2000年2月6日設置


資格マニアにならないために

(「意見の表明は控え、情報紹介に徹する」という電子家の方針に反しますけど、書いてしまいます。)

資格取得の意義
目標資格選択の注意点
(1)良いことがある?
(2)とれる可能性は?
(3)業務独占はある?
(4)認定団体はどこ?
(5)団体加入が条件?


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資格取得に、意味はあるのか?

もし、これを読んでいる貴方が学生なら、考えてみてください。

学生生活の思い出や経験というのは、やたらな資格よりも大事です。

大学生活は、まずは満足のいく活動をすることがよいのだと思います。


同期の人に、或るところに就職することだけを目指して、在学中は

勉強だけしてた人がいました。それでも結局入れずに(実力や成績よりも

「生まれ」が物をいったのだと彼は信じている。事実そうかもしれない)、

他の内定先への就職を断って、不満一杯で再受験生してる人がいます。

「今を犠牲にして何かを得よう」という発想だけで行動していては、

求めるものが得られなかったときに、悔いが残ります。


大事なのは、自分が満足できることを行うことです。

だれかの場合は、それが授業をとることだったり、

資格をとることだったりしたわけです。

資格がとれてもとれなくても、資格のための努力が「よい経験だった」と

思えるような資格取得活動をする必要があります。

それに、取得資格や授業自体よりも、教職や履修とか、思想や音楽や心理学や

英文学について、話をする友人ができたことの方が意味があったと思います。


大学生活で第一に重要なのは、同好の友人知人(教員を含む)をつくることで、

第二に重要なのは、自分と違った考え方の人(講義や卒論指導を含む)に触れ、

自分の持っていなかった視点を身につけることだと思います。


でもね。だれかが言うのもなんですが、資格取得よりも、ボランティアや

海外旅行、面白いアルバイトの方が、意義のあることだと思いますけどね。


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どういう資格をとればいい?

目標資格選びの上での注意点

まず、「お金を払って研修を受ければとれますよ」的なダイレクトメールが

来たら、それはやめましょう。そういうのは大抵、資格商法です。(^^;)

だれかのところにも来ましたけどね。一体どこで調べたんだか。


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(1)資格の利益

資格には、弁護士資格のように持っていれば職に結びつくものと、司書資格や

学芸員資格のように、持っていても職に就ける可能性の少ないものがあります。

資格取得に掛ける手間と費用が、こういう「客観的実利」に見合うかどうかを

考える必要があります。また更に、「あれば自信が湧く」といった

「主観的自己満足」も、利益に数えて構いません。資格取得の手間と費用が、

これら主観的・客観的な利益を生むかどうか考えるのです。


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(2)自分の能力と取得可能性の兼ね合い

私見をいえば、「資格に必要な能力の一部は、自分が既に持っている。

それに、もう少し努力を上積みすれば、資格がとれる」という程度が、

資格取得の可能性と努力の効果が感じられて、最も好都合なようです。

既に持っている能力で十分とれる資格をとると、資格を目指しての成長が

できませんし、自分の能力を遥かに超える努力を求められる資格は、

とるのが大変なので意欲が湧きにくくなります。

あるいは、受からないで貴重な人生の時間を無駄にします。


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(3)資格の性質:「免許」か「資格」か

「資格」と総称されるものには、「免許」と「狭義の資格」が含まれます。

「免許」とは、医師免許や教員免許のように、認定を受けなければ

業務ができない、という「業務独占」の制度下のものをいいます。

「狭義の資格」とは、英検や独検のように、認定を受けてもいなくても

関係業務には携われるものです。「業務独占」はありません。


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(4)認定者

日本では、資格は「国の認定」「社団・財団法人等の認定」

「任意団体の認定」の順で、権威があるようです。

だから「臨床心理士」や「認定心理士」の認定団体は、

最初は「任意団体」だったのに、「財団法人」「社団法人」の

法人格をとり、さらに「国認定」を目指しているのです。

国認定でも法人認定でもなく、取得のために5万円以上

要求するような資格、たとえば「K量心理士(仮称)」などは、

資格商法かと疑ってかかりたくなります。

なお英検は国認定ですが、独検は財団法人の認定です。


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(5)資格と団体との関係

或る団体の構成員でなければ認定されない、という資格もあります。

家元制度下の師範資格など。こういう資格の問題点としては、

何かの事情で団体を辞めたり、団体の会費を払えなかったりすると

資格が維持できない、という事態が考えられます。

「税理士などの有力な国認定資格をとって税理士会などに入る」と

いうならともかく、団体による認定の場合、その団体の

構成員であることを条件とする資格は、特に必要がなければ、

とらなくてもよいでしょう。

 


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なお(3)(4)の記述は、社団法人日本心理学会による

『社団法人日本心理学会認定心理士資格申請の手引き 1993年版第2刷』

(社団法人日本心理学会、1995年)、6-9頁を参考にしました。


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