コンセプト
線−交信する触手
その陰影に富む白い時間の堆積。堅牢な白亜地の、果て知らぬ平面の奥処から、シルバーポイントによる描線が、時間の苦しみのように外界へと触手を伸ばす。意味への変換を拒みつつ、静寂の彼方に絡まり合う神経組織の戦き、震える音楽。
微細な綿ぼこりを転写し、さらに描いていくことによる異化作用と、その同一形態の連接、およびシンメトリーによる構成の微妙な「ずれ」とによる描線の有り様は独特である。自然の杖にすがることもなく抽象の塔に凭れることもしない精神
の表象としての線。 分割しつつ世界を誕生させてゆく線が面への自由を喜ぶのとは違い、 この奇妙な線の絡まりは、糸口の
掴みがたい無重力の迷路、 生理的及び精神的な組織体として、世界との乖離というある絶対的な孤立に静止する。しかしそ
れは単なる静止ではない。
むしろ、嬰児が感じるであろう沈黙の壁である世界に、必死に耐えながらも交信しようと試みるようなその戦きの絡まりは浮上と浸透という垂直を往還する思索的な線として、重厚な白の時間を呼吸する。世界との沈黙による交信装置。
沈黙の前に震える組織体とは人間存在の原初形態でもあろうか。
深代 響
1985 東京藝術大学絵画科油画卒業
個展
1993〜95 ギャラリー美遊
1996 ギャラリー椿
1997 スカイドア・アートプレイス青山
1998 ギャラリーイデア 「精神の胎生学」
1999 アートスペース羅針盤
2000 ギャラリー睦 「HOMEOPATHY」
アートスペース羅針盤 「HOMEOPATHY」