2r\\
~~~~~~~~~~~T_2^{(4)}=r_2^4r^2+4r_0^3r_2+4r_1^3r_2r+6r_0^2r_1^2+12r_2^2r_0r_1r\\
x_2~を代入。\\
x_2^4=T_0^{(4)}+T_1^{(4)}\omega \alpha +T_2^{(4)}\omega^2 \alpha^2\\
x_3~を代入。\\
x_3^4=T_0^{(4)}+T_1^{(4)}\omega^2 \alpha +T_2^{(4)}\omega \alpha^2\\
解~~~4)~~f(x_1)~~~を求める。\\
f(x_1)=a(T_0^{(4)}+T_1^{(4)}\alpha+T_2^{(4)}\alpha^2)\\
~~~~~~+b(T_0^{(3)}+T_1^{(3)}\alpha+T_2^{(3)}\alpha^2)\\
~~~~~~+c(T_0^{(2)}+T_1^{(2)}\alpha+T_2^{(2)}\alpha^2)\\
~~~~~~+d(r_0+r_1\alpha+r_2\alpha^2)\\
~~~~~~+g\\
=(aT_0^{(4)}+bT_0^{(3)}+cT_0^{(2)}+dr_0+g)\\
+(aT_1^{(4)}+bT_1^{(3)}+cT_1^{(2)}+dr_1)\alpha\\
+(aT_2^{(4)}+bT_2^{(3)}+cT_2^{(2)}+dr_2)\alpha^2\\
=T_0+T_1\alpha+T_2\alpha^2 \\
とおくと、\\
f(x_2)=T_0+T_1\omega \alpha+T_2\omega^2 \alpha^2 \\
f(x_3)=T_0+T_1\omega^2 \alpha+T_2\omega \alpha^2~~~~\\
\\
以上の計算から、本来の問題、\\
~~~~~~~f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+g=0 \\
の一つの根が、\\
~~~~~~~x_1=r_0+r_1\alpha +r_2 \alpha^2 ~~~(\alpha^3 はf(x) の係数のなす体の元。)\\
ならば、\\
~~~~~~~f(x_1)=T_0+T_1\alpha +T_2 \alpha^2=0 \\
一意性により、\\
~~~~~~~~T_0=T_1=T_2=0 \\
である。この結果から、\\
~~~~~~~x_2=r_0+r_1\omega \alpha +r_2\omega^2 \alpha^2 \\
をf(x) に代入しても、\\
~~~~~~~f(x_2)=T_0+T_1\omega \alpha +T_2\omega^2 \alpha^2=0 \\
となり、T_i が全て0なのであるから、x_2はf(x)=0の根である。\\
x_3についても同様である。~~~~~(解終わり) \\
\end{math}
\end{question}
\begin{question}\label{最後から二番目}
\begin{math}
~~~順次、問1 から問3 まで問題を出しては解いてゆくことにする。\\
問1)~~「最後から2番目に添加すべき根号も原方程式の根の有理式で表される」の証明は
分かり難いものであった。4次方程式は実際に解けるのであるから、この定理の証明を4次方程式
を使ってなぞることが出来る筈である。定理の証明中にある式(\ref{エフワイの式})(即ち、
F(y)=\displaystyle \prod _{\sigma \in S_4}(y-\sigma y_o)を作り、
最後から2番目に添加するu_1 が根、x_1, x_2, x_3, x_4 の有理式になることを説明せよ。\\
解~~~R_5=R_3(u_1,u_2)=R_4(u_2) ~~~まで拡大して、はじめて根x_1 が含まれた。\\
すると、u_2 はx_1, x_2, x_3, x_4 の有理式で書ける。\\
\because ~~~u_2 は2乗根であるから、\\
~~~~~~~~~~~~x_1=r_0 +r_1u_2 \\
と表される。ここでr_1=1 と出来るから、(u_2 を添加する代わりに、r_1u_2 を添加すればよい。)\\
~~~~~~~~~~~~x_1=r_0 + u_2 \\
r_0 - u_2 も根であるから、これをx_2 とする。\\
~~~~~~~~~~~~x_2=r_0 -u_2 \\
r_0 , u_2 を解いて、 \\
~~~~~~~~~~~~r_0=\displaystyle \frac{1}{2}(x_1 +x_2) \\
~~~~~~~~~~~~u_2=\displaystyle \frac{1}{2}(x_1 -x_2) \\
R_4 に拡大して初めてr_0 を含んだ筈である。(さもなければ、R_4 への拡大が不要となる。定理の
証明参照。)このr_0をy_0 とおき、\\
~~~~~~ F(y)=\displaystyle \prod _{\sigma \in S_4}(y-\sigma y_o)=0 \\
を求める。\\
\sigma \in S_4 は24個ある。これを全部求める。\\
~~~~(1,2)(x_1+x_2)=x_2+x_1\\
~~~~(1,3)(x_1+x_2)=x_3+x_2\\
~~~~(1,4)(x_1+x_2)=x_4+x_2\\
~~~~(2,3)(x_1+x_2)=x_1+x_3\\
~~~~(2,4)(x_1+x_2)=x_1+x_4\\
~~~~(3,4)(x_1+x_2)=x_1+x_2\\
~~~~(1,2,3)(x_1+x_2)=x_2+x_3\\
~~~~(1,2,4)(x_1+x_2)=x_2+x_4\\
~~~~(1,3,4)(x_1+x_2)=x_3+x_2\\
~~~~(2,3,4)(x_1+x_2)=x_1+x_3\\
~~~~(1,3,2)(x_1+x_2)=x_3+x_1\\
~~~~(1,4,2)(x_1+x_2)=x_4+x_1\\
~~~~(1,4,3)(x_1+x_2)=x_4+x_3\\
~~~~(2,4,3)(x_1+x_2)=x_1+x_4\\
~~~~(1,2,3,4)(x_1+x_2)=x_2+x_3\\
~~~~(1,2,4,3)(x_1+x_2)=x_2+x_4\\
~~~~(1,3,2,4)(x_1+x_2)=x_3+x_4\\
~~~~(1,3,4,2)(x_1+x_2)=x_3+x_1\\
~~~~(1,4,2,3)(x_1+x_2)=x_4+x_3\\
~~~~(1,4,3,2)(x_1+x_2)=x_4+x_1\\
~~~~(1,2)(3,4)(x_1+x_2)=x_2+x_1\\
~~~~(1,3)(2,4)(x_1+x_2)=x_3+x_4\\
~~~~(1,4)(2,3)(x_1+x_2)=x_4+x_3\\
結局、次の6個しかない。\\
~~~~x_1+x_2\\
~~~~x_1+x_3\\
~~~~x_1+x_4\\
~~~~x_2+x_3\\
~~~~x_2+x_4\\
~~~~x_3+x_4 \\
つまり、F(y) は24次式であるが、実質的な部分は6次式。\\
~~~~~-a=x_1+x_2+x_3+x_4 \\
~~~~~u_1=x_1+x_2-x_3-x_4 \\
~~~~~u_2=x_1-x_2+x_3-x_4 \\
~~~~~u_3=x_1-x_2-x_3+x_4 \\
とおくと、上の6式は、\\
~~~~x_1+x_2=(1/2)(-a+u_1) \\
~~~~x_1+x_3=(1/2)(-a+u_2) \\
~~~~x_1+x_4=(1/2)(-a+u_3) \\
~~~~x_2+x_3=(1/2)(-a-u_3) \\
~~~~x_2+x_4=(1/2)(-a-u_2) \\
~~~~x_3+x_4=(1/2)(-a-u_1) \\
と表される。これをF(y)の式に代入すると、\\
~~~F(y)=(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a+u_1))(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a+u_2))(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a+u_3))
(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a-u_3))(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a-u_2))(y-\displaystyle \frac{1}{4}(-a+u_1)) \\
~~~y+\displaystyle \frac{1}{4}a=t とおいて、\\
~~~F(y)=(t-\displaystyle \frac{1}{4}u_1)(t-\displaystyle \frac{1}{4}u_2)(t-\displaystyle \frac{1}{4}u_3)
(t+\displaystyle \frac{1}{4}u_3)(t+\displaystyle \frac{1}{4}u_2)(t+\displaystyle \frac{1}{4}u_1) \\
~~~=(t^{2}-\displaystyle \frac{1}{16}u_1^{2})(t^{2}-\displaystyle \frac{1}{16}u_2^{2})(t^{2}-\displaystyle \frac{1}{16}u_3^{2}) \\
~~~=t^{6}-\displaystyle \frac{1}{16}(u_1^{2}+u_2^{2}+u_3^{2})t^{4}
+\displaystyle \frac{1}{16^2}(u_1^{2}u_2^{2}+u_1^{2}u_3^{2}+u_2^{2}u_3^{2})t^2
-\displaystyle \frac{1}{16^3}u_1^{2}u_2^{2}u_3^{2} \\
~~~~~~~~u_1^{2}+u_2^{2}+u_3^{2}=A \\
~~~~~~~~u_1^{2}u_2^{2}+u_1^{2}u_3^{2}+u_2^{2}u_3^{2}=B \\
~~~~~~~~u_1^{2}u_2^{2}u_3^{2}=C^2 \\
~~~とおいて、\\
~~~F(y)=t^{6}-\displaystyle \frac{1}{16}At^{4}
+\displaystyle \frac{1}{16^2}Bt^2
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2 \\
~~~t=y+\displaystyle \frac{1}{4}a に戻して、\\
~~~F(y)=\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^{6}-\displaystyle \frac{1}{16}A\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^{4}
+\displaystyle \frac{1}{16^2}B\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^2
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2 \\
~~~計算に気を取られて最初の問題を忘れていてはいけないので、再び説明をつける。即ち、\\
方程式、\\
~~~F(y)=\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^{6}-\displaystyle \frac{1}{16}A\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^{4}
+\displaystyle \frac{1}{16^2}B\bigr(y+\displaystyle \frac{1}{4}a\bigl)^2
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2 \\
を解くために、F(y)の係数からなる体R_1 (これは原4次方程式の係数のなす体と同じ。)を拡大して、\\
~~~~~~R_1 \subset R_2 \subset R_3 \subset R_3(u_1)=R_4 \\
まで来て初めてr_0=(1/2)(x_1+x_2) を含む。即ち、最後に添加したu_1は方程式F(y)=0 の根の有理式。\\
即ち、u_1は、x_1+x_2, x_1+x_3, x_1+x_4, x_2+x_3, x_2+x_4, x_3+x_4 の有理式。 \\
即ち、u_1は、x_1, x_2, x_3, x_4 の有理式。 ~~~~~(問1 の解終わり)\\
\\
問2)~~再び4次方程式を使い、またR_3(u_1)=R_4 から出発してもう一つ遡ってみよ。\\
解~~~u_1 は2乗根。故に、\\
~~~F(y)=(y+\displaystyle \frac{1}{4}a)^{6}-\displaystyle \frac{1}{16}A(y+\displaystyle \frac{1}{4}a)^{4}
+\displaystyle \frac{1}{16^2}B(y+\displaystyle \frac{1}{4}a)^2
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2 \\
の根、(1/2)(x_1+x_2) は、\\
~~~~~~~~~(1/2)(x_1+x_2) =s_0+u_1 ~~~(s_0 はR_3 の元。)\\
また、s_0-u_1も根。これを、F(y)=0の他の適当な根、といっても、この根はR_4~に
含まれていなければならない。従って、(1/2)(x_1+x_2)の他には(1/2)(x_3+x_4)しかない。
従って、(1/2)(x_3+x_4) とおく。即ち、\\
~~~~~~~~~(1/2)(x_3+x_4) =s_0-u_1 ~~~(s_0 はR_3 の元。)\\
すると、\\
~~~~~~~~~s_0=(1/4)(x_1+x_2+x_3+x_4) \\
となり、s_0 がR_1 に属してしまう。また、この他にはs_i は存在しない。定理の証明には、「もし
全てのr_i がその一つ前の体に属さないならば、その拡大は無意味となるから、必ずr_i
(i=0, 2, \cdots, p-1)の中に一つ前の体に属すものがある。」と説明しているが、ここでは
これが適用出来ない。この例の場合、R_3 の拡大が不要かというと、とんでもないことで、
R_3 の拡大がなければu_1^2 がない。従って、R_4 でu_1^2 を開平することも出来ない。故にここでは、
y_0 として、u_1^2 を採用するのが適切であるし、また他には証明の方法がない。(従って、定理の
証明は少し変更せねばならない。即ち、「r_i (i=0, 2, \cdots, p-1)のいずれもR_{k-1}に属さない
場合は、\alpha^p をy_0 とする」と。)即ち、\\
~~~~~~~~~y_0 =u_1^2 =(1/4)^2(x_1+x_2-x_3-x_4)^2\\
とする。さて、\sigma y_0 を計算する。\\
~~~~~~~~~(1,2)y_0 =(1/4)^2(x_2+x_1-x_3-x_4)^2=(1/4)^2u_1^2\\
~~~~~~~~~(1,3)y_0 =(1/4)^2(x_3+x_2-x_1-x_4)^2=(1/4)^2u_3^2\\
~~~~~~~~~(1,4)y_0 =(1/4)^2(x_4+x_2-x_3-x_1)^2=(1/4)^2u_2^2\\
~~~~~~~~~(2,3)y_0 =(1/4)^2(x_1+x_3-x_2-x_4)^2=(1/4)^2u_2^2\\
~~~~~~~~~(2,4)y_0 =(1/4)^2(x_1+x_4-x_3-x_2)^2=(1/4)^2u_3^2\\
~~~~~~~~~(3,4)y_0 =(1/4)^2(x_1+x_2-x_4-x_3)^2=(1/4)^2u_1^2\\
etc ~~~で、F(y) の因子で異なるものは3個。従ってF(y)=0 は、\\
~~~~~~~~~F(y)=(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_1^2)
(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_2^2)(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_3^2)\\
~~~~~~~~~=y^3-\displaystyle \frac{1}{16}Ay^2+\displaystyle \frac{1}{16^2}By
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2=0 \\
諄いが、説明を繰り返す。\\
方程式、\\
~~~F(y)=(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_1^2)
(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_2^2)(y-\displaystyle \frac{1}{16}u_3^2)\\
~~~~~~~~~=y^3-\displaystyle \frac{1}{16}Ay^2+\displaystyle \frac{1}{16^2}By
-\displaystyle \frac{1}{16^3}C^2=0 \\
を解くために、F(y)の係数からなる体R_1 (これは原4次方程式の係数のなす体と同じ。)を拡大して、\\
~~~~~~R_1 \subset R_2 \subset R_2(u) \\
まで来て初めて(1/4)^2u_1^2=(1/4)^2(x_1+x_2-x_3-x_4)^2 を含む。即ち、
最後に添加したuは方程式F(y)=0 の根の有理式。\\
即ち、uは、(1/4)^2u_1^2, (1/4)^2u_1^2, (1/4)^2u_1^2 の有理式。 \\
即ち、uは、x_1, x_2, x_3, x_4 の有理式。 ~~~(問2の解おわり) \\
\\
~~~次にその前の段階であるが、4次方程式でやると変数が煩雑になるだけなので、
3次方程式で実行する。即ち、問3)は、\\
\\
問3)~~~3次方程式、\\
~~~~~~~~x^3+ax^2+bx+c=0 \\
は、その係数のなす体R_1 を拡大して、\\
~~~~~~~R_1 \subset R_1(\sqrt{-27D}) \subset R_1(\sqrt{-27D}, u) \\
となって初めて、根x_1 を含む。その一つ前の拡大で添加した\sqrt{-27D}が、
根x_1, x_2, x_3 の有理式になることを説明せよ。\\
解~~~u は3乗根だから、x_1 は、\\
~~~~~~~x_1=r_0+u +r_2u^2 \\
とかける。r_0+\omega u +r_2 \omega^2 u^2も r_0+\omega^2 u +r_2 \omega u^2も
根となるから、これをx_3, x_2 とおく。(後の計算が見慣れたものとなるので、この順にする。)
即ち、\\
~~~~~~~x_2=r_0+\omega^2 u +r_2 \omega u^2 \\
~~~~~~~x_3=r_0+\omega u +r_2 \omega^2 u^2 \\
r_i を逆に解いて、\\
~~~~~~~~r_0=\displaystyle \frac {1}{3}(x_1+x_2+x_3) \\
~~~~~~~~u=\displaystyle \frac {1}{3}(x_1+\omega x_2+\omega^2 x_3) \\
~~~~~~~~r_2u^2=\displaystyle \frac {1}{3}(x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3) \\
x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3 をv とおく。即ち、\\
~~~~~~~v=x_1+\omega^2 x_2+\omega x_3 \\
すると、\\
~~~~~~~r_2=\displaystyle \frac {v}{3u^2}\\
r_0 はR_1 の元。残りのr_i はr_2 しかない。従ってr_2 は、R_2 の元。これをy_0 とおいて、
F(y) を作る。\\
~~~~~~「uvは対称式、u^3 は偶置換では変化しない」ことを利用して、\\
~~~~~~~y_0=r_2=\displaystyle \frac {uv}{3u^3}\\
と変形して\sigma y_0 を計算する。\\
~~~~~~~(1,2)y_0=\displaystyle \frac {uv}{3v^3}\\
~~~~~~~(1,3)y_0=\displaystyle \frac {uv}{3v^3}\\
~~~~~~~(2,3)y_0=\displaystyle \frac {uv}{3v^3}\\
であるから、F(y)は実質2次式で、\\
~~~~~~~~F(y)=\biggr(y-\displaystyle \frac {uv}{3u^3}\biggl)\biggr(y-\displaystyle \frac {uv}{3v^3}\biggl)\\
~~~~~~~~~~~=y^2-\displaystyle \frac{A}{3C^2}y+\displaystyle \frac{1}{C}\\
諄いが、再び説明を繰り返す。\\
方程式、\\
~~~F(y)=y^2-\displaystyle \frac{A}{3C^2}y+\displaystyle \frac{1}{C}\\
を解くために、F(y)の係数からなる体R_1 (これは原3次方程式の係数のなす体と同じ。)を拡大して、\\
~~~~~~R_1 \subset R_2(\sqrt{-27D}) \\
まで来て初めて\displaystyle \frac {v}{3u^2} を含む。即ち、
最後に添加した\sqrt{-27D}は方程式F(y)=0 の根の有理式。\\
即ち、\sqrt{-27D}は、\displaystyle \frac {v}{3u^2}, \displaystyle \frac {u}{3v^2} の有理式。 \\
即ち、uは、x_1, x_2, x_3 の有理式。 (問2 の解終わり)\\
\\
蛇足~~~以下、老婆心のため付け加えておく。\\
4次方程式の根x_1 は、\\
~~~~~~~~x_1=r_0+r_1u_2 (r_0, r_1 は、R_4 の元)\\
と表される、と書いたが、これが無理ではないかと疑問を持つ人に。\\
~~~~~x_1=(1/4)(x_1+x_2+x_3+x_4)+(1/4)(x_1+x_2-x_3-x_4)\\
~~~~~~~~~+(1/4)(x_1-x_2+x_3-x_4)+(1/4)(x_1-x_2-x_3+x_4) \\
~~~~~~~~=(1/4)(-a+u_1)+(1/4)(u_2+u_3)\\
~~~~~~~~=(1/4)(-a+u_1)+(1/4)(1+\displaystyle \frac {u_3}{u_2})u_2\\
~~~~~~~~=(1/4)(-a+u_1)+(1/4)(1+\displaystyle \frac {u_1u_3^2}{u_1u_2u_3})u_2\\
右辺の第1項がR_4 に属すことは自明。第2項のu_2 の係数は、u_3^2がR_3 に属し、u_1u_2u_3 が
R_1に属すから大丈夫。\\
\\
~~これでAbel による「5次方程式の代数解の不可能性の証明」を全て終った。
\end{math}
\end{question}






\end{document}