展覧会案内・Exhibition Information
「精神を澄ませて、対象の内部の深いところまでわけ入り、そこで自分の魂との交感をはかる・・・・」という作家の純粋な行為から生まれたテラコッタの人物像。素朴な「想い」を核にした作り上げた、その作品から淡い闇の如く、立ち上る気配や波動は見るものを惹きつけて離さない。60センチほどの胸像が5点の他、小品とドローイングで展示する。 F.S.の掌が召喚した四つの塊の醸しだす叙景は、ぼくたちが今日自明とする彫刻のそれとは明らかに異質なものだ。弾けば金属音を発する硬度を持ちながら、外界を拒まない多孔質のそのフォルムは、柔らかくあたりに溶け広がり、眼差しを逃れた後も触覚的な余韻を――視覚的なそれではなく――たなびかせて止まない。そこに発生しているのは、空間の中に屹立した物体に、眼を通して対峙するあの認識ではなく、コオロギが糸のように長いヒゲで草の葉にふれるときのような、物と認識主体とが融通無碍に溶け合った〈こと〉的な状況なのである。ありていに言って、空間の中に自然=自分から切断した何か(もの)を堅固に存在させようとする精神と、自然=自分と不可分な何か(こと)を不可分なままに仮設しようとする精神とでは、創造物に質的な違いがでるのは当然だろう。F.S.の造形。それは〈こと的な彫刻〉と呼ばれるにふさわしい、欧米型美術の伝統とは異質の母体から生まれでる、古くて新しい何か。その何か、もう一つの造形の原理を明確に定義付け、分析する力は今のぼくにはないが、それが書空間――例えば坊門局筆の唯心房集や、円空・木喰の木彫仏、またこの国の陶磁器の歴史と親和的なものであるのは間違いない気がする。20世紀の瀬戸際になって、やっと芽吹いた――息をふきかえした――紛れもないぼくたち独自の〈造形への意志〉。ぼくは、来世紀が待ち遠しくてならない。
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藤澤 伸介 展
2000年10/30(mon.)〜11/4(sat.)
11:00am〜19:00pm(最終日17:00pmまで)

30.09.2000
いしかわ みどり(美術批評家
【略歴】
1958 熊本市に生まれる
1981 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科中退
1982〜92 KOBATAKE工房(故 小畠廣志 主宰)にて彫刻を学ぶ
【個展】
1988 ぎゃらりぃ センターポイント(銀座)
1997 ギャラリー 21+葉 ANNEX (銀座)
1998 ギャラリー 21+葉 ANNEX (銀座)
【展覧会】
1984〜96 二紀展 出品 (東京都美術館)
1985 奨励賞 1986 二紀賞 1987 同人推挙
1988・1989 同人賞 1990 安田火災美術財団奨励賞 1996 退会
1986・87 NEXT彫刻展 ぎゃらりぃ センターポイント(銀座)
1987 関東二紀選抜展 佳作賞 朝日生命ギャラリー (新宿)
1988 [ソウルー東京]現代美術交流展 (韓国 寛勲美術館)
1989 [東京ーソウル]現代美術交流展 (東京 真木画廊・田村画廊)
1991 第2回「風の芸術展」
ビエンナーレまくらざき(鹿児島 枕崎文化資料センター 南溟館)
【パブリックコレクション】
1997 「静かな風」(ブロンズ)設置 (光妙寺 福岡・飯塚市)![]()