ぶつくさたっこまん (アーカイブ)
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2021.5.18 マシンでの作業  (旧4.7)

    今日はオルガニート演奏用紙カードのパンチ作業をしています。 こういったマシンを使った作業でキーになるのは “マシンを休ませない” ことです。 マシンが運用単価が発生する場合はもちろんですが 特にそういった事情がなくても マシンで作業する時間は最小限にしたいというのが常套です。 ですので人の側はマシンが常に稼動しているようにスケジュールを調整します。 最近のマシンではきっとその調整作業まで自動でやってしまうのでしょう。 オートメーションとは奥が深い技術分野だと思います。 それから実はもっと大切なことがあります。 マシンやPCといった機械ものにもちゃんと心があるということです。 彼ら?も働いてくれているわけでして 感謝とねぎらいの気持ちを向けることを忘れないことが重要です。 結果的にこの差がマシンの寿命や作業上の失敗コストを軽減してくれます。 これはロジック型のマシン つまりソフトウェアにも言えます。 理論的にはプログラム通りにしか動かないはずのソフトウェアですが 実際には人の心に微妙に反応するように感じます。 すべては扱う人の心次第ということなんでしょう。

2021.5.17 作業には良い季節  (旧4.6)

    5月は一年で一番 作業するのに良い季節です。 私の作業小屋はコンパネ組んだだけの文字通りの“掘っ立て小屋”でして 冬寒く・夏暑い のが最大の特徴。 寒さも暑さも半端なものではありません。 特に夏は室温が40度超えでして、サウナ状態になります。 ときには命の危険すらも感じるほどの暑さ。 汗をたっぷりかいて健康になるのも向いているかもしれません。 作業終えて外に出たときの“爽快感”はまたひとしお。 外気が35度位の日でも涼しい!と感じますから これはこれで涼しくすごすコツなのかもしれません。 まぁ そんなわけで真夏は作業がしにくいですから 今の内にたくさん作業しておこうという魂胆です。 歳も寄ってきましたのであまり冷や水は出来ませんが 5月は結構まじめにシゴトする季節ではあります。

2021.5.16 柿の葉茶  (旧4.5)

    今年は久々に柿の葉をお茶にして飲んでいます。 元の木の子供で実生の柿の木の葉っぱをお茶にしました。 まだ若い木なせいか とてもさわやかで癖のないよい味のお茶になりました。 親の木より先祖還りしているためか 葉っぱは親の倍くらいあります。 隣家との境目に生えているため 隣の家にあたらないように枝を剪定するのですが その際に出る葉っぱをお茶にしているという次第です。 親の柿の葉はお茶にするととても“ドロ臭い”感じだったのですが 子の方は癖のないよい味なようで よかったです。 ただ10数年で初めて昨年あたりからなりはじめた実は渋柿で かつ小さい実で明らかに原種に近いものでした。 また楽しみが頂けています。 我が家は狭い庭ではありますが 森の様相です。

2021.5.15 今日は遠出! ...でも縁遠く  (旧4.4)

    気が向いたら今日は久々に外出してくる予定でしたが 土壇場で延期。 春〜初夏の天気は移り気で困りますが 晴れ間を狙って! まぁお天気次第の気分次第といったところで 万事がそんな感じののらりくらいの気ままな行動です。 どうも最近の空気は遠出を避けたい気持ちになってくるようで、どんなに「行こう」という心構えをもっていても どうしてもドタキャンになってしまいます。 ますます縁遠くなるように感じます。 そんなわけで今日はいつもどおりの製作の作業をすることにします。

2021.5.14 いっぱいいっぱい  (旧4.3)

    オルガニートオルゴール関連のことだけでも結構やるべきことはたくさんあります。 私がかつて手がけてきたことの焼き直しやヴァージョンアップなども含めてこの時期にやるべきことです。 ですが 最近は体力的・精神力的な制約もあり、日々オーダーによる製作の作業をこなすだけで精一杯の状態が続いています。 とてもとても それ以外のことを手がける気になれない というのが正直なところです。 マルチタスクといいましょうか、複数の作業を並行してこなすのも出来にくくなってきてますし、なかなか若い頃のようにはいかない ということを実感しつつあります。 それもそのはず。 今年から老齢年金受給者ですわ。 税金払えば終わり程度の何とかの涙ですので働くことはやめることはできませんが もうそんな歳に達したのですね。 製作の方も少しは成熟したのでしょうか。 実感はありませんが。

2021.5.13 白湯とイベルメクチン  (旧4.2)

    朝は毎日 白湯(さゆ)を飲むようにしています。 身体から毒素を出してしまう効果があるようです。 白湯は身体のバランスも整えてくれるようです。 以前はお茶とかコーヒーとか嗜好品を好んでいましたが、最近では朝は白湯オンリーです。 身体の隅々までいきわたる様子が実感できます。 生活習慣としては良いものではないかと思っています。 それに最近では妙なウィルスが世界的に流行っているようですので 週か2週に一度 イベルメクチンというジェネリックなお薬を飲むようにしています。 私は普段は薬を飲むことは全くないのですが、このところの大騒ぎがきっかけで 予防の意味を込めてこれだけはやるようにしています。 いづれ騒ぎも収まるでしょうからそれまでの臨時の習慣です。 

2021.5.12 配達  (旧4.1)

    昨日は久々に配達してました。 近距離の場合バイクを使っています。 遠くはさすがに宅配を使いますが。 配達のいいところはほんの僅かな時間でもお客様と接することが出来ることです。 通販全盛時代の今は なかなかこういうことも少なくなったかもしれません。 別にお客様の様子を探るとか 分析しようなどということではありません。 単につながりを確認することです。 ちょっと顔を見せることで生まれる絆もあります。 最近はB to Bのつきあいをやめていってますので 直接人に会うことがあまりなくなった感がありますが たまにはいいことだと思っています。

2021.5.11 マーキング  (旧3.30)

    今日は旧暦弥生の晦。 明日から暦の上では夏です。 いまさらながら思いますが旧暦はよく季節とシンクロしてます。 ときどき閏月なんかあって「どうなっちゃうの?」と思うこともありますが 結局はうまく調整されている感があります。 ところで表題のマーキングですが 私はオルゴールの調律を主にやっていますので 色々なパターンを手がけます。 基音だけみても 440,432,444 などがあります。 調律パターンによってはもっと複雑なことになります。 なので出荷したオルゴールが後からみて “あれ?どのパターンだったかな?” とわからなくなることもしばしばです。 ですので目立たないところに色付けして識別できるようにマーキングしているという次第です。 オルガニートの場合はハンドル部分が外からメカが見えやすい場所と相場が決まってますので このハンドルを支える地板の下の部分に色をつけています。 お手持ちのオルガニート製品を一度ご覧くださるとわかるかと思います。

2021.5.10 半年もやらないと  (旧3.29)

    昨日は久々にやった調律パターンがあります。 中全音律です。 以前は主力でよくやったものですが 最近はあまりやらなくなっており、以前いつやったか思い出せない程でした。 そうしたらいくつかの音高がどうだったか思い出せない分がありました。 ずっとやってると特に数値を意識することもなくやれていたのに... まぁ そんなものでしょうね。 でも効能もあります。 久々だったので新鮮な感覚で作業できました。 中全音律を含む純正律系の音のセットはその調律を追い込んでいくと 急に性格がガラっと変わったり、色あいとでもいうのでしょうか イメージが変わったりします。 そのどのあたり調律作業を打ち切るか? というさじ加減の世界だと思っています。 久々の作業でその醍醐味を思い出した気がしますし、 こういった新風に吹かれることで新たな領域に到達することもあるのかもしれません。

2021.5.9 木のトンネル  (旧3.28)

    5月も中盤にさしかかり、初夏の雰囲気も出始めてきています。 我が家(横浜)の庭には木がたくさんです。 最近手がけていますのは 写真のように木でトンネルを作ることです。 外からの目隠しということもありますが やはり木に囲まれて生活するのが最高だと思います。 昨年はここにアシナガバチ君たちが巣を作ってしまって 通るたびに攻撃されて大変でした。 常に緑があるといいので出来るだけ常緑樹で囲まれていたいと思っています。 おかげで年中落ち葉掃きの日々ですが これはこれでなかなかよいものです。 いつか庭が森になることを夢みて。

2021.5.8 総組は結婚  (旧3.27)

    昨日は純正律オルガニートの総組をやってました。 数多くのひとつひとつの部品を丁寧に手作りしてきた末に ようやくといったひとしおな工程です。 総組は“結婚”でもあります。 ひとつひとつの部品や部材がここでひとつにまとまるわけです。 当然異質なもの同士です。 これが同居するわけですから 最初からしっくりとくるはずはありません。 ひとつひとつに 「よろしくネ」 とか 「おめでとう」 などと声をかけながらの作業です。 中には組み合わせを変えた方がいいな と思える組もあります。 そういった“声”を聴きながらの作業です。 案外といいましょうか楽しい作業でもあります。 ネジ回しの連続なので疲れることはその通りなのですが。

2021.5.7 演奏カードのエッジ処理  (旧3.26)

    昨日は写真の通り演奏カードを作っていました。 だいたい純正律オルガニートにしても 33弁αオルゴールにしても10セット分位を一度に作りますので だいたい100枚程度でしょうか。 穴あけは自動パンチマシンでやりますが それでも時間がかかります。 とはいっても自動で出来るのはこれまででして 他の作業はすべて手作業ですので かなりの “家内手工業的” な製品ということになりましょうか。 作業の中で地味ではありますが重要なのは 紙をカットした際にエッジがナイフのように鋭くなってしまうのを防ぐためにエッジをなます処理をするところです。 具体的にはカッターの背でなましてやるのですが この地味〜な作業が結構大切だと思っています。 お客様が「さて演奏!」とカードに触れた途端に「イテっ!」では興ざめもいいところです。 こうしたちょっとしたところがオルガニート製品作りの“心”といったところでしょうか。

2021.5.6 再利用  (旧3.25)

    世の中には素敵なものがたくさんあります。 なにも高級で高価なものばかりでなく、ちょっとしたものの中に“これはよく出来ている”とか“これは美しい” といったものばかりです。 よく そう思うのは包装袋やひも、それに容器などです。 私はそういったものの中で 形や材質など規格が同じで数が揃っている ものを集めておきたがる癖があるようです。 一種の収集癖といえるかもしれません。 その場では「こんなもの何に使うの?」 「さっさと捨てないと収拾つかなくなるよ!」としか思えないようなものばかりです。 でもたまにその“コレクション”が役にたったりすることもあります。 元が捨てるべきものなのですから 再利用出来たときの感激もひとしお! そんな大げさな話ではありませんが、 モノにも命も心もあります。 単に捨てられれてしまうよりは役に立てた方がずっと嬉しいのではないでしょうか...  再利用もひとつの“たしなみ”かもしれません。

 

2021.5.5 硬質フェルトの効能  (旧3.24)

    このところ良い天気が続きます。 ときおり嵐・雨が通りすぎるときもあるのが春〜初夏の気まぐれ天気です。 この季節は暑くないこともあり製作の作業ははかどります。 ひたすら“ダブルドット”と名づけた仕様でオルゴールの響箱を作っています。 このダブルドット仕様、おさらいになりますが 響箱のフタと身を音響的にセパレートするやり方です。 その分離には硬質フェルトを使っています。 両者の間に挟む部分と とめネジを音響的に“絶縁”するのにも使っています。 当然市販品にはこのような考えに合致する部品はありませんのですべて手作りで対応しています。 ダブルドットの音響的メリットはかなり大きく、懸案だった音響特性の“あばれ”は殆ど完璧に改善できました。 どうしてもオルガニートの響箱程度の大きさですと どうしても音域内にピークとノッチが出てしまうのが悩みのタネでしたが 現在ではその心配はなくなり、 ひたすら純正律のハーモニー構成のみに専念できるのが何より有難いです。 フェルトさんに感謝です。

2021.5.4 もうすぐ初夏  (旧3.23)

    昨日の書きました通り このところ朝晩中心に気温が低めで推移しています。 日が落ちてからの散歩は寒いです。 とはいえ旧暦弥生ももうあと1週間程度。 来週には夏がやってきます。 やはり旧暦が体感と季節感が一致していてしっくりきます。 この日記の表題には( )で旧暦を表記していますが 後で読み返してみて 「あぁ あの季節にこんなことやってたんだなぁ〜」 といった調子で振り返ることができて便利です。 我が家の庭の植物さんの中でも王者の風格なのは“シャクヤク”さん そろそろ咲いてきました。 3月くらいの予想では例年比で2週間位早いかな?と思ってましたが、4月の気温が低かったせいでしょうか? 例年通り位に咲き始めたようです。 自然の営みは調和がとれています。

2021.5.3 ちょっと寒いめ  (旧3.22)

    グレゴリオ暦で5月に入りました。 4月がちょっと寒いめの日が多かった今年ですが 5月連休時期の今になってもまだ寒い日めが続いています。 寒いといっても冬のような寒さとは全然違いますが、身体の方が既に初夏モードになっているので寒く感じるようです。 確か昨年もこんな感じだったような記憶があります。 冬が全体的に暖かめで推移し、春がその分低めで... これはこれでバランスが取れているのでしょう。 願わくば盛夏があまり暑くなければイイなと思う次第です。 私は夏の暑さには強い方だとは思いますが それでも暑いも寒いも程ほどがいいです。 この季節 庭の木や草には花が次々と咲き、満喫しています。 やはり植物さんと戯れるのが一番幸せなときかと思います。

2021.5.2 どうもわからん  (旧3.21)

    相変わらず オルガニートメカの調整に手間取っています。 何度か書きましたが一般的にはおそらく問題にもならないレベルの軽微な問題なのかもしれません。 音に微妙な“傷”があり、どうしても完全な修正できません。 もう1年近くも悩んでいます。 昨日も何台か音の調整をする作業の中で色々と試みていましたが 芳しい結果は導き出せず仕舞でした。 ここまでくると メカ全体のいわゆる“共振”現象の一種ではないのか?という思いが沸いてきます。 個々の部品の精度や状態ではなく 全体として特定の箇所に音の傷が発生する... 全数全く同じ箇所に同じように発生するのですから 個体差ではありません。 不思議なのはもっと世間でも問題になっていいはずなのに 全然聞かないということです。 最近あまり外部の人との交流がないせいでキャッチ出来ていないだけかもしれませんが とにかく 悩みは続きます。 ただ、一般的に言う品質レベルとしては全く問題にならないものだとは思っています。 私の最高品質への “こだわり” が問題視しているという極めて高度なこと?です。 

2021.5.1 最終調整  (旧3.20)

    修理品にしても新品にしても 出荷直前は緊張します。 最後の審判?といいましょうか、最終的に「これでイイのか?」と判断するときだからです。 必ずしも100%とはいきませんが ベストな領域まで行っていればいいのですが 心残りな状態であることもよくあります。 手直しをしますが 案外といいましょうか、もう達観したといいましょうか、 最後の調整は案外うまくいきます。 組み立てしてからある程度の時間が経過していますから オルゴールムーブメント君も響箱君も お互いにこなれて相性がよくなってきているのかもしれません。 やはり異質なもの同士を同居させるわけですから ある程度の時間をかけて“しっくり”くるように調整してやる必要はあると思っています。 ですのであまり短期で急いで作るのはダメだと常々思っています。 お客様をいっときお待たせしてしまうこともしばしばですが、そのわずかな時間をケチるのはNGです。

2021.4.30 連休前  (旧3.19)

    明日から大型連休らしいです。私は休みの日とそうでない日の区別が全然ない自由人なので 連休というと“人ごみ”という図式にしか捕らえることはありません。 「よくもまぁ みんな判で押したように同じ行動が出来るものだなぁ...」 と思うばかりです。  今日はその連休前日でかつ月末なので出荷やら支払いやら 郵便局に行く用事が目白押しです。 連休中は?というとひたすら“製作”です。 なんだかわかりませんが 世間さまは緊急事態のようなので今年は人出が多いのかどうかわかりませんが はちあわせは御免ですので外には出ません。 とにかくもなんとか今月も乗り切った感があります。 

2021.4.29 伴奏用長尺カード  (旧3.18)

    オルガニートの魅力は1つのオルゴールで紙の演奏カードを取り替えることで多くの曲を演奏できることです。 オルゴールというより楽器に近い使い方もできます。 近年ではこのオルガニートを歌や楽器の伴奏に使う方も多くいらっしゃいます。 今日はそういうニーズにお応えして数コーラス入りの長い演奏カードを作ってました。 普段やらない作業なので結構面倒なこともありますが 数メートルにも及ぶみごたえあるカードになります。 紙媒体ですから 歌詞を書き込んで演奏時にカンニング?する人もいます。 工夫のしがいあり!です。 こうしてオルガニートが活躍する幅が大きく広がっていくのは素敵なことだと思います。 ちなみに長尺カードは一般に穴(音)の数も大めですから 手でいちいち穴あけするのは大変です。 手持ちのパンチマシンが大活躍しているのは言うまでもありません。 このパンチマシンをもっと普及させることが出来ないか?ということで一部では動きも始まっています。 将来が楽しみなことだと思います。

2021.4.28 修理・修復の大切さ  (旧3.17)

    オルゴールは時を封じ込める箱。 そんな感覚は常にあります。 ぜんまいを巻けば... 手回しすれば... いつでも、どれだけ時が過ぎ去っていようとも、完全に忘れ去っていようとも... その瞬間に封印されていた時間がよみがえります。 いつでも生演奏であり、当時の音がそのまま再生されます。 そんなオルゴールだからこそ 修理・修復の仕事はやめられません。 商業的価値とは全く異なる価値がオーナーさんにあるのです。 それは時を越えて褪せることはありません。 なので修理するときも部品類はできるだけ当時のものをそのまま使おうと努力します。 やたらと新品に取り替えてしまうことは避けます。 モノに宿る心を出来るだけそのままにしておきたいと思います。 メカの修理にあたってはまずはバラして並べます。 それまでの時を経て蓄積した疲労をまず解放してやります。 それからひとつひとつ修繕と再組み立てをして元通りに。 可能なかぎり“当時のままに”をめざします。

2021.4.27 気をとりなおして  (旧3.16)

    昨晩は美しい満月でした。 いつになく大きなお月さまを愛でながらすごしていました。 地上では日々オルガニートの製作に勤しんでいます。 このところメカの不調を修正する作業に異常なまでに時間と精神力をとられていることは以前からお話していました。 逆に木工で響箱を作る工程は実にスムーズで楽しいプロセスにも感じられます。 この対比があまりに違いすぎて笑ってしまうほどです。 今日あたりからは気をとりなおして メカ調整を延々とやることになりそうです。 100%うまくいってもプラマイゼロな作業です。 おそらく製品を手になさった方は何も気づかないと思います。 そのくらい“あたりまえ”のことが不具合で毀損されているわけです。 正直いって少々うんざり気味ではありますが やらねば良い製品は出来ません。 なんとかします。 なんとか...

2021.4.26 思いのやりとり  (旧3.15)

    オルガニート製品の製作工程の中で一番楽しいのは? 実は“塗り”の作業だと思っています。 現在は主に茶系と赤系の塗りをやっていますが、木と戯れる時間が一番濃いのがこの工程です。 木に触れているときは なぜか落ち着きますし、心が穏やかでクリアになる感覚があります。 これから響箱として活躍してもらえる木さんにエールを送りつつ、なんて大げさかもしれませんが 実際そんな気持ちで作業しています。 結構ハードな作業ではありますが何故かわかりませんが それほど疲れは感じません。 もっとも紙の演奏カードにしても、金属製のメカにしても 手に触れながら作業していると 必然的に会話が生まれます。 モノづくりは会話!思いのやりとりのプロセスだと思います。 季節が良くなってきたせいか 作業にも熱が入ります。 みなさんもオルガニートを演奏するときは 「いい音で鳴ってくださいネ!」と声をかけてあげると きっといい音で鳴ってくれると思いますよ。

2021.4.25 星空とBGM  (旧3.14)

    私はメインのPCに Ubuntu OS を使っています。 ようやく日々のワークにも慣れて、満足に使えてるかな?といった感じになってきています。 壁紙代わりに Sterarium プラネタリウムソフトを使って いつも星空にしています。 子供の頃からずっと星空ファンな私でして、現在ではあえて地方まで星を見に出かけるようなことはしなくなりましたが、 やはり星を眺めるのは好きです。 さて 表題のBGMですが いつも小音量でかけています。 何を? といいますと 海の波の音や小川のせせらぎの音です。 これにお気に入りの音楽をもっと小音量で 聴こえるか聴こえないかの限界位の音量でかけています。 音は小音量がいいと常々思っています。 曲は色々ですがピアノならmonpouとかScriabin、 弦楽器ならLuteがすきです。 波や川の音とこういった音楽を重ねて鳴らしています。 あくまで小音量で。 オルゴールを作っているせいか 自然環境や環境音楽に近いものを好む傾向があるようです。

2021.4.24 これでも結構...  (旧3.13)

    日々 のほほほほほ〜ん としている私ですが これでも結構忙しいこともあります。 オルガニート製品はずっとつくり続けていますが、追いつかないままです。 原因はといいますと 結局これまでお伝えしてきたように “こまかい問題” が山積しているため、それを解決するのに異常に時間と精神力?を消費しているためでしょう。 決してほめられた状態ではありません。 そもそも問題というのはマイナス点ですから 完璧無比に解決してはじめてプラマイゼロです。 つまり“あたりまえ”。 なので現時点でも問題の解決が不完全であるということは 常に人様に迷惑をかけているということです。 これが心苦しいところです。 問題の大部分がムーブメントの不具合ということなので どことなく被害者意識もあるのですが、そうも言ってられません。 他のオルガニート製作者がどう考えているはは知りませんが 私は問題を放っておくことはできないので 製作に時間をかけてでも解決させます。 結果として需要に満足にお応えできなくなっていますが 仕方ないところです。

2021.4.23 プラ部品のバリ問題  (旧3.12)

    昨日の記事でオルガニート・オルゴールの駆動部分におけるプラスチック製ギヤーにバリがあって それが「コツッ」というなんともいえないひっかかり感の原因になっているという話をしました。 実はこのプラスチック部品のバリは 最近のオルガニートメカではいたるところにありまして 演奏や音にはさほどの影響はないとは思われますが  気になってはいます。 特に最近 そうですね ここ6〜7年位でしょうか? 爪車組(下側のローラー)にはまっているスペーサーといわれるプラスチックの部品に見られます。 正確にはバリではなくランナー痕といわれるもので 成型加工後に部品をランナーから切り離した際に残る “へそ” のような切り残しです。 これがありますとカードを入れないで手回しした際に 抑え板といわれる一番上に見える部品が 「コトッ コトッ」 となります。 特にカードの送りや音への悪影響は無いと思っていますが 気持ち悪いので 私はこのランナー痕はきちっと削り落としています。

2021.4.22 手回しハンドル2  (旧3.11)

    オルガニート・オルゴールにおける手回しの“味”を良くする試みの続編です。 昨日の追記でハンドルの駒を真鍮材で削りだして造った旨お話しましたが 味はよくなったものの まだ今一歩!といった感触でした。 ハンドルを回す度1周毎に“コツッ”と微妙な“ひっかかり感”が感じられます。 これも最近数年のメカでは全数にあります。 これを軽減するように心がけてみました。 何をやったか?といいますと簡単なことで 「ギヤーのバリをとる」 これに尽きます。 見た目ではほとんどわからないですが ハンドル軸にはまっているギヤーと、それに噛み合っているギヤーの歯のヘリ部分に微妙なバリが見受けられます。 白いプラスチック製なのでなかなか見えにくいのが難点です。 昔のメカにはほとんど見受けられなかったことですから もしかしたらギヤーを成型する金型がヘタってきているのかもしれません。 拡大鏡を使いながら丁寧にダイヤモンドヤスリで整えていきました。 結果は? ある程度ですがひっかかり感は軽減しました。 まだまだ他にも“味”を悪くする要因はありそうです。 引き続き改善の試みを続けてみたいと思います。 また続報します。

2021.4.21 手回しハンドル  (旧3.10)

    オルガニート・オルゴールのハンドル。 手回し演奏ですからハンドルの回し“味”はとても大切です。 ところが残念ながら ノーマルなオルガニートメカニズムに装備されているハンドルは回し味がいまいちな感じです。 まわすと“カタカタ” “コツコツ” と微妙にひっかかるような感触があったりします。 これは主に手にもつ“駒”の部分の工作精度によるものだと思われます。 具体的には駒が軸に嵌っている部分のクリアランス(間隙)が少々大きすぎるのでしょう。 駒側の穴が真円でなく 多少“おむすび型”になっているのかもしれません。 量産目的のメカにあまり多大なことを要求しても仕方ないところではありますが 心情的には 「もうし少しなんとかならんのか?」 といったところです。 普段の作業が一段落したので 今日あたりからハンドルの駒を旋盤で削りだして試作してみようと思っています。 本当は硬い木(樫や紫檀など)で作るのがいいのかもしれません。 手に触れる外周側もツルツルではなく 手が滑らないような加工を施せたらいいな と思っています。 試作できたらまた報告します。

ps 先ほど軽く作ってみました。

    材料は真鍮で16ミリ径です。 表面には溝を切って手回しのとき手が滑らないようにしてみました。 最大のキモは駒の中心穴です。 やはりメーカーオリジナルものは少し穴径が大きすぎるようで、ブカブカ状態です。 ぴったりのサイズに作りましたらある程度ではありますが まわし“味”がよくなった気がします。 しかし、“味”を左右する要素は穴径だけではないようで、依然どこかしらに“コツッ”といった軽いひっかかり感が残っています。 ハンドルの回し味改善はそう簡単にはいきそうもないようです。 もう少し気合いれて試作してみます。

2021.4.20 Jasracマーク  (旧3.9)

    音のキャンバス・ソフトウェアで商業目的のオルガニート演奏カードを作るうえで 足りない!と思っていた機能があります。 それは著作権表示です。 具体的にはJASRACのロゴと許諾番号を印刷する機能といったところです。 実は先日、この機能を試験的に追加して使ってみています。 なかなか便利なものです。 ただ なぜかわかりませんが JASRACロゴが印刷できないようです。 番号は印刷できるのですが... 不思議です。 なにかからくりがあるのかな?なんて。 私は通常オルガニート製品に添付する演奏カードはP.D.(著作権の切れた曲)を使っていますので滅多に許諾を得ることはないのですが たまに特別注文された際に必要になることがあります。 これまでは鉛筆手書きなどでごまかしてましたがちゃんと印刷するようにしようと思います。 なお一般向けにこの機能をリリースするかどうかは未定です。

2021.4.19 針のふれ  (旧3.8)

    針とはオルゴールくし歯調律の際に使うチューニングメーターの針のことです。 純正律系の音律は音と音の協和度が高いですから 調律を追い込んでいくと ある領域からメーターの針が小刻みに“振れ”はじめます。 複数の弁同士が共振している状態です。 その“振れ”周期や挙動はまちまちですが なれてくるとその挙動をもってチューニングのゴールにどのくらい近づいているかを判断できます。 チューニングメーター自体は音高の測定精度はそれほど高くはないのですが この“振れ”の挙動がちょうど バーニアダイヤル のような役割を果たしてくれます。 バーニアダイヤルとはノギスなどに装備されている機構でうまく使うと測定精度を10倍程度には高めてくれる便利な機構です。 理想的にはノーマルで高精度な測定ができる機材が開発できればいいのですが 市販機材でも案外高精度な調律世界を実現することはできるようです。 このあたりは職人技の領域になるのでしょうか? 長く続けていくと それなりに会得するものはあります。

2021.4.18 あけてもくれてもから  (旧3.7)

    まぁつくづく思いますが この20年、あけてもくれても オルガニートのことばかり考え、作り、改善して来た日々だったと思います。 色々な道具も作りました。 音の改善にどれだけ時間と手間をかけてきたか... それが このところ 具体的には昨年10月位からでしょうか。 急速にその意欲が減退しています。 なくなったわけではないですから継続はしていますが、 やはりメーカーさんによる理不尽とも言えるメカの大幅値上げ劇がアッパーカットのように効いています。 テクニカルノックダウン食らった状態ということでしょうか。 オルガニートを作っていくのに必要なコストと価値のバランス、それに保守サービスを続けるための前提条件が大きく毀損されてしまった感が強いです。 今後は大幅に事業それ自体を縮小していくことになるかな?と予想しています。 細々とやっていくこと自体はこれまでと本質的に変わりませんが、色々と開拓・挑戦していくことからは退いていくことになるでしょう。

2021.4.17 背景画の印刷節約  (旧3.6)

    つい先日ですが音のキャンバス・ソフトウェアがWindows10での印刷時に背景画が印刷できないという不具合が生じていました。Windows側のアップデートで解決したようですが この背景画。 私の最近の演奏カード印刷では “繰り返し” 印刷をせず、先頭だけに印刷するように変更しています。 インクを節約するためです。 カードは全体に真っ白に近いできばえですが、特に不具合や不評はないようですので 今後もそのままでいくことにしました。 演奏カードは印刷、カット、穴あけ、またカット、エッジ処理 と案外加工工程が多いです。 そこにきて近年はインクジェットプリンターのインクカートリッジが結構高額になってきてますので バカにならない原価になっていました。 どうでもよいところは少しでも節約してコスト高にならない努力が必要だと思っています。 我ながら「涙ぐましいなぁ」と思っています。 

2021.4.16 どうしたものか2  (旧3.5)

    昨日から悩んでますオルガニートオルゴールの異音問題。 昨日というより何年にも亘るずっとなのですが、 さすがにイヤになってきてます。 原因すらまだわからない状態です。 おぼろげながらわかってきているのは くし歯といわれる音を出す鋼鉄の部品をムーブメントのベースフレームに取り付けるやり方に何か問題があるのではないか?という点です。 特定の弁が取り付けのねじ締め付け方によって“ゆがむ”のではないか?ということです。 どうすれば解決するのかはまだ全然わかっていません。 かみ合いといって爪がくし歯をはじく際のかみ合わせの強さをうまく調整してやればかなり軽減できることはわかっています。 それでも現象がなくなることはありません。 長年やってきた製作ですが 未だにこんな初歩的なところでひっかかっているのが現実です。 まだまだ素人の域を脱し得ません。

2021.4.15 どうしたものか  (旧3.4)

    オルガニートオルゴールの製作は毎日のように進めています。 このところはオーダーが少ないですので一息といったところです。 現在困っていることは 20弁オルガニートのムーブメントの一部の音に多少の異音が混じることです。 これで不良なのか?という程のことではないのですが 少なくともこの5〜6年は全数にこの問題?が生じています。 具体的には低音側の ソ または ラ あたり弁数にして下から5〜6弁目位の位置のくし歯に異音が生じます。 これまでもこの日記で何度か触れて来ました。 なんとか解決すべく手は入れていますのでさほどの害はないと思ってはいますが 困った問題です。 曲によっては全然目立たないで済む場合もありますが 編曲によってはかなり耳障りな音になるように感じることもあります。 全数に生じているというのがコトの問題を大きくしているように感じます。 他の業者さんやメーカーさんは問題視すらしていませんので私が過大に考えすぎているのかもしれませんが。 このところの月あたりの出荷台数が低迷している原因のひとつにもなっています。 よい解決策がないものか日々模索中です。

2021.4.14 内製(外注を減らすこと)の大切さ  (旧3.3)

    純正律オルガニートや33弁αオルゴールの製作は日々行っていますが、その最後の工程が“パッキング” 個装箱に納めて 出荷準備して... となるわけですが 私が作っている製品はほぼすべてが手作り。 長いながい製作工程の最後の段階。 感慨ひとしおといったところでしょうか。 考えてみると外から買ってくるもの(外注品)は個装箱とムーブメント単体くらいです。 なので見た目以上に細かい部材や部品は手作り品となってまして、作るのに手間と時間がかかります。 初期の頃に比べて4割増し位にはなっているかもしれません。 それでも外注をしないで内製することで原価高になるのを避け、小売価格が上がらないように努力してきました。 近年でコスト高になる要因の最大なものは ムーブメントの単価高騰ですが、 案外バカにならないのがパッキング部材などの価格です。 やはり外から買ってくる部材が高くなっています。 デフレ下のご時世なのに値上げラッシュが続く昨今です。 逆に言えば内製分の付加価値はどんどん外注分の高騰で食われていくということでしょうか。 それでも手間を自分で背負うことが 結局は品質と価格両面で安定させることにつながっています。 とはいえつい先日販売価格の値上げをやらざるを得なくなるのは オルガニートムーブメント価格の高騰が激しすぎるためです。 自助努力も限界有りといったところでしょうか。 複雑な気持ちです。

2021.4.13 10台がやっと  (旧3.2)

    ここ半年ほどのオルガニート製品の製作ペースですが なぜかうんと“のろま”です。 昨年前半は月あたり20台〜30台位の製作は十分出来ていたように思いますが。(ずっとそういうペースで作り続けているというわけではありません。あくまで潜在的製作ポテンシャルの話です。) 最近の半年位は それが月あたり10台ですらおぼつかないほどに落ち込んでいます。 当初はメカの品質問題が大きく影響していたのですが 最近それも落ち着いてきたのにペースは回復しません。 歳のせい?なんて思ったりもします。 ひとつ作業すると長い時間休むといったリズムなのが影響している気がします。 まぁ マイペースはいつでもマイペースですから ゆっくりになっても私はいいと思っていますが。 出来上がったオルガニート製品それ自体はいつでもベストなものにしています。 それを維持するためのペースダウンは是としましょう。

2021.4.12 保守部品不足  (旧3.1)

    私はオルガニート(20弁、33弁)を中心に修理やメンテナンスサービスもやっています。 結構な件数のご注文があります。 概ね順調にこなせてはいますが 最近では保守に使う部品が足りなくなって来まして ご依頼をお請けできないケースも出始めています。 どうしたものかと思案してはおりますが これは結構重大な問題でして、 仮に保守や修理サービスが出来なくなってしまうとなると 新品ものの販売も出来なくなります。 オルガニートオルゴールは手回し演奏するものですから調子が悪くなったり、磨耗したりします。 どうしてもメンテナンスが欠かせません。 保守が出来ないために販売を取りやめるなんてことにならないよう 何か考えていかねばなりません。 頭が痛いです。

2021.4.11 いろいろ残して  (旧2.30)

    こちらにオルゴールの調律に関する動画があります。 一昨年になりましょうか 出演しているのは他ならぬ私です。 オルガニート愛好会の方々のご協力もあり収録できました。 この動画で説明できていることは限られてはいますが それでもこういった情報を残すことが出来るのは良いことだと思います。 こうした活動を通じて どのくらいの人がオルガニートをプロとして扱ってくださるようになるのかはわかりませんが きっと将来に向けてこのすばらしいオルゴールを継続していく一助程度にはなると信じています。 オルガニートはいまや一企業の属物ではありません。 文化です。 メーカーさんにもそういった認識でいていただきたいものです。

2021.4.10 ここ数日寒い  (旧2.29)

    かなり暖か傾向で推移してきた今年の春ですが やはりそのまま夏!というわけにはいかないようで この4月中旬にさしかかる時期に寒が戻ってきています。 とはいっても陽は既に高く、冬とは景色が全然違います。 ただ身体の方は既に春モードになっていますので 冬よりずっと気温は高くとも 寒い!と感じるのですね。 暑さ寒さも相対的なものということになりましょうか。 我が家の庭は木がたくさんあります。 この春も木が成長してくれて 庭が森になってきています。 私は“鬱蒼とした緑”状態がすきなので だんだん理想的な庭に近づいている気がします。

2021.4.9 オルゴール楽曲のデータベース  (旧2.28)

    ずっとほったらかしになっていますが 昔のディスクオルゴールの円板から読み取ったデータを基に曲として聴けるようにしたデータベースがあります。 http://takkoman.web.fc2.com/disc_musicbox/15inch/15inchDBex_at_Nov_2012__.htm これだけの楽曲を一覧にし、さらに試聴できるようにしたデータベースはなかなかないのではないでしょうか。 2012年〜2013年にかけて全国を飛び回ってデータ集めをしてきた思い出があります。 また曲名や作者などの間違いや日本語名を整備するのに大勢の方にご協力頂きました。 未だにデータを活用できておらず せいぜいこういった一覧カタログにした程度で終わっていますが データとしては活用の道はあると思っています。 現在ではディスクオルゴール関連のことは全くかかわらなくなっていますが、機会あればまた何らかの形で活動していきたいとも思ってはいます。

2021.4.8 なかなかペースが  (旧2.27)

    気がつけばすでに旧暦如月晦近く、春の終盤に差し掛かっています。 巷の桜とはワンテンポ遅い今頃満開を迎えた八重桜が庭を彩っています。 今年は庭の木々も芽吹きが早く、柿などはもう立派な葉にまで成長しています。 例年より2週間位は早いペースに感じます。来月には暦の上でも、おそらく実感上でも夏になります。 早いものです。 私の方は?といいますと、なかなかペースが上がらず、相変わらずののんびりモードです。 主力であるオルゴールムーブメントの調律作業も昔のようには数をこなすことが出来ず、作業机にはずっと仕掛かり中のムーブメントが滞留したまま。 まぁ 長く手元にあった方がよい面もありますから、ものごとすべては一長一短です。 

2021.4.7 白湯  (旧2.26)

    白湯(さゆ)は体を温めるのに最適だと思います。 お茶やコーヒーと違いニュートラルですから体のバランスを取り戻すのにもよいようです。 これから暑い季節に突入していきますが 体を清浄に保つためにも極力白湯を頂くようにしたいと思います。 特に朝の一杯が最高です。 私は自営業なのでいつも家で仕事をしています。 極力日々の生活と仕事に落差が出ないように心がけています。 等身大とでもいうのでしょうか。 こういった心がけが大切かなと思います。 白湯は両者をつないでくれるありがたい飲み物かなとも思ったりします。 

2021.4.6 444の魅力  (旧2.25)

    私はA=444Hzで純正律に調律したオルガニート・オルゴールも作っています。 一般向けには特別なアナウンスはして来ませんでしたが さる筋の方向けには結構な数を出荷しています。 この基準音の周波数からわかるとおり、一般的な音階の音より少し高めの調律になっています。 その差はほんのわずかなのですが 聴こえ方といいましょうか、感じ方はまるで別物の感があります。 言葉でうまく表現するのはきわめて難しいのですが 敢えて言うと 「この世の諸々のことがどうでもよくなってくるような音」 といったところでしょうか。 ある意味で超越した音といっても過言ではないかもしれません。 場の雰囲気が一変するような雰囲気すらあります。 ほんのわずかな周波数差ではありますが そこには別世界が存在するようです。 調律作業自体はこのオルガニートの調律可能範囲の上限に近いため 難易度はかなり高い作業ではあります。

2021.4.5 貧弱なネット  (旧2.24)

    経費節約もありますが 私のネット環境は非常に貧弱です。 モバイル系の無線ネットなのですがその速度が超がつくほど遅いものを使用しています。 昔々あったISDNというのを覚えていらっしゃいますでしょうか? あれ程度の速度のものです。 その代わり月あたりの費用は300円ちょっとという安さです。 いまどきのWebサービスは高速ネットを前提としていますので 動画は途切れ途切れですし、メールすら送信失敗することもしばしば という散々な状態です。 それでもいいと思っていますのは 元々アマチュア無線を趣味にしていたこともあり、「通信は不安定で不確実で遅いのは当然」という観念があるためだと思います。 貧弱で滞りがちな通信状況を想像しながら運用する。 これはこれでひとつの醍醐味かもしれません。 いつまで続けられるかわかりませんが。

2021.4.4 アーカイブ化  (旧2.23)

    後進に道を譲るなどというと 私自身がいかにも先陣を切ってきたかのような言い方ですが、このところの私の活動の主要部分は “やってきたことをアーカイブとして残し、これから手がけようという人への参考にしてもらう。” ということになりましょうか。 私がやってきたことなどたいしたことではありませんが、それでも何も資料が無いよりはマシかも。 といった程度のことですがオルガニート愛好会の有志の方々のご協力も得つつ、ビデオアーカイブにしていただいています。 やってることは簡単なことなのですが 実例があるかないかというのは実に大きな違いとなると思います。 具体的には私が主力でやってきましたテーマとして “再調律の技法” “演奏用カードパンチマシン” “音のキャンバス オルゴール用のオーサリングソフトウェア” になりましょうか。 情報は極力公開し、これからスタートする方々が居るとするならば その方々への一助にでもなればと願っています。

2021.4.3 久々にEx..(A=440Hz)の調律  (旧2.22)

    実はここしばらくは As..(A=432Hz)やSp..(A=444Hz) 仕様での調律がとても多く、20弁オルガニートでEx..(A=440Hz)の仕様で調律を施すことが少なくなっていました。 調律作業は手の感覚が命ですので やはり手がける頻度がモノを言う作業ということになります。 頻繁にやっている仕様はスムーズで早いですが そうでもない方はどうしてもモタつき気味になります。 微妙な追い込みのところで質に隘路が出ないように時間をかけるのと しばらく時間をおいてから再度確認をするようにします。 もう20年もやってるくし歯の調律作業ですが 未だに“習熟した!”感は全然ありません。 久々のEx..の調律作業でした。 いつも初心者状態でやる作業かもしれません。

2021.4.2 保守サービスが大切  (旧2.21)

    オルガニートは手回しで演奏しますし、人によりますがかなりの頻度で使われることの多いオルゴールです。 機械ものとしてはかなり酷使される部類かと思います。 そのためかなりの確率で修理や調整などの保守を必要とします。 私のところにはいつも保守の依頼が来ます。 修理や調整をまつオルガニートが常にあるという状態です。 それだけ大切にベストコンディションで使って頂けているということですので すばらしいことだと思います。 部位によっては消耗する部品もありますので交換を要することもあります。 悪いことに最近ではこの交換用の部品の確保が難しくなってきていまして、かなり保守サービスの維持が大変になってきているという事情があります。 今後はある程度はこういった部品類を私のところで作れるようにしていく必要性を強く感じているところです。 オルガニートの部品はどれも非常の精緻なものですので自製といっても困難を極めます。 ここ一番、工夫のしどころかと思っています。 保守を終えて元気に復活したオルガニート君を送り出すときの充実感は他のなにものにも代えがたい感慨めいたものがあります。 地味ながらオルガニートを陰から支える仕事だと思っています。

2021.4.1 空き時間にというわけには  (旧2.20)

    オルガニートの調律作業は私が延々と20年もやってきた作業なのですが 未だに大変な作業というところは変わっていません。 慣れれば少しは楽に作業できるかな なんて思った時期もありましたが 結果的に振り返ってみても決して楽な作業ではないように感じます。 全身全霊というところでしょうか。 オルガニート製品の製作工程全体を見渡してみても 一番時間もかかり、作業に取り掛かるのに結構“決意”のいる作業です。 なかなか「ちょっと時間が空いたからやろう!」なんていうノリでは取り掛かることのできない作業かなと思います。 それだけに仕上がったときの安堵感といいましょうか ホッとするひとときは格別なものがあります。

2021.3.31 見た目以上に難しい  (旧2.19)

    “オルゴールムーブメントを自分で作りたい・自社生産したい” というようなことをおっしゃる方が時々いらっしゃいます。 私の経験では十指ではきかない位はいらしたと思います。 でもその総てが1年もしないうちに静かになっています。 どうもムーブメントのメーカーであるサンキョーさんの製品をご覧になって 「この程度なら私にでも出来るわい!」的に感じられるようなのです。 確かにサンキョーさんのムーブメントはシンプルな作りで飾り気もないですので 一見しますと確かに自分でも製作できそうな気がするものです。 ことカード式オルゴールであるオルガニートのムーブメントも同様です。 ですが そのシンプルで何の芸も無いように見えるムーブメントでも その裏や陰に隠された膨大なものが見えにくいだけであり、 その一端にでも引っかかりますと 「これは無理」と悟られるようです。 音楽装置でもあり機械装置でもあるオルゴールムーブメントには実に様々な要素が凝縮されていますので 見た目のシンプルさだけで総てを見切った気にはならない方がいいです。

2021.3.30 マイペース  (旧2.18)

    この半年ほどこの日記もご無沙汰してましたし、実は製作ペースもずっとゆっくりなものに変化しています。 それは今でも同じです。 歳ということもあるかもしれませんが ガンガン作る!なんて芸当はもう出来ないようです。 ひとつひとつの製作作業を1日づつ分けてこなす。 そんなペースに移行しています。 出来上がるものはさほど変わっていないとは思います。 今ではこのペースが板についた感があります。 製作仕事自体の規模も縮小してきていますので調度よい感じです。 これがなまじっか固定経費になる設備などたくさん持ってしまうとそうはいきません。 いつの間にか設備を稼動させるための仕事になってしまいます。 追いまくられます。 そんなのは私の性分には全く合いませんので御免です。 それでも重い〜 なんとかならんのか?と感じるのは税金ですが。

2021.3.29 向き不向き  (旧2.17)

    万能、オールマイティーというのはないと思います。 どんな物事にも向き不向きはあります。 もともと向かない、得意でない、苦手〜 な分野や部分はあまり力をいれて“克服”しようなんて思わない方がいいと思うことが多々あります。 自分にとってネガティブな部分というのは仮に完全なる克服が出来たとしても 高々プラマイゼロに戻るだけ。 決してポジティブな方向までは行かないものです。 それより得意な部分、本来の在りように近い部分を一生懸命 かつ楽しく手がける方がずっといいと思います。 どんなにすばらしいことに思えても、出来たなら一流だよな! と思えても 出来ないものは出来ないのです。それはあなたの出番・役割ではないのです。 さっさと諦め、離れるのが一番です。 逃げることも避けることも嫌うことも 決してネガティブなことではありません。 スポコン流に“立ち向かえ”というのは固定された競技ルールに自分を矯正する技術で元々は軍隊のやり方だと思います。 本質的に自由な世界では そういうのは程ほどにしておきたいと思う今日この頃です。

2021.3.28 良い音のオルゴールとは  (旧2.16)

    ずっとオルゴール製作を手がけてきましていつも思うのは“良い音のオルゴール”を作るのはどうやるといいのだろう... ということでした。 もちろん答えも定義もありません。 人それぞれの主観や感性による感じ方なのですから方程式があるわけはありません。 私は私で自分がつくるセン材の箱に入れたダブルドット仕様と名づけたオルゴール(オルガニート)が最高の音がすると感じています。 特に私にとって良いオルゴールとは あくまで音響特性に“あばれ”の少ないフラットななり方をすることが基本となります。 どんなに澄んだ音、やさしい音がするオルゴールでも音響特性的にアンバランス感のあるものは よい評価は出来ません。 聴いていてストレスを感じるからです。 この音響特性と音の質的な面はトレードオフの関係になっていることが多く、製作者にとっては厄介な問題でもあります。 他の人はまた別の見方、感じ方をするでしょう。 どこまでいっても唯一無二の答えなどない世界です。 だからこそ弱小基盤な私でも長く続けてこられたオルゴール製作の仕事なのかもしれません。 

2021.3.27 特殊調律のオルガニート  (旧2.15)

    私がずっと手がけてきましたオルガニート製作の骨子。それは特殊な調律を施したオルゴール ということになりましょうか。 純正律が主ですが 他にも色々な音の配列パターンのものを作ってきました。 もう あまり数多くのオルゴールを製作し続けることは難しくなってきましたので 今後は徐々にではありますが、こういった純正律以外の特殊仕様のオルゴール製作に特化していこうと思っています。  もはや西洋12音階とも違うものもあり得ます。 そういった意味で 最近33弁で“宇宙律”と仮に名づけた調律パターンを手がけだしたのは その発端といえるかもしれません。 宇宙律はまだ純正律の一種ではありますが。 オーサリングツールである音のキャンバスソフトウェアもそういった特殊なパターンに対応したものを作っていく必要があります。 音のキャンバスは実はそういった用途にこそ活用されるべく作られたソフトウェアなのです。 そのひとつの適用例として20弁、33弁のオルガニート向けを世に出しているという位置づけになりましょうか。

2021.3.26 世の中の変化  (旧2.14)

    日々オルゴール製作をしておりますが、世間さまに目を向けてみますと大変化といっていいようなすごい変化が興き続けているようです。 昨今の新型コロナ騒動もそうですが 社会の根幹で磐石といわれて誰も疑わなかったところが形骸化・ミイラ化し、今にも雲散霧消しそうな勢いです。 かくいうオルゴールを取り巻くせまい世界も他人事ではなく、国内唯一のオルゴールムーブメント製造会社であるサンキョーさんも その波をモロに被っているご様子。 昨日の記事で発表した純正律オルガニートEx..の値上げもその余波です。 まだ小幅値上げ程度で済んでいる内はいいのですが その存続まで危うくなっても全くおかしくない程 世の中はある方向に暴走し続けているように思えてなりません。 この流れは巨大な組織で運営しているところほど影響が大きいと思われます。 巨大組織がわが身の保身に走ったときの悪影響は計り知れません。 逆に私のところのように取るに足らんような零細で社会からポツんと取り残されたようなところはその影響は笑ってしまうほど小さいのかもしれません。 そんな私のところで“さえ”値上げを余儀なくされる事態。 この程度で済めばいいのですが。 今こそ我欲を捨ててコトにあたらねばなりません。

2021.3.25 純正律オルガニート値上げ  (旧2.13)

   現在9200円(税込み、送料別)で販売していました20弁純正律オルガニートEx..ですが たび重なるムーブメントの値上げについに耐えられなくなりました。 気がくるってるのではないか?と思えるほどの値上げを繰り返すメーカーさんの圧力は凄まじいもので オルガニート、ひいてはオルゴールを破壊するつもりか?とすら思えるほどのひどいものでして、 なんとか消費税増税にすら耐えて価格維持してきた純正律オルガニートですが 値上げを決意しました。 実施時期は即時で今後のご注文分から9800円(税込み、送料別)に改訂させて頂きます。 「一度決めた値段は死守する!」方針で20年もやってきましたが ついに陥落といったところで残念です。 この600円アップという価格はこれまで累積してきたムーブメントの値上がり分よりもずっと小さい数字です。 すべてお客様に転嫁する訳にもいきません。

 一方の33弁αオルゴールの方ですが 現時点では価格維持(37000円 税込み、送料込み)とします。 こちらはこちらで、近い将来にいろいろ考えなくてはならない課題が多くあります。 お買い求めをご検討なさるのでしたら今のうちかもしれません。

2021.3.24 補修用部品をどうするか  (旧2.12)

   現在 非常に困ってますのはオルガニートの修理に欠かせない補修用の部品類が手に入りにくくなっていることです。 以前は古いムーブメントからはずしたりしてなんとかこなしていましたが それも底を尽き、どうしたものか と困り果てています。 特に上ローラーといわれる黒いプラスチックのついた部品です。 これは数十年すると割れてきます。 極端にハードに使い込んでいない限り磨耗するようなことは少ないようですが プラスチックが金属軸に嵌る形の部品ですので両者の膨張率の差から長年経過するとプラスチック部分が割れてしまうのです。 この割れたプラスチック部分をどう取り替えるかが問題になっているわけです。 特に30年以上前に製造された20弁オルガニートメカはこの割れがほぼすべてのムーブメントに発生しているでしょう。 今後修理を希望される方が増えることは十分に予想されます。 体制整備が急がれるところです。 今後の検討課題として急浮上してきました。

2021.3.23 音のキャンバスの印刷で背景画が出ないこと(続報2)  (旧2.11)

   ここのところお騒がせしています 音のキャンバスソフトウェアがWindows10上でのカード印刷時に“背景画が印刷できない”という問題のことですが マイクロソフト社による修正アップデートがリリースされたようで 今日現在の最新のアップデートを施すと印刷できるようになるという情報がちらほら出始めています。 私としてはもう少し様子を見ておきたいところですが やはり一時的なOS側の問題だったようです。 何度も申し上げていますが Windows10側からみますと音のキャンバスは古い仕組みを使っているソフトウェアです。 この古いソフトを動かす仕組みの部分が不具合に見舞われることは今後もあると思います。 なぜならその動かすニーズは年々少なくはなってくるわけで マイクロソフト社としては重要性が年々低下することは間違いないからです。 とはいえWindowsがWindowsたる存在意義はこの古いソフトがきちっと使えるということですから なんとかがんばってほしいものです。 まずは安堵してはいます。

2021.3.22  なぜか修理改善の依頼が多く (旧2.10)

   3月に入ってどういうわけか オルガニートの修理のオーダーが増えています。 例年は7月頃が多い時期にあたるのですが 今年は早いように思います。 人々が活動的になる時期とオルゴール修理の依頼される時期は重なっているように感じています。 それとも長い冬に存分に楽しまれてメカのメンテナンスを必要とする時期なのでしょうか。 お客様個々の事情はわかりませんが てんてこまいの時期でもあります。 このところ修理にあてる部品不足が続いていまして 部品交換を要する修理がなかなかままならない事情もありますので大変はたいへんです。 とはいえオルゴール とりわけオルガニートを楽しんでお使い頂いている方がお困りにならないよう、がんばって修理屋は続けていきたいところです。 メンテナンスあってのオルガニート! です。

2021.3.21  手回しの味を改善!したい (旧2.9)

   どうもこの10年位に製造されたオルガニートムーブメントは手回しの“味”が悪いと思っています。 昔のはかなりスムーズで気持ちよく手回し演奏できたのですが 今のはカタカタっとひっかかるような感触が常にあります。 それに異音というほどではないにせよ どことなく音に違和感を感じることもあります。 見えないところで質の低下は進んでいるのでしょう。 ここで重い腰を少しだけ上げて、手回し味の改善に取り組むようにしようと思いはじめました。 具体的には手にもつハンドルの駒の部分を作り変えるようにしてみます。 手回し演奏でなんとなくコツコツと当たるような感触を低減しようかという試みです。 まだ試みですので どうなるかわかりませんが やるだけはやってみようという思いです。 

2021.3.20  ubuntu (旧2.8)

   ubuntu(ウブンツと読みます)とはWindowsのようなOSです。 どうもIT系の話題を書くと横文字用語の羅列になりがちで気がひけるのですが仕方ありません。 ここ1週間強 この日記を復活していますが それまで半年位日記を書かなかったのは色々理由があるのですが このPC環境が壊れて建て直しをしていたことも一因です。 PCのハードディスクがぶっ飛んでしまったのでそれまで使っていたWindows7が使えなくなってしまい、代わりをどうしようか...と色々試行錯誤してまして、ついにこのubuntuに辿りついたというわけです。 Windowsとはだいぶ使い勝手が違うのでだいぶ戸惑いましたが ようやくなれてきました。 普段つぶやきとして某マイナーSNSに毎日投稿してきたのですが、最近はubuntsの優秀なワープロで書いてローカルに保管するだけにしています。(公開なし) パーソナルな環境としてubuntuな体になって来た感もあります。 なおこの日記をはじめとするホームページ関連は従来どおりWindowsXP上で書いています。ubuntuの上でXPがゲストとして動くようにしました。 なかなか快適です。

 ゆくゆくはubuntu上でプログラム開発も出来るようにしたいと思っています。 違う世界に進出するのは それはそれで楽しいものです。 将来音のキャンバスソフトウェアがubuntu上で動くなんてことも出来るかもしれません。(出来ないかもしれません。)

2021.3.19  気がつけば旧暦如月 (旧2.7)

   このところ急に暖かい日が増えました。外に出てみれば陽の高いこと。空は春特有の色。庭の木々も芽を出し始めたものもあり、春本番はすぐそこ!といったところです。 寒い時期はどうしても滞りがちだった製作の作業も少しづつペースが上がってきました。 冬眠から醒めはじめた感じでしょうか。 うかうかしてますと すぐに暑い季節になってしまいますから 今のうちに作業も一生懸命やろうと思います。 こうして20年オルゴール製作の仕事をやってきました。 1年中まんべんなく一本調子で出来るわけではなく、季節や時節によりペースが違ってくるのは自然なことです。 近年 音への関心が1ランク高いものに変わってきたような気がします。 それに伴ってか私のオルゴール調律の“腕”も少しはアップグレードしたかもしれません。 今年からは音(周波数)のファンクション(機能)についても実装実験を進めていきたいと思っています。 素地はそろってきましたので、そろそろやれそうな機運です。

2021.3.18  音のキャンバスの印刷で背景画が出ないこと(続報) (旧2.6)

   この1週間ほどWindows10で音のキャンバスをお使いの方の間で問題になっていました 「急にカードの背景の画像が印刷できなくなった。」という問題ですが やはりMicroSoft社による直近のアップデートが問題だったようです。 同社は修正アップデートを出すことになると思いますので アップデートを待てる人はそれまで待った方がいいかもしれません。 カードに背景の絵を印刷するニーズのない人はそのままでいいと思います。 なんどもいいますが あくまでWidnwos10側の問題です。 音のキャンバス側では一切の修正等の対策はとりません。 多くのみなさまから情報をお寄せ頂きました。 未だにと申しましょうか、音のキャンバスをご活用くださっている方が多数いらっしゃることに改めて思いを馳せました。 ありがたいことです。

ps ここ1週間ほどこの日記への投稿を再開しましたが 同時にnoteというサイトに同じ記事をアップするようにしています。ずっと続けるかどうかはまだわかりません。 内容は同じですが将来は独特な記事を投稿するかもしれません。 https://note.com/tthath 

2021.3.17  VisualStudio2019 (旧2.5)

   このところIT関連の話題ばかりですみません。 一昨日あたりから表面化しているとおり、音のキャンバスソフトウェアがWindows10OS上での動作不具合に見舞われていまして、急遽色々調べ始めているところです。なにを?といいますと 音のキャンバスをなんとか最近のWindows10で安定した動作できるように改良したいというところです。 機能や使い勝手は現行のままでもいいので とにかく安定して動かせることが急務かなと思っています。 その代わり古いWindowsは切り捨てになると思います。 7以降位が動かせる限界かなと。 

 とはいえ 20年ぶりのアップデートです。 昨晩VisualStudio2019というソフトウェア開発のしくみをインストールしたばかりでして すべてはこれからです。 それに作業を集中してこなすことも出来ないと思いますので ここから永い時間かけて... いつ出来るのかはまったくわかりません。 でも少しづつでもやっていこうと(今は)思っています。 とりあえず現行の音のキャンバスのままでも動いてはいるので悠長に考えていますが。

2021.3.16  Unity (旧2.4)

   なぜかわかりませんが 昨日はソフトウェアの開発環境のことを調べてました。音のキャンバスはもう20年も前の開発ですから 昨今の環境とはかけ離れています。 最近のものを調べていましたら Unity(ユニティー)というのがあるようです。ゲーム開発の世界では主流になっているそうです。 他にもありそうです。 こういった優秀で万能?な開発環境がなんと無料でも使えるといいます。すごい時代になったのだなぁと 隔世の感があります。 なぜこのUnityに目がとまったか??といいますと この環境で開発したソフトは色々なプラットホーム Windowsを始め、マック、スマホなどで動くといいます。 スマホで音のキャンバスが動かせたら... 夢は広がる気もします。 進めるか進めないかはまだわかりませんが、音のキャンバスソフトウェアがWindowsPC上での動作に限界が来ている以上は何か考えなくてはなりません。 私自身がいつまでやれるかもわかりませんので、出来るだけ早期に次世代への橋渡しを進めていかねばならない とは思っています。 なかなか腰は重いですが。

2021.3.15  音のキャンバスがWindows10上動作でまた不具合? (旧2.3)

   まだ詳しいことはわかりませんが 最近のWindows10のアップデートを施したPCで 音のキャンバスの印刷に不具合が出ている情報がありました。 症状としては 「背景画像が印刷できない。」というものです。 10のアップデートが原因かどうかなどは 今のところわかりません。 もし同様な現象に見舞われた方がいらっしゃいましたら お手数ですが tthath@gmail.com までお知らせ頂ければありがたいです。 音のキャンバス側は伝統的で古い流儀の動作しかしませんので不具合が出る原因は十中八九10側にあると思います。 それにしても10のガサツなアップデートはなんとかしてもらいたいところです。 10側はXPやVista,7などのサポート打ち切りの流れで古いOSサービスの仕組みを10から切り離す作業をしているのでしょう。 いづれ将来は音のキャンバスもまともに動作しない時代が来てしまうかもしれません。

2021.3.14  どうもやる気が (旧2.2)

   だいぶ季節は巡り暖かくなってきた感があります。 寒い冬は冬眠中ということもあり、どうしても作業は滞り気味になります。 ようやく動き始める季節かな?なんて思ってはおります。が.... 実はあまり作業ははかどりません。というより停滞したままです。 結果の質を落とす訳にはいきませんので結果として時間が恐ろしくかかります。 自分でも「なんでこんなに腑抜け状態になってしまったの?」と自問したくなります。 オルゴール製作の仕事自体が陰りになってきてるのかな?なんて思ったりもしています。 オルゴール製作はやりたくもないのに無理してやるような仕事では無いと思っています。 その気になるまで待つ!それが自然なことです。 ですので出来上がった結果やお客様のご評価面では概ね満足していますが、時間がかかるのは気にかかります。 もうしばらくはあれこれ考えず、自然体でこなしていきたいと思っています。

2021.3.13  新しいPC環境 (旧2.1)

   昨日の記事でPCが壊れてしばらく作業できなかった旨お話しましたが、新しいPC環境が出来た!といっても古いPCをそのまま使っています。ただOSといわれるソフトはWindowsOSからUbuntu(ウブンツと読むそうです)というものに代わりました。慣れないこともあり、しばらく悪戦苦闘してまして 3回ほど再インストールする羽目になったりして ようやくうまく使えそうな感じになってきたところです。 以前のWindowsはハードディスク毎ぶっ飛んでしまいまして藻屑と消えました。 ただ仕事で使うソフトはWindows専用のものも多いのでUbuntuの中でWindowsを動かすという高度?な芸当まで駆使しての構築になりました。

 今後少し時間をとりながらホームページに溜まりにたまった不要なファイルを整理するようにしようと思っています。なかなかリニューアルの機会も少ないですから こういうチャンスに刷新!しようと思っています。 今後もしばらくは低速運転が続きそうですが 徐々にでもまたペースを取り戻すようにしていきます。 永い目でみてやって下さい。

2021.3.12  すいぶんとご無沙汰しておりました。 (旧1.29)

   気がつけば前回更新から半年が経過してしまいました。ずっと更新できなかったのはPCが壊れまして 新しい環境を作るのにのらりくらりと時間がかかっていたためです。それにしても半年とはずいぶんとサボったものです。 みなさんお元気でいらっしゃいましたでしょうか? 私の方はあれから色々ありました。 一番大きい変化はオルゴールムーブメントのメーカーさんであるサンキョーさんが昨年10月から価格大幅改訂をされたことでしょうか。壊滅的ともいえる大幅値上げでして、我々オルゴール屋としては このまま続けられるのだろうか?というほどの衝撃でした。 巷は新型コロナで大騒ぎが続いていますが こんな形で私のところの製作仕事にまで影響が及ぶとは思いもよらないことでした。 とはいえ、今のところはなんとか細々と続けてはいます。 今後なんらかの出来事があるかもしれません。 オルゴールは何といっても長く永く続けてこそのお仕事。そう簡単にはへこたれませんですが またいづれ報告したいと思っております。 まずは半年ぶりの日記ですので調子が戻るまではしばらく慣らし運転で行こうと思います。


2020.8.28  ダンパー剥がれ (旧7.10)

   33弁のαオルゴールもだいぶ出荷数が増えていまして 調整するメカ数も多くなってきています。 このところ問題になっているのは “ダンパー剥がれ” です。 メーカーさんから納入された状態ではダンパーといわれる音を制動するプラスチックの部品の接着が不完全で、ちょっとした力がかかるだけで簡単に剥がれてしまうものが散見されます。 UV(紫外線)硬化型の接着剤を使っているものと思われますが おそらくUVのあて方が足りないのでしょう。 ですのでこのところ全弁についてダンパーを一旦剥がして、貼り直すという作業が発生しています。 このダンパーは中途半端に接着されていますと半分剥がれたような宙ぶらりんの状態になりやすく、結果として音ののびを著しく損なうことになりますので 半端な作業はいけません。 33弁は弁数も多いですし、これが結構大変な作業になります。 私のところではUV硬化型の接着剤など使えませんので 一般的な耐衝撃性のあるプラスチック用接着剤を使います。 これが完全に硬化して安定するまでに結構時間がかかりますので 作業時間全体は長くなってしまっています。 なお私のところでは精密な調律を施す必要のある造り方をしていますので ダンパーが安定して取り付けられてからその後に調律作業を行っています。 ここにさらに音のキズ(接触音)の除去作業も加わりますので 結構複雑で長大な修理プロセスとなっています。

 話は20弁の方になりますが このところメーカーさんにおけるダンパーの貼り方が以前とは変わっていることに気づきます。 以前は現在の33弁と同じUV硬化型接着剤で貼っていたと思いますが、現在は違う接着剤を使っているようです。 よく見ると台湾製の貼り方と似ています。 それで(以前に言いましたが)くし歯の加工工区を台湾かどこかに移したのではないか?と疑念を持っていたわけです。 まぁどこで作ってくれても“ちゃんと”出来ていてくれれば問題はないのですが。 現在では33弁(おそらく国内作業)よりも20弁の方がダンパーの貼りは安定しているようです。  但し、以前にはなかったくし歯表面のキズはあるは、防錆処理面がハゲていたり、なにかと質が“粗く”なっているのが気になる点でもあります。 以前メーカーさんはもっと丁寧な作業をしていたと思います。

 私のところではこういった不具合未満 だけどこれって不具合だよな というような点を全て完璧に修理、修正しています。 ですのでお客様にご迷惑をおかけするようなことはないと思います。 今後さらなる“荒れ”が生じなければ... ですが。

2020.8.26  全品修理 (旧7.8)

   ずっと話題にしています20弁オルガニートメカの不具合ですが この数ヶ月ずっと全品修理を続けてきまして 最近では手馴れたものになってきています。 とはいっても時間は以前に比べて大幅に要します。 ですのでオルガニートとしての完成品の出来る数は少ないままずっと推移することでしょう。 元々が沢山作れる体制や技術があるわけではありませんので まぁ マイペースでやれている感じでしょう。

  それにしてもオルゴールをやっていると必然的に修理が上手くなるようです。 なにせ全てのオルゴールを修理して出荷するわけですから。 おかげで隅々まで手が入り、気持ちが込められるようになったのかもしれません。 ただ 修理というのは100%完全に出来て原点です。 つまり完璧なシゴトをして初めて“当たり前”の世界です。 その労力たるや大変なものですが お客様にとっては“それで当たり前” のプラマイゼロなのです。 というより修理していること自体をお客様に意識させてはいけない世界ですね。 最初からメーカーさんがきちっと作り込んでいてくれれば本来は要らない作業。 やりきれない思いは常にあります。 ともあれ これからもなんとか続けていけそうな気がしてきました。 暑い夏は続きますが。

2020.8.23  重苦しい季節 (旧7.5)

   先日来 20弁オルガニートメカのトラブルと向き合って対処方法を模索してきました。 なんとか“普通のレベル”に修正することは出来るようになりましたので 現時点ではお客様にご迷惑をおかけすることはないと思います。 また作業時間もそれなりに短縮できるようになっては来ました。 と それはそれでいいのですが “なんでこうなってしまうの??” という思いが改めて強く湧いてきます。 ほんの2ヶ月前位まではなんら問題なかったメカに 急速に、しかも全数におかしな現象が... どう常識的に見てもおかしいです。 もしかしてメーカー製造におけるコアな部品を海外製に切替えた?のでしょうか? 外注工区を変えたのでしょうか? それともなんらかの製造機械類の劣化や磨耗などが原因なのでしょうか? メカを常に見続けている私としてはその全ての兆候はあらゆる部分に見られるように感じています。 

  修正できているのでいいといえばそうなのですが 何か割り切れないものを感じながらの毎日になっています。 折りしも今年は20弁の注文も多い年でして、かつてない程の数を作っています。 でもこの1週間程は作業を休ませて頂きまして 深く考察してみるようにつとめています。 考えたくはないですが このまま長期的にオルガニートが沈没してしまうのではないか?なんて頭をよぎります。  つまりある時点で全く使い物にならないオルゴールに成り果ててしまうのでは?? 長年このメカを見続けてきて、最もシビアな設計がなされている駆動・発音部に発生しているトラブルです。 ひとつひとつの部品に生じたであろう極微細な“変化”が思いもよらないトラブルにつながりやすい箇所です。 その影響は計り知れません。 いわばオルガニートメカの心臓部直撃です。 まだ現時点では明確に“不良品”となってしまう程顕在化はしていませんが このままいけばおそらく時間の問題でしょう。 そんなことのならないようにメーカーさんへの働きかけも含めて行動はしていきますが。 残暑厳しい8月は一層重苦しい季節になってしまいました。 もうすぐ次のメカが入荷しますので 念入りに見ていきたいと思います。

  なお今のところ33弁メカには目立った“荒れ”は生じていませんが 前述の通りコアな部品におきている(と思われる)トラブルですから 20弁メカと部品を共有している処の多い33弁メカについてもその品質動向が危惧されます。 くれぐれもお客様へのご迷惑に波及してしまわないように細心の注意で努めます。 重苦しいです。

2020.8.15  20弁 音の荒れ 続き (旧6.26)

   先日報告した20弁オルガニートメカの音の荒れのことですが ようやく解決のめどが立ちました。 荒れとはどんな現象なのかといいますと いわゆる“接触音”などと云われている現象のようでして(用語が正確かどうかはわかりません) 弁が弾かれて音がでる瞬間に“ちっ”という音がする現象です。 ほんの僅かな音ですのでメカ単体で聴いてみても殆どわかりませんが 響箱に入れて増幅された状態では非常に耳障りないやな音です。

 これまでこの音の原因がどこにあるのか 私は誤解していたようです。 結論からいいますと爪車がくし歯の先端を弾いた直後に 爪が一瞬逆回りしてくし歯の上側から一瞬接触するようです。 ようですという言い方をしますのは まだ確実に尻尾を捕まえたわけではないので 一種の推測の状態だからです。 当然くし歯の上端にはダンパー機構などありませんから爪車と接触した瞬間に“ちっ”という音が出るわけです。 常識的には爪車は一定方向にしか回らないはずなのですが 一瞬逆回りすることがあるようで、その影響で弾かれたくし歯が一回振動して戻ってきた際に再度爪車に接触する といった現象のようです。 私はこれまでこの現象はダンパーか弾くための接触面の荒れ(凸凹)が原因だとばかり思っていました。 まさかつめが逆回転気味にくし歯に(再)接触する現象であるとは思ってもいなかったです。 

 爪車が一瞬逆戻りしてくし歯の先端に再接触するわけですから 逆戻りを防いでやるか、又はくし歯の先端を少し削り込んでやって 再接触しにくいようにしてやれば解決するわけです。 今回は後者の方法を採用して成果をあげました。 

 私は爪車が一瞬たりとも逆方向に回るなんて現象はあり得ないと思っていまして、その思い込みが解決を長引かせました。 やはり思い込みは厳禁ということです。 では なぜ爪車が逆方向に回転することがあるのでしょうか? このメカニズムはまたおって説明します。

 まだ検証途上なので 間違った情報である可能性もあります。 とりあえずの速報ということで書きました。 とにもかくにも 問題は一応の解決を見たわけです。 いやーこの2ヶ月は長かったです。 いっときは20弁のオルガニートを扱うのを(一時的に)中止すべきとまで思っていました。 とりあえずはほっとしています。  とはいえこの問題の修正にはかなり長時間の作業が必要でして 1ヶ月あたりに製作できる数(つまり生産能力)は激減してしまいました。 とはいえ現在生産される20弁メカはほぼ全数がこの接触音があるというありさまです。 異音のするオルゴールのまま出荷してしまうことは とてもとても出来ませんので 当面はこの解決策を続けていきます。

2020.8.4  20弁 音の荒れ (旧6.15)

   梅雨がようやく明けたようで 晴れの日が多くなっています。 滞っていた作業も進み始めましたが 暑いです。 ところで 最近20弁メカが荒れているようでして 困っています。 音に微妙な傷が多く見受けられるようになりまして、修正にかなりの時間がかかっています。 しかも時間の経過と共に この傾向は悪化しているように思えますので事態は厄介です。 他にもいくつかの問題が明らかになってきており、メーカにおける製造品質になんらかの変化が生じている可能性はあります。 今のところ修正可能な範囲ですので事なきを得てはいます。(製作時間は恐ろしく長くかかるようになりましたが...) ですが 今後の推移によっては20弁純正律オルガニートの製造を休まざるを得なくなる事態もあり得ないことではない気がします。 現時点では大丈夫ですが また報告します。

2020.7.25  湿度 (旧6.5)

   なかなか更新ができなくていけません。 製作はフル稼働の状態が続いています。 なんとかこなしてはいますが結構きつい状況になってきてはいます。 ここにきてメカの質が荒れてきていまして、負荷が一層増大する事態になってまして てんやわんやです。 そんな日々ですが実のところ一番の問題は湿度! 今年の梅雨は超がつくほどの活性で、一日晴れた日などなかったのではないかな??と思えるほど雨雨雨の日々。 当然ながら湿度もものすごいことになっています。 オルガニート製作で湿度が問題になるは紙カードです。 湿気を帯びた紙は寸法も狂いやすいですし、第一演奏中にカードにへこみ穴があいてしまうことが多発しがちですので困ります。 湿気に強い紙を使えればいいのですが いろいろな意味で難しいようでして、 結局はお天気頼みという情けないわけです。 エアコンをかけたくらいでは紙の微妙な湿気はとれません。 やはりお日様の威力には何事もかなわないというのが実感です。 今後もこの多湿状態が続くようなら一時的に休業も考えないといけないかもしれません。

2020.6.25  最初の演奏でつまづく (旧5.5)

   33弁αオルゴールをお買い求めのお客様が最初に直面されるのは “スムーズに演奏できるかどうか?” です。 本来はただスムーズに演奏開始されて楽しめないといけないのですが 実際はかなり苦労されることが多いようにお見受けします。 いったん演奏できてしまうとあとはスムーズなのですが 最初の一歩 が大変といったところです。 

 一番の間違いは “カードを挿入しながらハンドルを手回ししてしまう” ことのようです。 これをやってしまうと爪車の爪が動いてしまいますので カードの先端エッジで“ジャーん”と盛大に鳴ってしまいますし、 全ての弁を一度に弾く羽目になりますので その抵抗はすさまじく大きく、いくら手回ししてもカードが送れない(入っていかない) というトラブルとなって表れます。 この段階でお手上げになってしまうようです。

 この最初の一歩をなんとかスムーズに指南して差し上げないといけないと思いまして、 “カード挿入練習キット:はじめの一歩” と題して製作することにしました。 内容は簡単なものでして @カードをどこまで挿入すべきか わかるように練習用カードに線を引く。そしてこの線まで挿入してから初めてハンドルを回すこと。を明記する。  A挿入しながら手回しをやってしまったときに スムーズに爪の再整列ができるように先端を山状に切った“緊急用カード”を添付する。 この2つです。 

 これまでは個別に対応していましたが 考えてみれば最初の一歩でつまづく ということは興ざめもいいところです。 どうサポートするか!という基本にたち帰っていきたいと思います。

2020.6.8  なんで? (旧閏4.17)

   先日の記事でキャパオーバー気味というお話をしましたが 実を言いますとこのところ 「なんで?」 と不思議に思うほど注文を多く頂けるようになりました。 いくら作ってもこなしきれない状況です。 元々が小量しか作れないキャパですので数は知れていますが これまでこんなことがあっただろうか??と思っています。 ありがたいことではあります。 ただ一定数こ超える注文を頂いてしまうと どうしても質の低下をまねく懸念が生じますので 納期調整、又は受注調整をする必要があるかもしれません。 質を落とすことは絶対にできませんから。

 これまでも一時的に注文が増えることはあるにはあったのですが ここまで持続的に多くなるというのは完全に計算外の出来事で 何があったのか 知りたいところです。 特に33弁は元々がメーカーによる生産キャパが極端に小さいこともあり、殆ど手持ち在庫がない状態が続いています。 メーカーの営業さんや工場の方にも多大なご負担をおかけしながら対応していただいているところです。 20弁もこれまでそれほど売れる商品としては認識していなかったのですが このところ風向きが大きく変わってきたように思います。 私のところだけの傾向なのか オルゴール/オルガニート全般的な傾向なのかわかりませんが ありがたいことです。 神様が後押ししてくださっているとしか思えないです。 今年の夏は暑いあついといってサボっていられないでしょうか。

2020.6.3  砥石が割れる (旧閏4.10)

   いつも調律の使っている回転砥石ですが 不用意に扱ったため落としてしまい、割れてしまいました。 もういつから使い始めたのか思い出せないほど使い続けてきた砥石ですので ちょっと寂しい気がします。 今日は工具屋さんまで買いに行ってきます。 “そろそろリニューアルせい”というお達しなのかもしれません。 このところ調律の精度をさらに高めるように活動していまして、数年前、十数年前の状態が太古の昔のことに思えるほど“進歩?”した感があります。 砥石もそれに応じてリニューアル。 そうかなとも思えます。 これも宇宙律を手がけ始めた効果かもしれません。

 このところ注文が多くて少々キャパオーバー気味で推移しています。 季節柄、例年製作の多い時期ではあるのですが今年は特別な感があります。 はやりこれも宇宙律のおかげかもしれないと思ったりしています。 宇宙律の33弁αオルゴール自体がたくさん作れているわけではないのですが 相対的に調律精度や響箱の製作精度が上がったことが大きいかもしれません。 ともあれ昨今の厳しいといわれるご時世なのに こちらの作業は大変充実している状況です。 ありがたいことです。

2020.5.25  新しいジグ (旧閏4.3)

   主力で作っているセンの木の響箱ですが 組立てる際に使っているジグ(型)を新しくしました。ちょっと使い勝手と出来栄えに不満があったため改善したことになります。 いろいろ思案しましたが結局はシンプルな形に。 考えるより手を使った方がいいのですね。 写真はまたいづれ載せたいと思います。 今年は新型コロナの影響もあり経済状況は最悪との報道が多勢を占めているようですが 実は私のところは逆でして 繁忙を極めています。 繁忙といっても元々が微々たるものですので知れてますが、 丁寧に最高品質に作り上げるために手番は長くなってきていますので ちょっと注文量が増えるだけでパンク気味になります。 これはこれでありがたいことです。 ともあれ元気にやれています。

2020.5.19  プログラミング作業 (旧4.27)

   一昨日再開しましたこのコーナー。 このところずっとやってますPCのプログラミング作業です。ずっとコンピュータの前に座りっぱなしですので 記事も書いてみようという気にもなっているという次第です。 プログラムの方は日に日に少しづづですが 形になっていくのが楽しいものでして、結構没頭しています。 そういえば音のキャンバスを開発した20年前もこんな日々だったと記憶が蘇ります。 当時と比べて“論理思考”力が低下したかな?と思うときが多々あります。 歳のせいかもしれません。 しかし納期に追われてのカリカリした作業ではありませんし、自分のペースで進めていけばいいので気楽なものです。

 話はかわりますが そろそろ新しいPCを調達しないといけない時期は迫っているように思います。 気づけばこのページを書いているパソコンはWindows7でして既にサポートは終了してしまってますし、それどころか7の中でWindowsXPを入れてそこで使っているという なんとも古めかしい環境でずっと使っています。 パソコン自体も周辺部から少しづつ壊れてきてまして、本体に及ぶのがいつなのか?という大変心もとない状態ではあります。 ただ、もうすぐ時代が変わるような予感もありまして、このWindowsのシステムももっと正常な姿に戻るのではないかという気もしています。 もう少し待とうか... いろいろ思案はしています。

2020.5.17  気がつけばもう初夏 (旧4.25)

   みなさんおはようございます。 ようやく冬眠から目覚めた!と思ったら既に初夏になっていました。 長いお休みを頂きました。 お休みといっても寝てたわけではなく ちゃんとおシゴトはしていました。 ぼちぼちとまたこのコーナーも書いていきたいと思っています。 当面は調子が出ないかもしれません。

 ところで今、何をやってるのか?といいますと... オルゴールのくし歯を調律するのに必要な測定器を作っています。 以前にも書いたことがあったかなと思いますが 調律の精度を1段高くするのにどうしてもオリジナルな測定手段を作らないと ということでようやく重い腰があがりかけたところです。 またヘタりこむかもしれませんが。 ずいぶん久々にC言語に接しています。 ご時世なので最近流行りのプログラム言語で... なんて思ったのですが覚える気力が出ないので 結局使いなれた言語で開発することにしています。 また完成したら紹介させて頂こうと思います。 パソコンを使います。 専用の装置は使わずにパソコンソフトでなんとかしようとしています。 例の宇宙律の調律が本格化しそうなので精度を高めておかないといけないニーズとなっています。 今年は宇宙律開花の年!になるかもしれません。

2020.2.6  冬眠 (旧1.13)

   例年 冬は農閑期でもありまして冬眠するのが恒例となっています。 この冬は暖冬だったこともあってか ここまでのらりくらりと起きて?ましたが やはり冬眠しますので 暖かくなるまで日記はお休みしたいと思います。 思えば よくも毎日記事を更新してこれたものだと 自分でも感心しています。 さすがにネタも尽きましたといったところでしょうか。 再開はひっそりと慎ましやかにすることになると思います。

 なお 冬眠中とはいえ 製作や修理は続けていますので ご用命は謹んでお請けいたします。 こちらは通常運転とさせて頂きます。 

2020.2.5  副産物 (旧1.12)

   この数年来は音のことを色々と研究する活動を続けていまして その“測定器”として自分の心身を使うというのが定着してきています。 正直言ってまだまだ初心者にも達しない領域だとは認識してはいますが それでも“それなり”には鍛えられてきたかな?という感じはしています。 昨年限定リリースしました33弁における“宇宙律”もその一環だったわけです。 

 こうして心身を整えることを通じて得られた副産物があることに気づきます。 それは“健康”です。 単に病気しない状態という意味の狭い意味での健康というよりは 心や身体が本来の姿に戻っていくような感覚といいましょうか? 病気は身体の乱れの最終的な表れであり、その前、その前、その前といった元があることにも気づきました。 正直 そういった方面をきちっとケアして整えておかないと音のことは解らない というのが実感でした。 偉そうに言えるほどまだ“きちっと”はしていませんが、始めた当時よりはかなりマシになってきたようには感じています。 おぼろげながらですが 音と心身の健康との関係もわかってきたような気もします。 まだ妄想域の話にすぎませんが 今後はっきりしてくるでしょう。 まだイメージは湧きませんがオルゴール とりわけ20弁と33弁をここまでやってきた理由も多少は見えてきたような まだまだなような... また少しづつお話したいと思います。 

2020.2.4  立春 (旧1.11)

   今日は立春。 近所の梅の花もちらほら咲きはじめました。 まだ週の後半は寒くなるという予報ですが 確実に春の足音は来ています。 今年は超がつく程の暖冬のようで 平均気温が平年よりも3℃も高かったそうです。 冬にしては雨の多い傾向でしたが 幸いなことに雪は降っていません。 2月はどうなるかはわかりませんが あまり乾燥+寒い状態よりはいいかなと思っています。 

 お隣の国ではなんとかウィルスが流行しているようです。 わが国でも今後どうなるかわかりませんので 現在ご依頼されているオーダーや修理案件は早めはやめにこなしておこうと思っています。 そんなわけで今日は作業がたてこんでいますので これにて失礼します。

2020.2.3  紙カード送りのノイズ (旧1.10)

  昨日書きました手回し“味”の電動の話はいかがでしたでしょう。 結構苦労して “編み出した” 方法の究極が輪ゴムというコメディー的な話でした。 カード式オルゴールの音を録音等するときに手回しのノイズと共に かなり問題になるのが 紙カードが擦れる音です。 まるまったカードのエッジがどこかにあたって カタンという音もあります。 録音してみると結構気になるノイズだと思います。 8年以上前に私たちがやった当時は カードの長さが5メートル位のものを中心に録音しましたので この紙カードをどう処理するかがかなり問題になりました。  カードを自動で巻き取るアダプターとか色々試作してみましたが どれも決定打になるほどのノイズ低減はできませんで 結局どうしたか? といいますと... 長いカードの両端を2人の助手が手でもって支える... という最も基本的で原始的な方法に行き着いたというわけでした。 ヘタな策を弄するよりも 一番単純な方法が最も優れている!という典型的な体験だったのを覚えています。 ただ 独りで手回しから録音までやろうという場合はそうはいきません。 さて どうするか... ここは楽しい課題だと思いますのでみなさんで考えてみてください。 紙が擦れる音は録音の立場から見ると結構邪魔なノイズでしたし、 長いカードになりますとカードが擦れるということはそれだけ手回しによるカード送り機構側からみますと抵抗になっている訳ですので 演奏のリズム音痴にもつながり易いことがあります。

2020.2.2  手回し味の電動は輪ゴム (旧1.9)

  昨日のお手伝いの余韻がまだ残っている今日2日です。 昨日は最近開通した新線の電車を使いました。 相鉄線とJR線が相互乗り入れする路線で我が家から駅はそう遠くないですので 歩いて駅まで行きました。 帰りは深夜になりましたが 実は横浜ではありますが実に寂しいところで 何か出そうな位な道のりです。 昼間ならいいのですが夜は一人では男性でも怖さを感じならがらの歩きでした。 そう遠くないとはいっても歩きですと40分位はかかりますので なかなか旅気分満喫でした。

 ところでタイトルの手回し“味”の電動 といいますのは かれこれ8年以上も前のことですが 33弁で手回しオルゴールのCDアルバム製作に参加したことがありまして そのときの方式を思い出した内容です。 電動と手回しは相容れない感覚があります。 電動駆動のオルゴールはやはりとことなく無機質的な感覚があり、手回し独特のファジーさがないのが通例です。 しかも “手回し”とアルバムタイトルに謳っていることもあり 「電動じゃまずいだろう...」 ということで思案を必要としました。 しかし CD向けなどに録音しようと思うと手回しは実に扱いにくい面があります。 一つはガチャガチャ音、もう一つは速いテンポ(速い手回し)に対応が難しい面です。 ガチャガチャ音は手回しハンドルを回す際におきるノイズですので相当に上手な方でも録音レベルで静かに回せる人は少ないでしょう。 速い手回し時には騒音レベルが大きくなる傾向があります。 オルガニートは連打が苦手なので 歯抜けがないように曲を自然に演奏しようとするとどうしても手回しが速くなる傾向があります。

 そこで考えたのが電動を “手回し味” に仕上げることです。 電動でしたらうまく設計するとかなり速い駆動も無音に近い形で実現できます。 課題は電気モータのうなり音対策と 電動特有の無機質感の解消です。 当時解決した方法としまして 前者はACファンモーターというのを使うことでほぼ無音の駆動を実現しました。 微妙なテンポ調整はACインバーターを使うという方法でした。 ACファンモーターは非常に簡単な機構のモーターでして負荷トルクさえ軽ければかなりの静音が実現できます。 後者は駆動系プーリーの中間に “輪ゴム” を使うことで解決しました。 駆動(回し)が輪ゴムの なんとも頼りない感じののび縮みが幸いして微妙に “ゆらぐ” 効果を利用しました。 これがてき面でして 電気駆動であるにも関わらずいわゆる “あたたかい” 印象の演奏ができました。 今思ってもかなり秀逸なアイディアだったなぁと思っています。 面白いのは演奏中に輪ゴムのテンションを微妙に調整するため ACファンモーターは手で持って使ったということです。 どこかに固定したりしないで使いました。 このなんともいえないアットホームといいましょうか 原始的なやり方が今でも一番だったと思っています。 CDタイトルの “手回しオルゴール” 正確には看板に偽りあり!で 本当は “手回し風オルゴール” とか “手回しを超えた手回し的オルゴール” などとすべきだったかもしれません。

2020.2.1  目の不自由な方とのワークショップ (旧1.8)

  今日は日記が深夜になってしまいました。 といいますのは 昼間ずっと川崎市内にて 目に不自由のある方向けのオルガニート体験ワークショップがありまして 手伝いに行ってました。 川崎は久々でした。 かなりの盛況でして充実した会になりました。 手探りでカードに穴をあけることが出来るようなジグを作ってくれていまして 助力は必要ですがみなさん自力でカードの穴あけを完成されて 演奏を楽しんで下さいました。 目が不自由といってもその期間や程度などは様々でして 事情がみなさん異なるわけですが それぞれの知恵を出し合っての作業はすばらしいものを感じました。 今日は短信ですが 失礼します。

2020.1.31  歌の伴奏をスムーズにする方式(案) (旧1.7)

  オルガニートを歌の伴奏に使われる方が本当に多くなりました。 これからは33弁でこういった方面のソフトを準備していく必要を感じます。 一般に伴奏用となりますと 複数コーラスをつなげる形になりますので カードは長くなります。 また手回しが曲のリズムに極力マッチするようにカード長(小節長)を設定する必要もあります。 場合によっては手回しとカード送りの減速比を変えたモデルも必要となるケースもあります。 これはこれでなかなか奥の深い分野になります。

 いつも思っているのですが 電動式にしてその速度を手回し、ないしはレバーか あるいはビートを示す手サインかなにかで調節できるようにした方法もありかな と思います。 手回しオルガンではROM式といって 手回しハンドルの回し速度によって電気的に曲を送り出すテンポを決める方式があるようですが、 オルガニートのカード媒体を送る電動速度を手回し信号などでで電気的に調節するという発想はどうでしょう。 これなら手回しと送りの比率を自由に決定できます。 機械的ギヤ比では実現しにくい比率でも可能かもしれません。 ロジックをうまくつくれば 手回し演奏の最大の泣き所である “他の演奏者とずれてしまった場合の修正” ももしかしたら可能になるかもしれません。 あまり複雑な機構になっては本末転倒ですが 簡単な仕組みでできればいいなと思ったりします。

2020.1.30  CAD (旧1.6)

  CADとは設計図面を描くソフトのことで 私は JW-CAD というフリーのソフトを使っています。 主に建築用に使われているそうですが 機械図面にも充分使えます。 なんども何度も書き換えをしてはアイディアを形にしていく... このプロセスが実は一番楽しいときだと思います。 もちろん製作の場面や完成後の使用場面も素敵なのですが やはりなんといっても発想を湧かしているときこそが至福のときなのです。

 私は縄文時代の気質をそのまま現代に持ち込んだような性質があるようです。 そのせいかどうか知りませんが発想が宇宙的といいましょうか?? ぶっ飛んだところがあるようです。 うまく作用すると革命的なアイディアになるでしょうが、 通常は空想がみごとに空中分解することになります。 文字通り空想で終わるわけです。 そんなこともあり、現実化までに恐ろしく時間のかかる性質であることは間違いありません。 “万事がマイペース” という風に書く場合、それは “いつできるか全くわからない 全ては五里夢中” という意味と同義語です。 ですのでアイディアは出来るだけこういった日記に書くようにして どなたか実現が得意な方にお願いしたいというのが本音です。 間違っても現代の苛烈な競争原理に真っ向から向き合うことなどできません。

2020.1.29  Style-M (旧1.5)

  ずいぶん以前に作ったことのある 33弁αオルゴールの Style-M 写真(2013年製作・撮影)のようなものですが リニューアルして再度作ることになりそうです。 今年のうちには製作します。(たぶん) 縦型でひざに抱いて演奏するタイプのオルゴールでして 独特の演奏スタイルがなかなか受けた歴史があります。 テーブルなどに乗せて使うフラットベッド型ともいえる Style-L とはだいぶ趣きが違います。  特徴は “直角の部分が全然ない” ことです。 木工屋にとっては至難の工作になります。 また微妙な丸みを帯びた女性的なスタイルです。 麗しき女性がひざに抱いて弾き語り! といったシーンをイメージして設計しました。 一部の材料は既にずいぶん前から用意してはあるのですが製作のきっかけがなくて ずっと放置状態でした。 ぼちぼちと製作に入ろうかなぁ といったところです。 万事のらりくらりのマイペースです。

2020.1.28  身体の微小振動 (旧1.4)

  タイトルをみると 身体が小刻みに震えているようなイメージですが いいたいことは違いまして 身体の部分々々 つまり細胞のひとつひとつが醸し出している振動(音)のことです。 昨日の記事で自分の心臓の鼓動が家を微小に振動させていることを書きました。 心臓の鼓動は人の醸し出す振動の中では最高に大きい方だと思います。 実際にはまだまだ桁違いに小さい振動があるはずです。 まだ検知されるには至っていないかもしれませんが あるにはあると思います。 昨日も少し触れましたが 実はこの“微小”という概念が重要なのだと最近思うようになりました。 強烈な振動 例えば車や航空機の騒音や電気モーターのある家電品などが出す振動などですが これは身体にとってはノイズ以外の何者でもないように思います。 楽器や音楽プレイヤーなどが出す音はどうでしょう。 やはり強烈な部類に入るのかなと思います。 もちろんオルゴールの音も例外ではありません。 対して “微小” な方はといいますと大抵は見過ごされているのが現実です。 だからといって “とるに足らない” わけではないと思います。 予感めいた話ですが この微小な振動(音)の方が重要な役割を果たしているようにすら思えるわけです。 耳という身体の器官はどちらかというと 強烈な方を検知する方ですが 身体の感覚といいましょうか “観” と表現するような身体の感覚においては 微小な方を検知しているように思えるわけです。 

 私は常々 オルゴールは “余韻の妙” である! と思ってきました。 余韻が深く、味わい深いものが最高であると思ってきました。 この余韻の部分というのは実はものすごく微小な振動エネルギーのものも含まれていると思います。 人は強烈な方を聴いているように見えて 実は身体の深いところでは微小な方 つまり余韻の方に感じ入っているのだと思っています。 余韻の美しいオルゴールこそが真骨頂!と思って止みません。 もちろんどちらか一方だけが重要なのではなく 両方に固有の役割があると思っています。 今後の研究の課題であります。 以前に“元素、五元”という話をしました。 たしか “まんだら” の話の中でした。 あのあたりの感覚がカギになるかなと思っています。 音や光(色)はこの元素に非常に近い性質を持っているように思います。 私は音を扱っているように思っていますが 本当は元素を扱っているのかもしれません。 哲学的になってきました。

2020.1.27  光の漣 (旧1.3)

  写真は居室の押入れの扉です。 真ん中付近に光っているところがあると思います。 静止画では表現しようがありませんが 陽の光がペットボトルの水に反射して映っているところです。 水の漣(さざなみ)につれてキラキラとゆらいでいます。 周囲に動くものがありませんから水は静止しているはず!と思いきや... 実に様々な動きをみせてくれます。 陽の光がそれを忠実に壁に映してくれているという具合です。

 午後の陽だまりの中でこれを眺めているのが結構好きでして、ずっと見ています。 太陽が日周運動するに従って光の波も動いていきます。  すると... 意外なことに気づいたのです。 「自分の心臓の鼓動が映っている!」 確かに心臓の鼓動のリズムでかすかな光の漣が起きています。 つまり 人の心臓の鼓動のエネルギーが微小とはいえ家をも振動させているのです。 直接水やPETに触れていませんから心臓が家を振動させていることになります。 ここに気づいたとき、人に固有の振動(音)があることに思いが及んだというわけです。 大きな振動にはすぐに気づきますが こうした微小な振動はなかなか明確な意識が及ぶことはありません。 しかし確実にそれは影響を及ぼしあっているのだと思います。 光の波を眺めるちょっとした時間も なかなかの趣があります。 測定技術が進歩すれば 細胞のひとつひとつが発している振動(音?)も検知できるようになるかもしれません。 そこには思いもよらぬ深遠な世界が広がっている... かもしれません。

2020.1.26  移調 (旧1.2)

  移調とは例えばハ長調の曲をト長調にといった具合に 音のセットをそっくりそのまま高さを変えることです。 演奏する楽器や声域の制限もありますから 一般的には部分的に上げ下げをしてその調性にしっくりくるように編集することも含むと思います。 普段から感じていることですが この調性の違いは単なる “平行移動” ではないと思います。 音は絶対的な周波数(音の高さ)により固有の性質を持っているのは明らかです。 音楽はその固有の性質を組合わせて特定の印象や感じ方を醸し出すものでしょうから どの性質の音を選ぶか... という問題は非常に大きいのではないでしょうか。 平均律のようにどの高さの音のセットも印象が似たり寄ったりになるやり方ですと あまり感じることはないのですが 不均等音律 つまり中全音律や宇宙律などを手がけていますと この調性の選び方で印象がガラっと変わってくるのを強く感じる傾向があります。

 なぜ音が周波数によって固有の性質をもつのか? おそらくそれは 身体自体が固有の周波数の音を内包しているからだと思います。 つまり身体にとって受け入れ易い音と 拒絶しがちな音というのが歴然とあるのです。 受け入れ易い音とは一般に(固有の周波数に)調和する音でしょうし、 身体が拒絶しがちな音というのは不協和な音となりましょうか。 この“感覚”は現在のノイズリッチな生活環境下では 紛れてしまって退化しがちなことかもしれません。 人が自然環境につつまれることを好むのは 案外こういった負の環境から逃れたいという欲求の表れかもしれません。 これは音もそうですし、光も そして電磁波といわれる波全般にいえることだと思います。 身体の固有の周波数との調和なのかもしれません。 実際にはそんなに単純なことではないかもしれませんが 原理的にはこんなところかなと思う次第です。 人それぞれの固有の周波数の音を選び出し、その音に調和(相生:互いに生かしあう作用)する音を聴かせてあげれば 一種の治療とか癒しとかいう効果につながるように思います。 “ゆるむ音”とはそういうものかと思えます。 少なくとも心身を整える道具として音が使えるとは思っています。 逆に言えば 現在の雑多で無機質的なノイズ環境では心身は乱されっぱなしなのかな?という感覚はあります。

2020.1.25  Exh-C (旧1.1)

  タイトルのExh-Cは33弁αオルゴールに採用している宇宙律における C調バージョンのコードネームです。 Exh-Aが A調ベースであるのに大して C調ベースに替えたものです。 不均等音律の一種である宇宙律にとっては両者は個々の音の高さが微妙(でもないのですが)に異なります。 従って身体や心への感じ方は大きく異なります。 まだ-Cの評価は出来ていませんが ちらっと感じてみたところでは “ゆるむ” “(身体と)同調する” 感覚は弱めです。 その代わり なんと言いましょうか 表現に困るのですが... これまで聴いた経験のない異次元の世界を感じます。 ちょうど20弁純正律における Sp..(A=444Hz) 仕様が “些細な身の周りのことがどうでもいいと思えてしまうかのような音” と表現したことがあると思いますが あれに近い感覚です。 非常に透明感が高い音と表現してもいいかもしれません。 -Aがサファイヤ的であるならば -Cは水晶のような感覚でしょうか?(この表現はいい加減ですが)。 全体に音が(-A仕様に比べて)高めなのが関係しているかもしれません。 元々がイ長調とハ長調は平均律で聴いても感じ方はかなり異なるのはご存知だと思いますが それに輪をかけて違いが鮮明だったのは収穫の一つでした。 いづれにせよ既成の音律ではまず味わうことのない摩訶不思議な世界が眼前に展開しました。 あまりにも(既成音律の鳴り方と比べて)異質なので最初に聴いたときはアタマもカラダも混乱しました。 是非を含めて、まだ事例研究が全然足りないですので 今後の活動に委ねられることになります。 私の予想なのですが こうして“主調”を変えることで 人それぞれの身体や心にマッチしたオルゴールに製作できるのではないか?という風に思っています。 あるいは使うシーンによって替えるというような使い方です。 面白い課題だと思いませんか??

 今日は旧暦の元旦です。 まだまだ寒さの鋭さは健在ですが 確実に春パターンの空気感の流れは来ているのを感じます。 身体の感覚とマッチしています。

2020.1.24  長いカードをパンチ (旧12.30)

  数メートルに及ぶ長大な演奏カードをパンチするのに困るのは 長い紙をどうローディングするか?という課題です。 長い紙は案外重いですから へたをするとマシンのカード送り力が負けてしまうことがあります。 その場合はパンチ結果にリズム音痴(寸詰まり)が起きることになります。 これはダメですのでスムーズに送る工夫をするわけです。 写真はエモンかけにカードを巻きつけてホールドしている図です。 本当はちゃんとした巻取り(巻きほどき)ローラーを製作するべきなのでしょうが 長尺カードはそれほどニーズが多くないので 簡易的にこんな感じでやっています。 うまく解けないときがあると寸詰まりがおきてしまいますので 常にカードに“たるみ”をもたせるように手で調整するという按配です。 手間はかかりますが失敗はまずありません。 将来はもう少し気の効いたやり方を考えるようにします。 今日は出かけますので短信で失礼します。

2020.1.23  ヘ調とト調 (旧12.29)

  最近では20弁メカの特殊調律は殆どやらなくなりましたが 今でも ヘ長調タイプとト長調タイプへの調律替えを施したメカを作ることはたまにですが あります。 前者はシの音を半音下げたもの 後者はファの音を半音上げたものです。 ご希望によっては純正律に仕上げることもあります。 歌の伴奏などに使う場合 ハ長調は使いにくいことが多いので こういったニーズは少々ながらあるということです。 特殊調律はくし歯の音の上げ下げが最低でも半音(100セント)単位になりますので 調律作業としては難易度が高いものです。 音高はうまくあっても 音質が変わってしまうことが多々あるためです。 最近では33弁が広く普及していますので 20弁で特殊調律を必要とするニーズはうんと少なくなっていますので 私自身もやり方を忘れ気味です。

 とはいえ いわゆる西洋音階の楽器としてのオルゴールから逸脱したものも考案されていまして またこの特殊調律のオルゴールが復活してきそうな予感がします。 具体的な製作課題もいくつかあります。 宇宙律はそのはしりといえます。 問題はオルゴール本体の方よりも オーサリングソフトの方です。 音のキャンバスをそういった特殊な音高配列に対応できるのか? このあたりを解決しないといけません。 技術的には出来るのは分っていますが 長く使われるソフトウェアとして実装可能なのかどうかは別問題です。 地味な話なのですがテーマは尽きません。

2020.1.22  旧暦晦(つごもり) (旧12.28)

  寒いなぁ〜 と思ってましたら もう旧暦師走も晦(つごもり)が近いのですね。 新暦でいえば大寒。 このところ急に寒さが“するどさ”を増してきた気がします。 言い方を替えれば 寒さのピークを打っていることになりましょうか。 今週末は旧暦新春です。 暖かさを実感するのはまだ先にしても 流れは春に向かっています。 そういえば今年は既に春の気象パターンになりつつあるようにすら思えます。 さすがにまだ気温は低いですが春特有のある種の“香り”を伴った周期パターンを感じます。 私は体質的には寒さが苦手な方ですので 春に向かう諸処の変化はとても嬉しいものに感じます。

 このところずっと大型Lタイプのαオルゴールの出荷準備をしていまして ほぼかかりきりになってます。 なにせ久々で かつ おそらくこれが(Lタイプの)最後になろうかという出荷ですので あっちこっちでつまづきながらの作業です。 いたずらに時間ばかりかかっています。 このLタイプの響箱は 実は20弁メカを載せてもあまりしっくりこない特性があるのは以前にお話したことがあります。 今回は33と20を載せ替えるのが命題となっていまして 最後にして最大の試練??を経験しているわけです。 だいぶあちこち弄りまして改善には努めた次第です。 この経験は“次世代”の大型αボックスに生きると信じます。 納品まであと2日。 がんばろうと思います。  大型カートンもなんとか完成できました。 もうひとつのエポックは 今回の納品で33弁に初めて宇宙律の Exh-C を採用することです。 世界初でしょうね。 ゆるむ音の真骨頂のはずですが なぜか作り手の心は緊張します。

2020.1.21  大型カートン2 (旧12.27)

  先日紹介しましたPPP材によるカートンですが のらりくらりと作業してまして ようやく“かぶせぶた”まで出来ました。 だいたい写真のような姿です。 2重クロス貼りにしましたので結構丈夫だと思います。 これから内部造作です。 たかがカートンにこれほど時間をかけていいのか?という疑問はありますが 梱包箱というのはイメージするより遥かに重要なものだと思います。 響箱などの木工やメカの金属工作とは違った意味で楽しい作業です。 納品が楽しみです。

2020.1.20  ゆるむ音 (旧12.26)

  音楽に限らず 音には “ゆるむ” 感覚のあるものと “こわばる” 感じのするものがあると思います。 ちょっとしばらく聴いていってしまうと 判らなくなってしまうのですが 出会いガシラによく感じるものです。 音楽には程よい緊張感というものもアリですから こわばる音が悪いというわけではないとは思います。 ただ 同じ “こわばる” 感覚でもポジティブなものとネガティブなものがあるようにも思えるのです。 それが 出会いガシラに一瞬にして感じ取るというわけです。 人間の感性というものはすごいものだと思います。 (少し聴いていたり 何度も聴いていると)同じように聴こえるオルゴールの音も 明らかに “ゆるむ” 感覚のものと そうでないものがあります。 頭で感じるという意味では 一般にどちらも “良い音” で片付けられるものですが “身体”が感じる感覚は 明らかにその差を感じとります。 身体の一瞬の “こわばり” をよく観察してみてください。 音を身体で感じるという感覚は 普段意識してすることはまずないと思います。

 どなたかが傍らにきたときに 例えば 電車に乗っていて隣にだれかが座ったりしたときを想像してみてください。 その近づいた一瞬の身体の感覚を です。 そのときに かすかに “こわばり” といいましょうか、 身体が “固まる” とか “緊張する” 感覚を覚えるようなら あなたは その隣の人を嫌っているか、あるいは相性が悪いのです。 それが面白いことに 数秒経過してしまうと なんとも感じなくなってしまうものです。 つまり “慣れっこ” になってしまうのです。 それでも身体は常時その“こわばり”を感じ続けています。 表層意識が忘れてしまっているだけです。 そいういう状態が長く続くと 身体や心に不調を感じ始めたりするわけです。 私は オルゴール製作を進める中で “ゆるむ” 音を目指して製作・調整を行っています。 さて うまくいっているでしょうか? 自分の身体で検証はしています。 お手持ちのオルゴールをそんな感覚で一度鳴らしてみてください。 どうお感じになりましょうか。 純正律に敢えてこだわる理由も実はこんなところにあります。 純正律の音は(平均律に比べて)明らかに“ゆるみ”ます。 もっとも普段から “こわばる” 感覚ばかり身体にさせていると明確には感じないかもしれませんね。 それでも身体は必ず分っていますからご安心を。

2020.1.19  ロビーコンサート (旧12.25)

  今日は日記の更新が夜になってしまいました。 午後に地元横浜市神奈川区の公会堂ロビーにてオルガニート愛好会の面々によるオルゴールコンサートがありまして 行ってきました。 私は単なる観衆です。 アットホームな催しでとても素敵でした。 思えばオルガニートを伴奏にして歌う!のもなんだか当然のことになってきた感があります。 筋金入りのパフォーマーさんたちが それはそれは素敵な演出で演奏してくれました。 オルガニートがここまで発展するなんて 私が音のキャンバスを開発始めた頃には考えもしなかったことでした。 メーカーさんにしても当時は廃機種候補にまでなっていたオルガニートでした。 隔世の感があります。 よい催しでした。 

2020.1.18  大型カートン (旧12.24)

  久々に大型のαボックスを納品する準備をしていまして カートンを作っています。 ずっと在庫していたものを出荷しますので さすがにダンボールのカートンはぼろぼろでして 新たに作っています。 どうせ作るなら... ということでプラダンといわれるPPP(ポリプロピレン)製の板で作りました。 1枚では強度がもちませんので2枚をクロス目に貼合わせるなど 結構工夫が必要な箱作りです。 まだ作っていませんが かぶせブタ 方式にして 左右に持ち手のヒモを付ける予定です。 PPPは普通の接着剤が使えなくて プラ材専用のGPクリアを使うことになりますので 結構バカにならないようです。 余談ですが接着剤は百均セリアで買うようにしています。 小さなパッケージで売っているものですが 接着剤は余らせてしまうと結局固まってしまって捨てる分が多くなりますので 小量買って使い切る方がいいと思います。 でも さすがにこの大型カートン作りでは小量では足りませんでした。 また調達してこなくてはなりません。 私はこういった紙?工作は好きな方でして 箱作りは意外にもこだわってしまう方です。

 思えばこの大型のαボックス(Style-L)は2006年位から製作・販売したもので、現在は作っていませんが 未だに私のところでは活躍してくれています。 そういえばこの日記の冒頭の写真もLですね。 使い込むに従って音がこなれてくるのがわかり、愛着が深くなる箱だと思います。 今後作るとしたら もう少し違ったスタイルにすると思いますが 今年、33弁メカが本格改善を終えたら また作っていきたいとも(少し)思っています。 

2020.1.17  PCは片隅に?... (旧12.23)

  昨日 少々用事があってダウンタウンに出向いたため ついで! とばかりに家電量販店を覗いてみました。 最近では滅多に人ごみに行かない私ですが 当日は平日だったこともあり人が殆ど居なくてラッキーでした。 一巡りしてみましたが パソコン売り場の小さくなったことが印象に残りました。 大型家電とスマホ売り場が大きかったです。 価格もチェックしてきましたがどれも高いですね。 普段の生活が超質素な私からすると外国旅行でもしているかのような感覚でした。 明らかにPC(パソコン)といわれる分野は衰退していると思います。 人によってはスマホしか知らない世代もあると聞いたことがありますが頷けるような気もしました。 音キャンもPC対応オンリーでの在り様について ついに年貢の納め時なのかなぁ?なんて ふっと思ったりもしました。

 但し 同時に思ったのはスマホというIT機器の在り様もまた脆弱なのかなということです。 バージョンが替わる度にめまぐるしく変化するOS、 何かわからないのですが 常に感じる動作の不安定さ、 それにのべつ裏口から覗かれているような不安感といいましょうか、 将来はもっとクリーンで安全で時代を超えた普遍的なIT環境に変わっていってくれることを期待しました。 今 その環境に非常に近いのが“ラズパイ”といわれる名刺サイズのコンピュータなのかもしれません。 もはやITは人の生活に欠かせない分野の一つです。 一にぎりの営利企業に全てを依存している状況は不自然です。 それに なにかにつけて “支配” という用語が出てくる分野であることも違和感が大きいです。 時代がこの分野でも根本から転換されるような気がした外出でした。

 そうそう 昨日あるブログで見ましたが Gmail の危険性が指摘されていました。 ProtonMail というスイスで運営されているメールが安全であるということでした。 今後移行を考えてみたいと思います。 関連して最近ではどのHPもグーグルのAPIといわれる仕組みを経由しないものは殆どないようです。 つまりグーグルに情報とそのアクセス過程の全てを把握されているという状況といっていいでしょう。 こういう状況は非常に危険だと思うのは私も同感です。 今後急速にこのあたりが変わっていく予感があります。 ちなみに私のこのHPについては それはそれは古い仕組みでして グーグルさんのAPIのお世話にはなっていないと思います。

2020.1.16  ハ長調版 (旧12.22)

  昨年発売した33弁αオルゴールの宇宙律仕様(Exh-A)ですが 今年はそのハ長調版 (Exh-C)を手がけてみようと思っています。 まだ個々の音がどんな作用があるのか検証できていませんが 音律としてはよい効果があることは解っています。 音律(調律パターン)はあまり種類を増やしすぎるとお客様は元より 私自身がワケがわからなくなりますので 増やすのは慎重を期すつもりですが いつものことで先進的なお客様向けにテスト販売のような形でスタートするかと思います。 αオルゴールはくし歯の設計がハ長調ベースですので これに合わせた方がハードウェア的にはしっくりきます。 ただ、宇宙律の真骨頂は “身体との調和” ですので この方面で無理が来るようなら魅力が半減以下になります。 このあたりを検証する年になろうかと思います。 33弁のメカは原価ベースがおそろしく高いですから そう手軽に実験!というわけにはいきませんので 机上でのシミュレーションを綿密にやるようにします。 乞うご期待といったところです。

1.16追記 言い忘れましたが イ長調版(Exh-A)と考えているハ長調版(Exh-C)音域は同じです。 基音(ド)をAに置くか Cに置くかの違いです。 なので両者で各音は微妙に音高が違います。 そのことが“身体との調和”の観点からどう影響するのかを検証する必要があります。 大変精妙な検証プロセスになりそうです。 音や気の感覚に精通した方のご協力を求めたいところです。

2020.1.15  懐かしの1号機 (旧12.21)

  電子工作などをする作業部屋の棚の隅にひっそりと眠っているのが これ。 懐かしのカードパンチマシンの第1号機です。 現行の2、3号機と比べるとかなり大型でパンチスピードも半分くらいだったでしょうか。 現在は故障で動かないままです。 永年放置していたためかさびもかなり出ています。 この初号機を作ったお陰で その後のマシン製作につながりましたし、制御系の設計も上手くなってきた経緯がありますので いわば登竜門です。 後継マシンへ適用した数々の改善もこのマシンでの経験あっての賜(たまもの)です。

 そういえばこのマシン(大きくて重い)をかついで山梨の県立科学館でイベントをやったのを思い出します。 たしかプラネタリウムで星を投影して その動きに合わせて大勢の観衆がスイッチを押し、その押し方で“曲”を創るといった趣向でした。 星と人とオルゴールのコラボでして おそらくこんなアイディアは世界で空前絶後だったのではないでしょうか。 その作曲した“曲”をその場でオルゴールで鳴らすのにこのマシンが聴衆の目の前でカードに作っていく!ということで 華やかなる人前デビューだったのを思い出します。 子供さんたちが初めてみるパンチマシンの動きに興味津々で見入っていたのを思い出します。 このようなマシン自体がおそらく世界初だったのでしょうから当然かもしれません。 聴衆の人々が座席に座ったままスイッチを押せるように多数のスイッチを長いケーブルでつないだ集線マシンも作りました。 それもまだ現存しています。 名づけたのは “集団作曲装置” まんまの名前ですが いつままた実演してみたいです。 この伝説??の1号機 いづれ殿堂入りさせるかもしれません。

2020.1.14  暖冬傾向と接着作業 (旧12.20)

  今年の冬も今が一番寒いはずの時期です。 が... 今年は刺すような寒さ というより冷たさの日が少なく感じます。 これまでのところ 殆ど無かったといってもいいかもしれません。 暖冬傾向なのでしょう。 こういう年は旧暦新春からの雪に注意です。 ここ関東南部は冬は殆ど晴れの日が続き、雪はまず降りませんが 何年かに1回くらいは10センチくらいの雪に見舞われることがあります。 雪に慣れてない地域ですのでこれでも大雪です。

 今年は寒さが(これまでのところは)大したことないということで 何が助かっているかといいますと “接着”作業です。 響箱を組み立てる際の接着剤がほとよく効いてくれるのがありがたいです。 あまり寒いと接着作業は出来ないこともあります。 例年はこの時期に接着を伴う組み立て作業しなくていいように調整するのですが 今期は年末にオーダーが多かったせいもあり これが出来ませんでした。 なのでもし厳冬だったら困りはてたところかもしれませんが ここは天の采配とでもいいましょうか? うまくいっているわけです。 元々真冬は製作が少ない時期ですが これは大きい出来事です。 おかげさまでマイペースをキープしながら作業できており、思うようなよい出来のオルゴールが作れています。 みなさまありがとうございます。

2020.1.13  今年は33弁が脱皮の年に (旧12.19)

  私は33弁αオルゴール と名づけて 33弁オルガニート製品を製作・販売しています。 2006年スタートですから足掛け14年になります。 昨年までは何かとトラブルも多く、扱いにくいオルガニートだったことは認めざるを得ません。 もちろん私のところでしっかりと仕上げてから出していましたので 幸いなことにこれまで大きな迷惑をお客様におかけすることは無かったと思います。 先刻ご承知の通り、このメカは20弁のオルガニートメカをベースに音数を33に増やしたタイプです。 技術ベースは全て20弁メカに根ざしているわけです。 振り返ってみますとトラブルは全てが 駆動系機構に集中していました。 要するに(20弁メカから)設計を変えたところがことごとく問題を起こしました。 逆にいいますとそれだけ20弁メカの優秀さと、その技術的な真髄を再度学び、現行生産活動に生かす機会にもなった14年間であったともいえます。 あちこち壁にぶつかりながらも33弁メカは改善が進みまして ようやくトラブルにつながり易い目が根絶に近くなった感があります。 言い方を替えますと これまではお客様を実験台に使ってフィールド試験をやっていたことになります。 大変申し訳ない思いです。  とはいえ この33弁によりオルガニートの音楽的な表現幅(ポテンシャル)や 調律表現的面が飛躍的に拡大したことも事実です。 従来からのオルゴールの概念を大きく変える使い方も開拓されてきました。 人が作るものはどこまで行っても完璧はないですから 最善の努力こそが大切ということだと思います。

 今年はあと一歩まで来ている改善を成し遂げるようにします。 主体はメーカーさんですから私が断言するのは違うとは思いますが 産みの親の一人は自負していますので 敢えてこのように言います。 今年以降、33弁は自立し、多くの人々が扱い易いようにします。 20弁と同じように個性的な製品がどんどん出てくれるようにしていきます。 そして私がこれまでやってきた調律表現などの “再付加価値分野” を手がける人も出てきてくださるように活動します。 いわば脱皮の年になると思います。 いや せねばなりません。 そんな思いで今年を活動するようにします。 そうなれば私自身は(これまでも日記してきましたように)もっと違うことを手がけるでしょう。

2020.1.12  メカ脱着アダプター (旧12.18)

  写真はオルガニートメカを脱着するアダプターでこの金属部品を響板の下から覗かせます。 長く出ているネジだけ板の上に出して そこにメカを取り付けるわけです。 メカの上から手で締められるネジで締め付けるわけです。 こうすることでシーンによって複数のメカを取替えて演奏することが可能になります。

 メカには3ミリのネジが切ってありますので それに干渉しないでスポっと嵌るようにこの部品では2ミリの雄ネジで作ってあります。 メカの4箇所のネジ穴にきちっとはまるようにするには 結構高度な寸法精度が必要でして 見た目ほど簡単な部品ではありません。 ちょっとでも寸法が狂っているとスムーズな脱着ができず、結果的に雄ネジ部分が曲がってしまい使えなくなってしまいます。 本当は強度を考えて もっと太い雄ネジを立てたいのですが メカ側を無改造で脱着させるにはこの方法しか思いつきませんでした。 2012年ころ考えて作った機構ですが未だに同じものを作っています。

 欠点は響板があまり厚いと2ミリの雄ネジ長が足りなくなってしまうことです。 最近の案件で極端に厚い響板を使っている響箱がありまして 困り果てています。 なにせ雄ネジが細い上に精度が必要ときていますので 不用意に長くすると不具合が出ることは自明です。 そもそも2ミリの雄ネジなんてそんなに長く作ることはできません。  全く違う発想の脱着機構を考えるしかないかなとも思い始めています。 まぁニーズがないと考えることがないですから 楽しみながら考えてみます。

 話は変わりますが オルガニート界(?)でもう一つの永遠の課題。 それはカードを途中で引き抜いたり 途中から演奏できるようにすることです。 ご存知の通りオルガニートメカは紙カードを途中で演奏をやめて引き抜いたり あるいはカードの途中から演奏開始したりすることができません。 短いカードしかなかった時代はそれで充分問題なかったのですが 最近では超がつくほど長いカードを駆使されるパワーユーザーの方が多くなったこともあり 要望がよく寄せられます。 というより昔からペンディングになっている永遠の課題です。 オルガニートの紙送り機構はそれはそれでかなり高度で精緻な構造になっていますのでおいそれとはいかず、なかなかよいアイディアがありません。 どなたか考えてくださるとありがたいです。 複雑で高価な仕組みならいくらでも考えられますが 安価でシンプルで作りやすい方法となると話は別なのです。 ずいぶん以前に試作までしてみたことはあるのですが とても実用には程遠かったのを思い出しました。

2020.1.11  満々月 (旧12.17)

  昨晩はみごとな満月でした。 月齢は16ですから正確には十六夜(いざよい)ということになるのでしょうか。 冬の満月は空高く昇るのでとりわけ光が強いように感じます。 それで満々月。 ということは... 旧暦師走もすでに半分過ぎたことになります。 春の息吹は近い! とはとてもいえそうもない寒さですが それでも今年は寒さが堪えるような日が(これまでのところ)少ないように感じます。 冬はどうしても手先の細かい動きが苦手になりますので作業はスローモーになりがちです。 明るい時間も少ないですし、こなせる作業量自体はかなり少なくなる季節です。 むしろ冬は思考の季節。 いろいろアイディアを練るのに丁度いい季節と認識しています。 私は紙カードを作った端材を利用していろいろ絵(図面)を描いています。 なにせこの手の紙材はそれこそ“売るほど”豊富にありますので絶好のキャンバスになります。 実際に製作の過程になる前のこの思考の段階こそが楽しいのです。 次の満月までにはいろいろと動きだしているものと ...いきたい... ものです。

2020.1.10  時間をおくこと (旧12.16)

  以前から何度となく書いていることの繰り返しですが オルゴールムーブメントと響箱の関係は結婚です。 組み込んだその瞬間はお互いに違和感・異物感があるようでしっくりと鳴りません。 あれ?ッと思うほどのときも多々あります。 ムーブメントの調整に失敗したかな?と思えるときもあります。 ところが最低でも1晩 できれば3日ほどおいてからが その相性の真価が発揮され始めるときです。 例外はありますが驚くほどしっくりと鳴ってくれるように “なじんで” くるように感じます。 木にも金属ムーブメントにも意思や心がある! というのが私の信念ですが 結婚生活になるわけですから いきなりではなく、徐々になれていってもらうのが当然のことだと思うわけです。 これはメカの再調律を施した場合にも言えることでして くし歯とベースプレートの相性というのも くし歯を加工してしまうとやり直しになります。 ここにも時間が必要です。 ですので調律替えした場合はいきなりガンガン鳴らすことはせず、可能なかぎり一晩おいてから聴いての確認作業に入るようにしています。 こういうこともあり 例えメカや響箱の在庫があっても最低1週間は時間を頂いている次第です。 そうそう先日11月に収録して頂いた愛好会の調律実習の際のビデオを見ていましたら このことが証明されたようでした。 元々の平均律のと 純正律に調律替えしたばかりで響箱に組み込んだのを鳴らして比べた映像がありますが どうみても替えた後の方がしっくりと来ていないのです。 あれあれやっぱりな?という感じでした。

 同じように響箱の製作作業においても接着・サンディング・塗装・磨き・蜜蝋ワックス・総組 など各工程毎に有る程度は時間をおくようにしないとうまくいきません。 何事も時間と心をケチってはロクなことにならないということのようです。 ゆっくりと行きたいものです。

2020.1.9  プッシュプル (旧12.15)

  写真は自作パンチマシンの2号機の刃物台部分です。 だいぶ使い込んでいることもあり くたびれた姿ですが ここで機構について紹介しておこうと思います。 このパンチマシンは薄板金属の打ち抜き用パンチ刃物を使って紙を抜いています。 刃物径は 20弁用が2.9mmφ 33弁用が2.0mmφです。 33弁用は既定径より少し大きめにしてあります。 写真では左側に2つ並んでいる部分が刃物を動かす機構部分で縦に長い部品はプラー(引き子)といわれるものです。 右側がプッシャー(押し子)といわれる刃物を押し込んでパンチさせるための部分です。 写真だけでは機構が解りにくいとは思いますが右の手書きの図を併用してご覧ください。(手書き図は640x480サイズに拡大することもできます)  2つ並んでいるプラーの内の左側が20弁用刃物系、右側が33弁用です。 プッシャーはスライドできるようになっていて20弁用か33弁用かを選択して押す(パンチする)ことができます。 ここまでの説明でも疲れますが この刃物を押す部分(写真左)ですが、プッシュプル式といいまして 刃物を押してパンチするだけでなく 引き抜く機能も兼ねています。 上の方に黒いボルト頭が見えますがこの部分です。 テコが上下することで刃物を “押して引く” といった動作をさせています。 これによって 刃物が押されきった位置から原位置まで戻すのにバネを使う必要がないようにしています。 刃物台全体を小型にするための策です。 どの位引くのかは黒いボルトに嵌っている真鍮製のカラーの太さを調整することでやっています。

 アイディアなのは下の方に見えるL字型の金具でして これによりテコが上昇してプラーが戻る際に刃物が暴れてバウンドしてしまうのを防いでいます。 バウンドしてしまうと刃物がパンチガイドから外れてしまって次のパンチが出来なくなるためです。 言葉で説明するとすごく面倒なのですが このあたりの機構を私の低い工作技術で実現する方式としてずいぶん考えこんだ末に完成しました。 これから機会をみてこうした“技術的”情報もお伝えしていこうと思います。 鍵は素人工作でも出来るように機構を考えるということです。 私は本格プロ用工作機械など持っていないので工作精度が出せません。 なので低い工作精度でもちゃんと機能するように考えたわけです。 20弁か33弁どちらか一種類だけ対応するのであればもっと簡単な機構に出来たかと思います。

2020.1.8  厳冬期 (旧12.14)

  そろそろ旧暦師走も中日。 厳冬期も極まれり... とおもいきや... 今日は雨もようで比較的気温も高め。 ここ関東では厳冬期は晴天がこれでもかぁ!とばかりに続くのですが 今年は既に春の周期変化モードに入ってしまったようにすら感じます。 とはいっても冬ですので気温は低いですし、寒いです。 さすがにこの時期は体調的にも万全とはいかず、養生の季節といえましょう。 私はこれを “冬眠” といっています。 色々とやりたいことは山々あるのですが寒い時期はどうしても行動力は低下します。 無理はせず冬眠状態もいい!と思っています。 万事自然の摂理に身をゆだねて暮らす。 そんな日々です。 ここ数日はオルガニートとは少々離れてすごしています。 こういう時期は心身を整えたり、考えごとに耽ったりします。 こんな時期も必要だと心得ています。

 なお33弁は年始もメカ在庫はあります。 寒い時期は 響箱の製作がなかなか進まないのがいけませんが 順次進めていますので大丈夫だと思います。 1月〜3月は比較的オーダーも少なく落ち着いた時期でもありますので 心落ち着けてじっくりと取り組みたいです。

2020.1.7  相生と相克 (旧12.13)

  この日記はいわば将来の自分自身に対して書いているという面があります。 「あのときは あんなこと考えていたのか。」  「あの頃は あんなレベルだったのかぁ。」 といった調子で思い返してみるのによいと思います。 昨日はまんだらのことを書きましたが その根本のところを成すのが 表題の 相生と相克 ということになりましょうか。 相生とは生かしあう、調和しあう仲 という感じで 相克は逆で殺しあう、いやしめあう といったような感覚です。 この宇宙全てを構成しているといわれる木火土金水(もっかどごんすい)という五大元素があります。 中国哲学でしょうか。 それによれば木元素は火元素を生かす相生の関係に 火元素は土元素を生かす相生、土は金、金は水、水は木... というように順繰りに生かしあう関係になっています。 まんだらの本質はこの五大元素が整然と相生の関係で並んでいるイメージです。 逆に一つ飛びの関係 木→土、火→金、土→水、金→木、水→火 といった関係は相克になり、互いが殺しあう、卑しめあう関係になります。 自然や人体などのあらゆるところがこうした元素のまんだら構造で出来上がっており、それは相生か相克を醸し出しているというのが中国哲学的な宇宙観です。

 普段の生活の場面でこういった元素レベルでの関係性を意識することはまずありませんが こと音や色を扱うようになるとがぜん意識が変わってきます。 それは “このみ(好き嫌い)” とか “相性(あいしょう)” とかいう感覚で表れてきます。 少なくとも無視はできない世界に感じます。 元素そのものが観えるわけではありませんが 元素が醸し出すバイヴレーションといいましょうか? 雰囲気が感じられるというところでしょう。 「理由はわからないけど好き」 とか 「なんかどことなく胡散臭い」 といったような感覚はこの元素レベルの相生・相克から来ているのだと思います。 相生の関係で整然と並んだまんだら状の場合はポジティブに感じ、 まんだらの中に相克要素が混じってくると違和感が生じ始める。 といったところでしょうか。 音を扱う身としましてはこの感覚を抜きにはシゴトはできません。 まぁ偉そうに言えるほど解っているわけではありませんが 日々訓練は積んでいます。 主観やファジーと思われている音の良し悪しを可能な限り客観的・科学的に認識したいという思いです。

2020.1.6  まんだら3 (旧12.12)

  ずいぶん以前になりますが 音のもつまんだら性について書いたことがあります。 思いつくままに書いているこの日記ですので 都度内容が重複したり 矛盾があったり 全然正反対のことを言ったりもしますがご勘弁をです。 まんだら とは “一部が全部を内包する” とか “どのような部分でも全体の性質を全てもっている” といったことを指します。 現代風に言うと “フタクタル” ということになります。 色も光も音も全てがこのまんだら構造を持っているというのが東洋思想です。 常々感じているのは このまんだら構造をしているもの というのは我々の五感からみて 安定感や安心感、美しい、整然、旨い、心地よい ... などのいわばポジティブな感覚を誘発するように思います。 逆に 不安感、恐怖感、焦燥感、嫌い、避けたい ... などのネガティブな感覚を誘発するものというのは おそらくですが このまんだら構造が壊れているか 人為的なつぎはぎ状態になっているのではないかと思えるわけです。 よく言う “自然な” という感覚はまさに まんだら感そのもののように思います。 どのような部分を切り取っても自然全体を表しているわけですから それを観ている自分自身のまんだらと常に同調する... というような感覚でしょうか。 これはきちっと調べないといけないことなのですが 現時点では単なる感覚的・想像的な言い方だと思ってください。

 音に関してですが このまんだら構造の感覚・観点から観ますと 単に周波数を特定の値に合わせただけでは充分ではないように感じるのです。 確かによく出来た周波数セットは純正律のようなハーモニーを醸し出しますので それで素敵なことなのですが それだけ?なのかという疑問が常に涌いてきます。 音の質的な面 物理的には波形ということになりましょうか? についてもよくよく研究する必要性を感じます。 いまさら何を?な感じもするかもしれませんが ちょっとに書いた“深い音”のことや その後書いた “アカハナマ” のことなど思い返すと課題が見えてくるような気もします。 人が “良い音” と感じるのはそれぞれかもしれませんが それでは身もフタもありませんので、 周波数や音質についてもそのまんだら性を踏まえた研究をしていきたいということです。 実際に研究していくには まずは音を元素(五元)に還元していく必要があります。 その技法はあるようで、訓練もしてきています。 私なんぞにとって ものになるかどうかはわかりませんが。 我々が日常実際に目にするのは オルガニートを演奏する人の心が演奏に色濃く表れてくるということです。 人の心がオルゴールや響箱に実際に影響を与えているわけです。 要するに全ては(まんだらで)つながっている! あるいは(まんだらが)相互作用しているわけです。 果たして科学的に調べていくことは可能なのでしょうか? 長々と書いた割には結論が出ていませんが 今日はこんなところで。

2020.1.5  昨年施した改善 (旧12.11)

  20弁、33弁メカ通して 昨年はずいぶん沢山の改善をしました。 本来は要らないはずのものも多く、一定の品質維持の難しさを実感した年でもありました。 一番大きな改善はEx..(ダブルドット)への進化でしょうか。 純正律の純正度を高め、音響特性を改善してきました。 その効果は大きかったと思います。 弱点もあるのですが響箱の工夫でその影響を最小限に留めるように出来たとは思っています。 しかしこれはまだまだ途上であり、今年は更なる改善の道が待っていると思っています。

 不具合に対する対処もかなりやりました。 細かいところでは油つけを徹底するところから ギヤのずれ、ビビリ音対策、カードの入りにくさへの対処、手回し味の改善、カタ音の改善などが主だったところとして思い出されます。 現実的には全てのメカの調整時に処置をしているわけですから ずっと続くことになります。 特に改善しなくても商品としては成り立つとは思っていますが 私としては “純正律が醸し出す音の世界を極める” という方針ですので細かな気になる点はつぶしておかないといけません。 手前味噌ですが これらの改善の結果、ノーマルものとは “別もの” に仕上がっていると自負はしています。 

 この調子ですと今年も様々なことが起きそうです。 何があっても対処できるように心しておきたいと思っています。 そして可能な限りメーカーさんのみならず、みなさんとも情報共有していきたいと思っています。 もはやオルガニートはいちメーカーの所有物、一部マニアのものではなく、人類共通の財産!といっていいのではないでしょうか。 お気づきの点などありましたらお知らせくださればありがたいです。 オルガニート・オルゴールをこよなく愛するものとして申し上げました。

2020.1.4  432-33 (旧12.10)

  「432-33」 とは33弁でA=432Hzに調整されたという意味で 一種の機種コードになっています。 昨日はこの調整を延々とやっていました。 20弁も同じですが432のAs や 444のSp は調律の際の削り量が半端でなく多いのであまりやらないのですが 特別注文の際にだけやるようにはしています。 あまりやらないと忘れてしまいますから。 現在は特定の仕向け先だけに提供させて頂くようにしています。 何度か書いたとは思いますが 鳴らしますと どちらも独特の世界があります。 一瞬にして現実世界からどこかにワープしてしまったかのような感覚があります。 現在は この As,Ex,Spの3パターンに それぞれ 20弁、33弁とありますから 6パターンの調律をこなしています。 特に33弁は中全音律中心ですが Exに宇宙律がありますので計7パターンとなります。 他にメーカーさんノーマルないわゆる平均律がありますので ずいぶん種類が多くなったように感じます。 調律している身としましてはそれぞれが 全く違う世界観ですので一緒くたにはこなせません。 必ず最低でも日を改めて作業します。 私は工房に居ながらいつも宇宙をさすらっている旅人かもしれません。 音は宇宙。 音は命。 日々実感しています。 ちょっと大げさでした。

2020.1.3  カードパンチと段取り (旧12.9)

  昨日から今日にかけて33弁用の標準添付カードを作っていました。 最後はパンチ作業です。 写真左はPC上で動くカードパンチマシン用のコントロールパネル(ソフトウェア)です。 わかりにくいかもしれませんが 左の方に現在パンチ中の穴位置がアニメ形式で表示されます。 標準添付カードはいちいち音のキャンバスでデータを作る必要がないように “プリセット曲” としてワンタッチで呼び出してパンチ開始できるように工夫してあります。 もうかれこれ10年以上も使っていますので いろいろ工夫の歴史を感じさせます。 写真右はマシンの様子です。 ご存知の通りカードを送る機構にはオルガニートのメカそのものを使っています。 ハンドル部分をステッピングモータで手回しの代わりをさせるようにしています。 この写真ではジムノペディ第一番の曲をパンチしています。 一度に10セットくらいづつ作ります。 総パンチ数は数万にも及びますので なかなか時間はかかります。

 作業していて大変なのはカードをセットする段取り部分です。 ここをいわゆるオートローディングに出来たら 夜中のうちに大量パンチが全部完了している! などという夢のような製作が実現するかもしれません。 古いプリンターの給紙システムを流用する手もあるかもしれません。 いづれ検討はしてみたいです。 結局工場の自動化ラインなどでも 一番工夫と手間がかかっているのは 実は加工そのものよりも その前後のいわゆる段取りという部分をどう自動化するか?という分野なのです。 そちらの方が加工本体機械よりもずっと大変だし、お金もかかるものなのだといいます。 トラブルも多いですし。 そんな工場化の一端も垣間見えるような気がしました。

2020.1.2  アカハナマ タラサヤワ (旧12.8)

  いきなり妙なタイトルになりましたが これはホツマツタエという日本の古伝に出てくるヲシデという48音の一部です。 現代風に言うと “アカサタナ ハマヤラワ” となります。 古来よりこの日本の地で使われてきた48音(50音)の音を整然と配列したものです。 日本語というのは宇宙の調和と完全に一致した音を使っているといわれます。 というより宇宙の根源の音そのものを使っているのが日本語ということになりましょうか。 詳細は色々な情報がありますでしょうから省略しますが ここで言いたいことは “音” は生きていてそのものが意思でありエネルギーであるという思想が根底にあるということです。 我々は音を様々な形態で利用しているわけですが その結果としての音のもっと奥・根源にこの48音があるという風に思います。 いわば宇宙の標準語なのでしょうか。 我々はこの根源ともいえる音の配列を時代の都合上なのか いろいろいじってきて “アカサタナ” に達したということですが そろそろ より根源である “アカハナマ” に戻す時期が来ているように感じます。 “アカハナマ タラサヤワ” と10回位唱えてみてください。 ものすごくしっくりと感じると思います。 それに比べると “アカサタナ...” の方はどことなく無機質的な感じ方といえましょうか。 

 おそらく ここに来てリリースできた “宇宙律” (この名前は商品名と考えてください。) を構成する1音々々の計12音はこうした根源の流れの一つになっていると感じています。 中国医学の古典でいわれている12の経脈の1本々々の流れを音に置き換えたものと言っていいと思います。 アカハナマと同じように宇宙の根源から出たもの あるいは 宇宙の根源を志向(目指す)音のセットであると思えてなりません。 “宇宙律”の謳い文句は 「身体と調和する音」 でした。 うまい表現ではないかもしれませんが “身体に流れる根源元素レベルと深く協和する音” というように感じてもいます。 実際に人の経脈は宇宙の星々と直接つながっています。 “宇宙律”がもつ特性についての正確なところは今後の研究になってきます。 さらに言いますと オルゴールは “鉄” が奏でる音です。 鉄はあらゆる金属のいきつく先ともいえる存在です。 ここにも根源というキーワードが隠されているような気がします。 音と鉄... 深い気がします。 私なんぞまだまだ探求の端にもたっていません。 今日は精神世界的な話になりました。

2020.1.1  空の騒音 (旧12.7)

  昨日散歩していて気づきましたが このところ羽田発西方面行きの旅客機が我が家の真上近くを飛行していることに気づきました。 以前はもっと外れたルートでした。 どうりで最近の空の騒音が激しいわけです。 羽田を離陸して あの巨体を一生懸命上昇させている最中ですからジェットエンジンは最大出力状態です。 それはそれは騒音になるわけです。 以前にも書きましたが ジェットノイズは極低周波を含む音(振動)ですので家の壁や窓など容易に貫通して侵入してきます。 調律の測定器に強烈にも影響します。 その前に人々の深い意識になんらかのストレスなどの損傷を与えるものと思います。 このルートは季節により変わるのでしょうか? 困ったものです。 とはいえ正月休みのせいか軍用機やヘリは全く飛びません。 それだけでもかなり静かではあります。  今日も製作の作業をしますので短信で失礼します。

2019.12.31  深い音 (旧12.6)

  いよいよ今年も大晦日です。 私は現行の太陽暦はあまり重視していませんで 単なる月給カウンター程度にしか考えていません。 年の変わり目はやはり旧暦に限ります。 来年の1月25日が旧暦正月です。 例年ちょうど最も寒い時期で この旧暦正月を境に春に向けて季節が進行します。 人の感覚に寄り添うのはやはり旧暦です。

 さて表題の音に関してですが、今年は色々経験することがあり、音について深く考えさせられる出来事がありました。 敢えて言えば “物理的スペックに表れてこない” 面が音にはあり、それをどう “感じる” のかによる部分のことです。 意外に耳に表面的に聴こえる音と 心の深いところに感じている音は違うことがあります。 その深い方に感じている音といっていいでしょう。 よく言われる“沁みる”音 とか “ほっこりする”音 というニュアンスでしょうか。 私はこれまでスムーズに鳴るオルゴールを心がけて製作してきました。 以前からよく書いているように物理的特性でいえば “周波数特性” や “倍音構成” といった比較的表面に表れてきますし、いわば測定器で測定できるような といいましょうか、通常の感覚において感じられやすい音の特性部分に趣きを置いて音づくりをしてきました。 ダブルドットなどと称した改善もその方向性を目指したものであったわけです。 ところが! ここにきて 全く違ったベクトルの感じ方の方に目を向ける必要性を感じ始めたというわけです。 耳で聴いた限りでは差が全く感じられない音でも 実は 「深さ」 という観点から “感じて(聴くのでなく)” みますと違いが見えてくるのです。 このことは今気づいたことではありませんが 具体的にコントロールできる範囲だとは思っていなかったですし、半ば偶然の産物のように思っていた部分です。 来年はこの部分を意図通りに実現することに挑戦して行きたいと思っているところです。 これを具体的・物理的な製作の作業にまで落とせるかどうかが来年の課題となりましょう。 楽器の職人さんや一流のプレイヤーさんならどなたでも目指しているところだと思います。 来年はようやく“一流”を目指すスタートラインまで立てるかもしれません。 あくまでスタートラインですが。

2019.12.30  パンチマシンの新制御システム検討中  (旧12.5)

  現行のパンチマシンはかなり昔に作ったこともあり、古いマイコンシステムで制御しています。 メモリは16キロバイトです。 キロです。 メガやギガではありません。 あれから数年しか経過していないのに古(いにしえ)の出来事のように感じます。 思いだせば昔はこのメモリ不足との戦いでした。 少ない資源をどう生かすかに細心の知恵を絞るのがマイコン技術者の真骨頂でした。 それは今でも基本的に変わりはないと思いますが 現在のマイコンの資源は桁違いに大きくなりましたので その扱いのラフさといいましょうか あまり気を使わないで済むようになってきているのは事実です。

 そこで今度から作るパンチマシンは制御部分をしっかりしたコンピュータシステムにしようということで検討しています。 しっかりした という意味はちゃんとOS(オペレーティングシステム)をもつシステムということです。 現行のマシンに搭載のマイコンは当然のことながらOSなどなく裸のコンピュータを直接動かすという非常に原始的なやり方をしていました。 しかしこれから作っていくマシンは単に機械を動かすというだけでなく 使用曲のライセンス管理やネット上でのデータやりとりなど いわゆるデータ処理も担うことになると思われます。 一昔前ならパソコンが担っていたようなシゴトをマイコンシステムが合わせてやることになります。 時代は変化したものだと思います。 既にロートルの仲間入りとなった私としては新技術を習得するだけでも骨が折れます。 流行のプログラミング言語も学ばなくてはなりません。  はたしてこなしていけるのかどうか? 来年からの課題です。

 大切なことは “なんでも自分でやる” ということだと思います。 前述の細かいことは端的に言って素人でも出来る範囲のことです。 単に私が未経験であるというだけのことで 決して高度なことではありません。 だからといってそれを人さまに任せて実現することは現実的ではないということです。 高度なことをする必要はないが 身の丈をわきまえ、自分自身の手でこなして実現していく。 この姿勢が大切なのだとずっと考えてきましたし、これからもそうだと思います。 独自の道を選び、自営で業をなしていくということはそういうものだと実感しています。 それこそ身の丈をもって時間をかけてやっていきます。

2019.12.29  69.5mmカッター (旧12.4)

  気づけば旧暦も師走。 厳冬期になりました。 朝の冷え込みはまた格段です。 ここ関東は本格的冬の時期は極めて天気がよいので 日光には恵まれています。 これから旧暦正月にかけてが一番の寒さといったところでしょう。

 オルガニートのカードはご存知の通り69.5mm幅厳守です。 以前にも書いたかと思いますが これを2枚刃のカッターで一気に切れる道具を試作しようとしています。 この冬農閑期の課題のひとつです。 パンチマシンでの穴あけを前提とするならば 幅さえきちっとしていればカード全体は川の字のように蛇行した形でもかまわないわけです。 幅厳守の道具作りを進めたいです。 いろいろ考案してはいますが まだ決定打がありません。 こういうものは試作しながら考えるのが一番です。 これも来年に向けての抱負のひとつと捉えてください。 また追って経過を書いて行きたいと思います。

 ところで 33弁メカはこの年末までにメーカーさんががんばって作ってくださいましたので なんと在庫在り!の状態で年越しとなりました。 僅かな数ではありますが 史上初めてのことかもしれません。 今日は色々出かける用事がありますので短信で失礼します。 

2019.12.28  33弁メカ再誕生の年に (旧12.3)

  年末でもあり来年への抱負ばかり書いています。 33弁のメカは2006年頃に発売開始して現在に至っている機種です。 私はその前の開発当初からずっと関わってきまして それこそ数限りなくメーカーさんと行動しました。 大変ポテンシャルの高いオルゴールだと思います。 ただ 機構的な脆弱性がまだ解決しきれておらず、常に改善を続けながらの生産となっています。 来年はその総決算をやろうと決意しています。 やるのはメーカーさんなのですが私にとっては我が子のようなオルゴールですから他人事では済みません。 今年までの行動により、改善成果がかなり出まして、あと一歩!というところであると認識しています。 現時点ではまだまだこのメカに精通した人でないと製品に組み込むなど扱うことができにくい面が多いのですが ここで甘んじることなく、なんとか一般的なオルゴールセットメーカーさんでも容易に扱えるようなメカにするのが とりえあずのゴールだと思っています。 そうでないと50年、100年といった長きに亘る生産はとうてい不可能です。 来年は決起の年になると思います。 と同時にこの33弁メカに新たな価値を見出していく活動も本格化させたいです。 メカの基本的な隘路が根絶されないとなかなかそういう用途開発が本格化しにくい状態でした。 予感ですが来年は33弁が“再誕生”する年になると思います。 ぜひともそうしていかねばなりません。

2019.12.27  今年の出荷納め (旧12.2)

  今日の出荷で今年最後になります。 (かもしれません) 今年後半は逼迫の連続だった33弁のメカ在庫がなんとか確保できての年納めでして なんとか安心しました。 これからご注文頂けた分は来年の初出荷となりましょう。  ちょうどよい節目を迎えられました。 この1年 みなさまのご愛顧とご支援を賜りましてありがとうございます。 おかげさまをもちまして 今年もなんとか続けることができました。 事業資金も増えこそしないまでも減ることもなく 超低空飛行ながらなんとか安定しています。 これからの冬の3ヶ月は比較的ヒマになりますので 繁忙期には出来ないまとまった製作やら開発やらをこつこつと手がけます。 昨日書いた新響箱も作ります。 33弁メカの改善もまだ途上ではありますのでいくつかの実験も含め手がけていきます。 それにだいぶくたびれてきた機械類のメンテナンスもしようと思います。 寒い時期なので動きは鈍くなりますがこつこつと。 今日はこれから出荷作業があるので短信で失礼します。

 なお33弁ですが 今年施して頂いたいくつかのメカ改善の影響もあり、 かなり生産台数が少なくなっています。 製作に要する手数が増えたのが原因のようです。 ですので来年も満足いく提供が出来るのかどうかわからない面があります。 私のところでは極力前倒しで在庫しておくようには心がけますが なにせ絶対生産能力が足りない現状からして来年もお待たせすることが多くなることが予想されます。 お求めの方はお手数とは存じますができるだけ余裕をみてご注文頂けますと助かります。

2019.12.26  響箱 (旧12.1)

  そろそろ来年の話をし始めても大丈夫かなと思います。 私にとって来年の課題はずばり “新響箱の開発” です。 奇をてらったようなものを考えているわけではなく オーソドックスなものです。 しかし大切なのは中身!といいましょうか 木の気・心をしっかりと生かして人と木とが調和するものを作りたいと思います。 そのための下地準備は長いことかけてやってきました。 αオルゴールが新たな次元に進む! といきたいところです。 つまり33弁に特化した開発を考えています。 私のライフワークですから。 あくまでテクニカルな面でなく 目に見えない深い面での進歩を遂げたいと思っています。 これまでの経験から オルゴールはこうした作り手の内面の状態がとても色濃く、端的に現れることは明らかです。 どのくらいかかるのか見当もつきませんが 動き出せば案外早いかもしれません。 今日は決意表明といった内容でした。

2019.12.25  今年もなんとかかんとか (旧11.29)

  今年も巷ではクリスマスをむかえました。 我が家ではクリスマス自体はなにもありませんが オルゴールのシゴトをしている関係でクリスマス前の時期がてんやわんやになるのが恒例です。 今年もなんとか乗り切れました。 これから寒い時期は比較的ヒマになります。 みなさんご愛顧、そして応援ありがとうございました。 なんとか年を越せそうです。 いつも自転車操業状態ではありますが 不思議なことになんとか1年通してみると収支もバランスできていてなによりです。 以前に酒類業界の方からお話がありまして 「売買契約や事前入金などしないで大丈夫なのか?」との趣旨のことでした。 要するに“とりこみ”(品物だけ受け取って支払いしないこと。)を心配してくれたわけです。 私はお客様に品物をお送りして気に入った場合支払ってください。 という方式をとっています。 そうでない場合は返品してください。 というところですが 長い歴史を通じて現在まで結局支払って下さらなかった方はいらっしゃいませんでした。 正確には確かお一人だけ住所不明で回収不能になった方がいらっしゃいましたが おそらく急なお引越しかなにかであわただしかったのでしょう。 たったの1件です。 酒類業界の方の話では飲食業界では回収不能なんて日常茶飯事だと聞きます。 なんとも違う世界があるものだなぁ と思います。 心底から喜んでいただける品物をお作りできる喜びはひとしおです。 こうしてカスカスの自転車操業ながら20年も続けてこられたことに感謝でいっぱいです。 こちらはこれから年末にかけて多忙な時期には出来ない比較的難題な案件をじっくりと手がけます。 みなさん良いお年をお迎えください。(ちょっと早いですね。) 

2019.12.24  シリコンチューブで ピニオンギヤずれ防止 (旧11.28)

  このところ連投になっているピニオンギヤずれ問題ですが 当面の解決策を決めました。 上ローラーに嵌っているピニオンギヤをシリコン製のチューブで動かないように押さえるという原始的な方法でいくことにしました。 写真のようなものです。 矢印で示したところで半透明のチューブを嵌めてあります。 すぐ右側のハンドル組の地板に軽く接触するようにして ピニオンギヤが右側に動いてしまうのを防ぐ効果があります。 このチューブですと軟質ですので駆動系に余計な負荷や変形を誘発することもないでしょう。 要はピニオンギヤが長い時間かけて少しづつ写真でいう右側にずれてきてしまう現象で そのまましておくとやがてギヤが軸から空回りを始めて上ローラー自体がまわらなくなり、結果的にカード送りが出来なくなる現象ですので やんわりとギヤがスラスト方向へのずれる運動を抑えてあげればいいだろうという考えです。 これでうまくいけば特に部品を作る必要もなく 単にホースを切って嵌めてやればいいだけですので楽です。 問題がないかどうか今後検証していきます。

 写真を掲載したので再度説明を試みますと この問題の原因は上ローラーの金属の軸が直線状でなく微妙に曲がっているせいではないかと予想されるわけです。 そうしますとピニオンギヤーが嵌っているところが微小なゴマすり運動をするわけです。 その結果ピニオンギヤが下のギヤに押し付けられたり浮いたりを繰り返します。 それで徐々にずれてくるのではないかと予想しているわけです。 なおこのピニオンギヤは軸に単に軽くはまっているだけで圧入されているわけではありません。 ですのでスラスト方向(写真の右側の方向)に簡単に動くのです。 この構造が結果的にアダになっているように見えます。 ずれの原因がギヤ側でなく軸側が問題であると断定しているのは 問題のある上ローラー(軸)を別のメカに取り付けるとずれ現象が移ってくるからです。 この簡単な方法で問題解決することを祈念します。 

2019.12.23  飛び回ってます ピニオンギヤずれ (旧11.27)

  このところ問題が激化?してますピニオンギヤずれ問題ですが 飛び回ってます。 今日も出かけてくることになっています。 製作が押せおせしているこの時期に厳しいことですが しかたありません。 今年のクリスマスシーズンはこの問題に終始した感があります。 まだ過去形ではとてもいえないのですが 私なりに対策を考えました。 問題の上ローラー(黒いプラスチックのはまっているやつ)を外観的に見ただけでは起きるかどうかが判定できないことはわかっています。 しかしこのローラーが原因になっていることも判っています。 ですのでローラーからピニオンギヤが抜けてこないようにキャップを圧入して抑えこむようにしようと思います。 真鍮かアルミのパイプ状の部品を旋盤で削りだします。 これを全メカに装着して出荷するようにしようと思います。 現象が起きるかどうかが客先で使われてから判明するわけですから 手元で出来る対策としては全数をこの対策をしておくしかありません。 また手間とコストがあがります。 ただヘタな部品設計しますとかえって火に油状態になりかねませんので慎重にやります。 そのくらいオルガニートメカの駆動部は精密でデリケートです。 33弁の経験でいやというほど身に沁みています。 予想ですが おそらくメーカーさん側では根本解決は無理なように思います。  出かけるため 今日は短信になります。

2019.12.22  またまたピニオンギヤずれ 続報 (旧11.26)

  一昨日書きました 20弁オルガニートメカにおける上ローラーに嵌っているピニオンギヤーのずれ問題ですが 続報があります。 また発生しました。 保守用にメーカーから支給されていた上ローラーでの発生で 修理したつもりのメカがこの現象に見舞われました。 もっとよくよくチェックしてから出荷すればよかった とつくづく反省していますが まさか保守部品の中に問題ありなのが紛れているとは... 盲点で迂闊でした。 何度か書いているようにこの現象は 私の工房などで製作中や試験演奏最中には起きないのが厄介です。 お客様が使いはじめて少ししてから起きる現象なので困るのです。 結局ご返送頂くかお客様のお手元で修理するしかありません。 メーカーさんにはこれまでよりも 一段トーンを上げて警告する必要がありそうです。 これまで数十台に1台程度だと見ていましたが 実態はもっと発生頻度が高いかもしれません。 現時点では私以外のところからメーカーさんに対して 表だっての障害報告は入っていないとのことですが 不思議です。 私のところでここまで頻発しているのです。 他で出荷したオルガニート製品にこの問題が発生していないことはあり得ないように思います。 ここまで頻発するとなると問題が大きいですから メーカーさんの対応を待っていられません。 こちらでも未然に現象発生を防止する手段を講じることを検討します。 あるとき突然演奏できなくなってしまうという重度な障害ですから。 年末あわただしいときに 面倒なことになってきた気がします。  過去の教訓としてはこういう問題は小さなうちに片付けておかないと 思わぬ大問題に発展し始めます。 そういった意味でこの問題は既に第二ステージに入ってしまった感があります。 寒い時期にメーカーさんに出向くのはいやなのですが これは行ってくるしかないかもしれません。

 ようやく重い腰を... ですが 30弁用の音のキャンバスと 暫定版の1500音増強版音のキャンバスを一般公開しました。 以前からお使いの方にとっては同じものですので 再度インストールしていただく必要はありません。 今後ブラッシュアップして正式版として公開できるように作業します。(いつになるかわかりませんが) こちら

2019.12.21  手回しの“味”をよくする副作用  (旧11.25)

  20弁メカは最近 といいますかここ7〜8年のものは 「手回しの感触が大変重い感じがする」。 と以前に書きました。 要するに味がわるいように感じるのです。 ちょっと前に その原因が2番ピニオンギヤー(軸が可動する)を押さえている針金状のバネの圧力が強すぎるのである。 という趣旨の話をしました。 最近では少しこのバネ圧力を弱めてやることをやってきました。 ですが 弊害が大きいことも判ってきました。 案の定といえばそうなのですが 圧力を弱めてやると 今度はカードを送る駆動伝達能力が不足してきます。 要するにカード送りがギクシャクしてくる局面が生じるわけです。 特に音が混んでいて送りがきつくなる場面とか カードを挿入する最初のエッジの場面などでです。 これはうまくないなと思いました。 このバネはハンドルを正方向に回すときはギヤが噛みあってカード送りがなされ、逆方向に回されたときはギヤが浮くことでカードを逆方向に送られることを防いでいるわけです。 ワンウェイクラッチの役割をうまく作ってあるということです。 ですのであまりバネ圧が弱いと正方向の送りの際にもギヤが浮いてしまってギクシャクするわけです。 今後はあまりばねの圧力を弱めないようにします。 多少の手回しの重さはしかたないといったところです。 

 ちなみに 昔(20年以上前)にあった増速比の大きなハンドル組や 33弁の極初期に作られていたハンドル組はバネ圧でこのワンウェイ機構を実現するのではなく ギヤ同士の圧力関係でうまくワンウェイ機構を実現していました。 実はこの方法が一番スムーズで 結果的に手回し味と両立できます。 おそらく設計変更時にこの増速比の大きなハンドル組の地板(構造)をそのまま使う形で現在のハンドル形式にしようとして 結果的にバネ圧を利用するしかなくなったのではないか??と推測しています。 そう考えると少々無理のある設計なのかな?とも思ったりします。 それでも 10年位昔のオルガニートメカは この手回し味と送りのスムーズさが両立していました。 ということは... 伝達系のギヤになにかしらの異変が起きているのでしょうか? 今のところこのあたりはすっきりとはわかりませんが 今後とも解明していきたいところです。 つくづく微妙で精巧なメカなのだなと思います。 目に見えない製造上の“変化”が 思わぬところに思わぬ影響を及ぼすことになります。 これまで長年このメカを扱ってきましたが 未だに未知の部分が多いことに気づかされます。

2019.12.20  またまたピニオンギヤずれ  (旧11.24)

  20弁オルガニートメカは どうも数十台に一台程度の割合で 上ローラーに嵌っているピニオンギヤがずれてしまう現象が発生します。 先日も1台 その現象が原因で返品がありました。 お客様から見ると演奏中に不意にカード送りが不調になって一瞬止まったように感じるようです。 全くカードが送られなくなってしまうこともあります。 放っておいて使い続けますと徐々に症状は悪化してきます。 以前にも話しましたが メーカーさんの工場や私の工房で製作・調整している段階では発覚しにくいのです。 しばらく使っているうちに症状が現れてくるのが厄介です。 メーカーさんでは既に対策検討に入っているようですが 正確な原因がまだ特定できていないようです。 おそらく上ローラーの金属の軸が微妙に曲がっているのだろうと推測されます。 その微妙さが本当に微妙なのでしょう。 測定できないようです。 ということは(メーカーさんの立場からみると)製造上の瑕疵とも言いにくいところがあります。 もしかしたら設計上の隠れた弱点ともいえるかもしれません。 現実には数十台に1台(私のところでの経験値)の発生率ですから決して無視できる問題ではありません。 お客様からみたら発生メカニズムはイメージできないわけですから 突然演奏ができなくなるように見えます。 使い方が悪かったのか?などと思ってしまいがちです。 お買い求めになってしばらくしてからの発生ですので もしかしたら既にお蔵入りになってしまい発覚しないケースも多いのではないかとも思えます。 このような現象に遭遇された方がいらっしゃいましたらお知らせください。 上ローラーを交換すれば治りますのでメンテナンスいたします。 なお この問題は33弁でもありえることです。 実際に1台発生した経験があります。

2019.12.19  メンテナンスのしやすさ  (旧11.23)

  昨日は都内まで配達に行ってました。 こんな用事でもないとなかなか都内まで出かけることがないので たまにはいいものだと思いました。 最近では宅配料金がとても高いので配達の方がコスト的にもお客様との信頼を高める意味でも有効だなと思うのです。

 今朝は修理案件をやってました モノによっては修理が非常にしにくい構造になっているものありまして なかなか本質でない部分で苦労させられることが多いのが修理作業です。 ネジで外せるようにでもなっていればどうということない箇所がわざわざ接着されていて 剥がすのにえらい苦労を強いられることが一番面倒かなと思います。 オルガニート系オルゴールはメンテナンスして長く使おうという愛着深いユーザーの方が多いですから オルガニート製品を作られる方はぜひ このメンテナンスのし易さを考慮した構造を心がけて欲しいものです。 その点 19世紀や20世紀前半のような昔に作られたオルゴールは全体の構造だけでなく 部品のひとつひとつが修繕や交換のし易さ、それに調整のし易さを念頭に置いた設計がなされています。 現在よりも修理して長く使うという考えがあたりまえだった時代だからでしょう。 それに比べて量産効果やコスト効果を重視し始めた頃からなのでしょうか? 現在ではこのメンテナンス性への考え方はかなり違ってきています。 家電やIT製品などはユニット交換が基本ですし、安い製品はそもそもメンテナンス自体を考慮していないものも多いのが実際のように見受けられます。 修理するより買い換えた方が安くて現実的... というような価格設定もなされているように思います。 要するに使い捨てです。 必然的にモノの寿命も短くなります。 一定期間経過後は保守を打ち切り、あとは知らない〜 なんてことも当たり前のご時世です。 こういった考えが妥当なのかどうかは不明な点もありますが ことオルガニートに関してはそいういう考え方はやめて欲しいですし、 私自身が作っているオルガニート製品はあくまでメンテナンスのし易さ、特に再調整のし易さを重視してデザインしています。

2019.12.18  パッキング  (旧11.22)

  写真は純正律オルガニートや33弁αオルゴールの個装箱です。 ダンボールの仕切りの上にオルゴール本体 下に演奏カードを収納します。 本体の重さでカードがつぶれてしまうのを防ぐためにサポーター(2箇所ある白い部分)を設けています。 演奏カードの切れ端の再利用で手作りしています。 もう一箇所ある白いものは発泡スチロール片でムーブメントを仕入れたときにパッキングされていたものの再利用です。 これは本体のハンドル部分が個装箱に当たらないように保護する役割を持たせています。 手作り感満載のパックですが このとおり資材類は全部再利用です。 これらは 以前にも書きました通り 値上げしない努力の一環でして ムーブメントや個装箱本体など買ってくるものは軒並み値上げの連続でしたのに 他のこと つまり私自身が行う手作業で済むところを増やすことで 原価を押し上げないよう努力しましたし、 副次効果としまして補材類が途中で手に入らなくなるような事態を防ぐことも出来ています。 なにせ長く永く作り続ける製品ですから 意外なところで知恵と工夫と努力が必要なわけです。 いわゆる“高級感”など望むべくもないやり方ですが 手間ひまだけはふんだんにかかっていまして 結果としてお届けできる音は一級品を醸し出せていると自負しています。

2019.12.17  Sp.. 444Hz  (旧11.21)

  昨日はめずらしくSp仕様調律の純正律オルガニートを調整していました。 上げ調律主体のSp仕様は高音部の音ののびがすばらしいです。 高音部のくし歯は特別下げ調律に弱いのでAs 432Hzなどは非常に難易度が高い調律作業になります。逆にSp 444Hzは上げ調律になりますので 難作業でこそあれ 高音部は非常によい結果が出やすいのです。 他の調律では達成できないようなのびのある響きはSpならではです。 Spが本来持っている “世の中の細かいことなど全て忘れさってしまう” ような異次元ともいえる音の感覚をさらに引き立てる高音部の音に調律者本人である私も感動することひとしおです。 とはいえSpは全体としては上げ調律幅の限界領域での作業ですから決して楽なものではありません。 砥石も減りが激しいですし... Asとともに あくまで特殊調律の一種として作業します。 最近ではまず失敗することはありませんが 昔はくし歯をよくオシャカにしたものです。 残骸は今でも保存してあり、当時の失敗を忘れないように... と戒めに使っています。 これから調律師を目指す方は それ相当に失敗を覚悟する必要はあります。 それに見合った喜びもまたありますが。

2019.12.16  フタと身の組み合わせ2  (旧11.20)

  昨日はオルガニートの総組作業を延々とやっていました。 フタと身の組み合わせもだいぶ色々なパターンを試しつつ作業できました。 結果は従来からやっている方式に特別大きな変更はなかったです。 一般に身(つまり響板)は重いものほど音が落ち着いてオルガニートらしい音になります。逆に軽いほど快活に鳴ります。 両者を悪くいうと 前者は地味な音、 後者は落ち着きの乏しい音 ということになりましょうか。 極端に軽いほどいわゆる“箱鳴り”といってノイジーというわけではないですが どことなくチャラチャラした音になる場合もあります。 響板の選び方でオルガニートの音の出方の性質はほぼ決定するといっていいでしょう。 一方のフタの方ですが あまり軽い、重いは大きな影響はないようです。 フタと身の重量バランスが重要だと思ってきましたが それほどでもないようです。 ただ軽いとやはり箱鳴り気味の音にはなりますので その場合は身(響板)の方を重い目のものにしてバランスをとる必要はあります。 私の好みとしましてはフタと身は共に重い目の方が落ち着いた心に深く浸透する音に感じます。 特に33弁においてはこの傾向を守る必要があります。 昨日は1台のメカ(33弁)を色々な身とフタの組み合わせで載せ変えて実験してました。 こんなチャンスは滅多にないので貴重なデータが取れました。 結果は驚くほどの違いがあります。 同じメカ つまり同じ調律とくし歯の音質をもってしても響箱の特性により別物といって過言ではないほどの違いが出ます。 このあたりの組み合わせ方が私の作るオルガニートの真骨頂といえましょうか。 いづれ同じ形状の箱をもっと重い木を使って作って実験してみたいと思います。 いわばプレミアムバージョンとでも言えるのでしょうか。  

 今日は昨日総組したオルガニートを調整する作業です。 メカの噛みあいを箱の最適値に調整したり、場合によってはフタと身の組み合わせを替えるなどして狙った音に近づける作業です。 根気が要る作業ですが これで質が決まってしまいますので慎重な作業を要求されます。 決して版で押したような均質な音にすることはなく むしろ個性豊かな音に仕上げることを心がけています。 木が安定して性能を発揮できるまで少なくとも2〜3日位は置く必要がありますので 出荷直前には出来ない作業です。

2019.12.15  フタと身の組み合わせ  (旧11.19)

  クリスマス前の製作もそろそろ最終局面です。 この週末は響箱のフタと身の組み合わせをしています。 それぞれの重さを測っておいて 組み合わせます。 このやり方で出る音の質や雰囲気は大幅に変わってきますので製作上の最重要な局面です。 いつもはそれぞれ重いものと軽いものを組合わせるようにしていますが 今回はだいぶ多めに作ったこともあり もう少し精密にデータ取りしてみようと思っています。 写真はまだ仮あわせの状態です。 特に33弁は響箱を厳密に選ぶ必要があるため このくらいの母数からでも満足いく響きの得られるものがチョイスできるかどうか不明です。 33弁はメカの生産量も極端に少ないのですが 響箱もなかなかレアなものになりがちです。 とはいえこの組み合わせ作業が一番楽しいといいましょうか、実感が大きい作業です。 狙ったとおりの音が出るかどうかの瞬間ですので 醍醐味といえばその通りです。 製作者の私だけが享受できる特権かもしれません。 何度か書いてますが 私のこの組み合わせを決定する作業を“(フタと身の)結婚”と呼んでいます。 ここにメカが内包されるわけですのでこれも結婚というのでしょうか。 最適なチョイス(出会い)はどの世界でも大切なことのようです。  最近では木やメカとの会話が出来るようになったのでしょうか? 大抵は一発で最適な組み合わせが実現できることが非常に多いです。 それでも中には何度か相手を替えることもあります。

2019.12.14  純正律化のリスクと付加価値  (旧11.18)

  私の工房には常に修理や再調整のオルゴールがあります。多いときは5〜6件程度重なることもあります。 特にオルガニートは古いものを修理調整して長く永く使おうという方が多いのでしょう。 素敵なことだと思います。 またオルガニートのメカ自体も修理するのに適した構造になっているように思います。 他のオルゴールに比べて ということではありますが。 修理の際についでにといいましょうか 純正律化を依頼されることもよくあります。 私の感覚としてはとてもよいことで オルガニート20の音響性能を最大に発揮するには純正律化はよい選択枝だと思っています。 ただ人さまのオルガニートをいじるというのは それはそれでリスクがあります。 もしそれがお気に召さないというような事態になった場合を考えてのことです。 そういった場合 くし歯を削って調整してしまいますと元に戻すのは事実上不可能ですので そういった事態になった場合は手元の新品のくし歯に取替えてお返しするということになります。 幸いなことにこれまでの長い修理サービスの全提供期間を通じて 純正律化の結果にご不満があって元に戻すといったケースは1件もありませんでしたのでよかったわけですが 調律はいわゆる “不可逆加工” ですのでそれなりのリスクは伴うわけです。

 33弁の調律替えはかなりリスキーですので気を使います。 20弁とはくし歯のお値段が桁違いですので失敗した場合のリスクは甚大です。 ご注文頂く際にどの調律パターンが良いかは必ずお客様に確認するようにしています。 特に33弁は純正律化による付加価値の増大が大きいですから 作業も慎重に確実になるように気を使います。 このような最適調律化という付加価値付けをやっているのは現時点では私のところだけです。 33弁はこういうことができないと商品としての価値付けが難しいと思っています。 いつの日かこういった価値付けが出来る方がもっと現れて欲しいとも願って調律技術を広めたいと 少しづつですが行動もしてきています。

2019.12.13  音響セパレート仕様のビス  (旧11.17)

  写真はダブルドット仕様で使うビス(木ネジ)です。 響箱のフタと身を結合するにあたって 音響的につながらないように工夫してあります。 色々考えましたが現時点での最終的にこういうものになりました。 GB(ジャーマンブラウン)色の丸頭木ネジに硬質フェルトのパットとシリコンチューブを組み合わせました。 最初はこのパットとチューブの部分を軟質プラスチックかシリコン材の一体成型もので作ろうかとも思いましたが 結局コストと性能をあわせて考えるとこの形が一番リーズナブルで効果が高いと判断しました。 たかがネジとはいえここまで“凝った”作りにするとかなり手間がかかります。 特にパットの部分は丸く抜いて、穴をあけて... と結構作業量は多いです。 昨日は丸1日かけて製作していました。 製作期間が長くなる原因の一つになってしまいましたが それでもその効果の高さを考えると手は抜けません。 シリコンのチューブはネジが身(メカが載っている本体)の板に直接触れることがないようにセパレートする重要な部分です。 細かい点ですがネジは組み立ての際に何度か開け閉めしながら音響調整をしますので その際にこのシリコンチューブがうまくはまったままでいてくれることが重要です。 メンテナンスのときにチューブがどこかに外れてしまった などということがないように考えてこの形になりました。 簡単なものですが案外精密に考慮された構造なのです。 この方式ですと金属のネジはフタの方に結合していて身の方からはセパレートされていることになります。 パットは両面粘着シート付のもので いわば音響的に不活性なワッシャーの役割を果たします。 どうということないアイディアですが ここまで来るにはかなりの時間がかかりました。 結果としてはかなり効果が高いようで この方式にしてから音響特性は大幅に改善されました。 将来はもっといいアイディアが出るかもしれませんが当面はこの方式で行こうと思っています。

2019.12.12  まんだら2  (旧11.16)

  昨日というかここ数日 とりつかれたかのように書いています “まんだら” の世界観ですが 案外簡単なことを言ってまして、 要するに 「音は作られる過程とその人の心持ちの(時間経過を含む)全てが凝縮されて発せられる。」 という感覚です。 オルゴールを作る人、つまり私がどんな心持ちで作ったか? どんな状態で作ったか?が 発する音に全て出る ということです。 発する音にはそこに至る全てのプロセス(歴史)が凝縮されて含まれている。 という感じでしょうか。 これは考え様によっては恐ろしいことです。 判る人には音を聴かれただけで全てがわかってしまうわけです。 明確には判らなくても “なんとなく” 感じるものは誰にでもあるはずです。 音楽家が人前で演奏することはその人の全て まさに全てがさらけ出される訳です。 美術家がその作品を公開するということは その人の人となりが全て凝縮して丸見えになるわけです。 中国やインドでは森羅万象の大元・根源にある “元素” という考え方があります。 これは近代科学がいう酸素や炭素といった元素とは違うものですが この元素のレベルで見ると全てはまさに まんだら であり、隠し事やごまかしなど一切できないことが明らかです。 オルゴールを製作するにあたって心持ちや精神状態を最良・最高に保って臨まなくては 本質的によいオルゴールは出来ないということを言いたい訳です。 そうでない状態で無理して作ったオルゴールはきちんと“それなり”のものになるということです。 元素レベルで見たら丸わかりのバレバレなのです。 このあたりまえなことを肝に命じておきたいと認識を新たにした今日この頃です。

 ここ数日、旅行や慣れないテラピーのまねごとなどの余波もあってか?バチがあたったのか? 少々ミニスランプ気味でして 製作の仕事を休んでました。 気が乗らないときは上記の如く製作作業などすべきではないのです。 さもないと“乗らない”気持ちを示す元素がまんだら状にオルゴールに転写されてしまいます。 一度そうなったオルゴールは絶対に修正できません。 なんとか今日からは再開できそうな “気持ち” になってきましたのでやれると思います。 最高の状態で作る!これが使命だとつくづく思います。 私には気持ちを無視した 決められた曜日の決められた時間に決められた場所で決められた内容と量を機械的にこなす... といった“おシゴト”行動は逆立ちしても出来ないと思います。

2019.12.11  まんだら  (旧11.15)

  “まんだら”というのをご存知でしょうか。 よくチベットの絵画などに出てくるあれです。 現代風に言いますと“フラクタル”となりましょうか。 それ自身のどのような部分を取り出しても全体の情報を内包しているものを言います。 これを応用した技術が “ホログラム” です。 私が最近とても興味を持っているのが この まんだら です。 音はこのまんだらが本質なのではないか?という思いです。 この宇宙の構造そのものがまんだらだと思います。 昨日書いたように一見すると音は一過性の風のようにも感じます。 出てしまえばそれで消えてしまうようにも見える(?)わけです。 でも実際は音はどこかにその本質が記憶され、永久に消えずに残っているように感じてならないのです。 耳の感覚は消えても音の本質は残る... なんだか哲学的、形而上学的な話になってきましたが 目下興味を持っている世界観です。 ですので“発音”する瞬間だけに意識を向け、後は野となれ山となれ とするのではなく全体・過去未来全てを意識することが大切なのだと思うことがよくあります。 まだここで偉そうに書ける段階ではありませんが 今後もこういった見方で音への取り組みを続けたいとは思っております。 まず今現在は製作の作業に勤しみます。

2019.12.10  もう師走も中旬に  (旧11.14)

  この12月〜年明け3月までは本当にときの経過が早いです。 なにか原因はわかりませんがせわしない流れを感じることが多いです。 つとめて “ゆったり” を心がけてはいますが 特に11月〜12月はご注文も多い時期ですし、 年の変わり目や年度の変わり目というタイミングを意識するせいでしょうか 無意識の内に期限を切られているようなそんな切羽詰ったかのような気分になりがちなのがいけません。 個人事業者にとっては決算期であったりすることも起因しているかもしれません。

 一昨日の信州でのサウンドテラピーのことですが 帰ってからも色々考えていました。 音が醸し出す調和についてです。 一般的には簡単な分数比で表される複数の周波数の音ほどよく調和する。 といわれています。 実際にその通りに聴こえます。 ただそこに曲の概念、つまり時系列的な“変化”をつけていくとすると話が変わってきます。 音や曲というのは去来する風の性質を持っているわけです。 この移り変わりをどう使うかによってテラピーとしての効果が大きく変わってくるのだろうと思います。 平たく言えば 専用の曲 つまり音の変化体系を作ることに帰着するように思います。 変化しない単音をずっと聴いているタイプのテラピー (例えば音叉を使う)とはだいぶ様相が異なってきますし、 音、音のセット(音律)をよくよく考えて曲づくりをする必要があります。 そういえば現代の商業音楽はこの“変化”の仕方がむしろ人の自然な感覚を逆撫でするような作りになっていると感じることがよくあります。 先ほどの師走の話題から推測できるように期限を切って時の流れにある種の心理的制約を課すことが 好ましい変化の仕方を阻害しているのではないかとも思えます。 宇宙律に出会ってからというもの 私の内部では感じ方、考え方が多分に変化してきたような気がします。 よい流れだと思います。 共に研究する方を歓迎したいです。

2019.12.9  サウンドテラピーのまねごと  (旧11.13)

  ここ2日ほど日記の更新を休んでいましたが 信州に行ってました。 恐ろしく寒くなる直前ということでこの冬最後のチャンスとばかりに出かけてきました。 地元でミニコンサートが開催されまして 手回しオルゴール演奏で参加してきました。 今回の出し物は “サウンドテラピー” 。 具体的には例の“宇宙律”33弁αオルゴールで演奏してきただけですが 人前で宇宙律のまとまった演奏をするのは初めての経験だったので貴重でした。 この宇宙律は何の説明もなしにただ演奏しても その特徴や効能?にはおそらく誰も気づかないだろうと思います。 そのくらい自然に溶け込んだような音のセットです。 ですので今回の演奏では少し説明も付け加えての出演になりました。 「この曲はみなさんの体のxxに微妙に感じると思いますよ。」 という風に事前に告知しておいてから演奏しました。 みなさん感じて下さったかどうかは分らない点が多いですが 概ね好反応が返ってきましたので成功だったかなと思えます。 こういったセラピーのマネゴトみたいなことをやると心身が非常に疲れます。 人々から出た(取り除かれた)悪いエネルギーをこちらがもらってしまうせいでしょう。 ですのでこういったことはあまりやらないのですが 反応を直接見る・感じることが出来るチャンスは少ないですから敢えてやってみたという次第です。 よい経験になりましたし 宇宙律を生かすのにどんな“曲”をどのようにアレンジして用意すればいいのか 少しだけですが判ってきたような気もします。 まだまだ研究途上の音律ですので 当面はこういった機会を積極的に利用させて頂こうと思っています。 今日は旅疲れでして、ゆっくりさせてもらいます。

12.9追記 セラピーではなくテラピーでした。訂正します。 あまりよく分ってないのがバレバレですね。

 

2019.12.6  ビーズワックス  (旧11.10)

  これまでも何度か書いてきましたが 私が作る響箱にはビーズワックス(蜜蝋ワックス)での仕上げを施しています。 これをやっているかいないかで10年後くらい先の色褪せが違ってきます。 それにワックスを強く布で拭きこむことで木の表面を引き締める効果もあります。 元よりオルガニートは響箱自体に手で触れることが多いですから手触りがよいのもよいところですし、やはり化学的なものよりも安心できます。 いいことづくめのワックスです。 

 実際に拭きこみ作業をしていて実に心地よい疲れを感じます。 かなりの力を入れての作業になりますので 指はかなり痛くなりますがすぐに回復もします。 蜜蝋の効能は大きいと思います。 おそらく商品としてお客様のところに届く頃にはあの独特の香りは消えているとは思いますが よく鼻を近づけていただくとほんのりと香るのではないかと思います。  世界的にミツバチが激減しているとの話もあり、心配でもあります。 変な農薬はやめて欲しいと心から思う次第です。

 昨日は更新を休んでおりましたが出張していました。 写真は昨日のワンショット。 懐かしい東急東横電車の通称“あおむし”号です。 今でもとある地方で活躍していました。 こういう心こもった愛嬌のある形というのが最近では少ないです。 みんなイカつい怖面の顔つきや ハートはどこにあるのだ?と思えるような冷たいフォルムのものばかりになってしまいました。 金型技術が極限まで発達して いかなる造形でも成型が可能になった現在の方がモノにハートが無くなっているように感じるのは悲しいことかと思います。

12.6追記 明日7日〜8日は所用のため日記更新をお休みします。 それから写真の電車は東急ではなく国鉄の湘南型電車ですね。 鉄道にあまり詳しくないので失礼しました。

2019.12.4  改善の宝庫  (旧11.8)

  現在は響箱の組み立てが最盛期です。 写真の通りかなり作れてはきましたが まだ先は長いといったところです。 今月中旬の納品に向けて急ピッチといったところです。 こうして沢山作っているときこそが改善の宝庫でもあります。 普段ちょぼちょぼと作っている時は多少の手数はなんとも思いませんが 沢山となるとどうしても より作りやすく という改善欲求が出てきます。 これこそが“次”につながりますし、多少なりとも品質向上にもつながるものです。 時間があるはずのヒマなときは 改善などに頭が向きませんのでむしろ停滞するという感じでしょうか。 こうして作り続けられることこそが宝なのです。 ありがたいことです。以前にお話しました通り 響箱 とくに33弁向けのものは箱の組み合わせで音の良し悪しの明暗がはっきり分かれます。 ですので常にある程度の数は作っておいて組み合わせで最良の音になる響箱を組合わせるのです。 33弁αが茶一色しかないのは特に33弁における組み合わせがなかなかシビアなことに起因します。 他の色 赤やナチュラルはあまり数を作らないので組み合わせ自由度が小さいですから33弁には無理なのです。

2019.12.3  ジェット機の低周波騒音  (旧11.7)

  調律作業をやっていて最大の難敵。 それはジェット機の騒音です。 我が家は羽田空港から20キロ位の位置にありまして 羽田発で西へ向かう飛行機の航空路の真っ只中にあります。 最近は4本滑走路体制になったせいで我が家を挟んで南側と北側の2航路で飛び交います。 しかも離陸直後で盛んに高度を上げている最中ですのでジェットエンジンの騒音は相当なものがあります。 慣れっこになってますので普段はあまり気になることはないのですが こと調律作業となると静寂を求めることもあり このノイズが大変厄介なのです。 ジェットノイズはかなりの低音ノイズで、独特の波形を持っているのでしょう。 てきめんに音高測定チューナーの針を乱します。 ひどいときには何を測ってるのだか分らなくなるほどです。 耳に聴こえる感覚以上に影響大です。 ジェット機が通り過ぎるのを待つのですが 羽田はそれはそれはすごくて次から次へと飛びますので厄介です。 ひっきりなしといっても過言ではありません。 では夕方から夜は?といいますと これまたよく飛ぶのです。 この低周波、超低周波ノイズというのは窓を閉め切っていても遮音効果はありません。 耳には聴こえにくくても測定器はしっかりと捉えてしまいます。 困ったものです。 ここは地上の車やバイクの車両ノイズよりも空のノイズの方が多いのです。 他にも最近深刻なのは軍用ヘリやエアコンの室外機の低周波騒音です。 神奈川は沖縄と並んで基地の多い場所です。 ここ7〜8年明らかに軍用機の飛来は増えました。 これもなかなかもって厄介です。 調律作業をするのには もっともっと環境のいい処に引っ越さないとダメかもしれません。 調律作業に限らず低周波騒音は人の潜在意識に甚大な悪影響があるものと思われます。

2019.12.2  カード挿入練習用カード  (旧11.6)

  初めてオルガニートを扱われる方にとって 案外“難所”なのはカードの挿入と演奏開始までのプロセスです。 慣れた方にとっては無意識にやっているところですが 全く初めての方にとっては 「どこまで挿入していいの?」 「どこで手回し始めればいいの?」 といったところが感覚的につかめないことが多いのです。 一旦つかめてしまえば問題なく使えるのですが 最初の一歩が... です。 出だしの出だしでつまづいてしまうと興ざめにもなりかねません。 それでは申し訳ないです。 そこで今後は カード挿入練習用カード というのを添付しようと思います。 カードをどこまで挿入すればいいのか線で示すことで 分り易くすることが第一です。 そのカード自体に挿入の仕方やコツを説明文として印刷しておこうという趣向です。 素敵な曲の断片(一部)を入れておくとおしゃれで印象深いかもしれません。  特に33弁は挿入のスムーズさがどうしても20弁に比べて劣ります。(以前にお話した改善をしても です。)  一歩一歩改善が大切です。 まったく初めてオルガニートに触る方へのさりげない配慮ということを完全に忘れていたことを認識した次第です。 良い音で鳴るとか鳴らないとかいう演奏出来た後のことにはかなりの配慮をしているつもりでしたが それ以前の話に思いが向いていないことが問題でした。

 昨日までかなりハードに作業してましたので 今日は少しペースダウンしています。 雨模様ということもあり、出来ない作業もありますので それをいいことに。 ハードといっても世間のおシゴト人の方の仕事ぶりと比べたら遊んでるようなものかもしれませんが それはそれ、 我ながら結構まじめにはやってます。 

2019.12.1  手抜きしてはならない  (旧11.5)

  最近の20弁オルガニートメカは各部への給油が省略されているようです。 少なくとも7〜8年以上前のメカは全数がきちっと油付けがなされていました。 おさえ板(メーカーさんでは整列板というそうです)の耳の部分や板ばねとフレーム部が触れるところ、それにハンドル組の各部など 給油が足りないか 全くもって省略されているようです。 私は全数を再調律する関係で こういった箇所に全て油をつけなおしますので問題ないですが ノーマルなメカをそのまま搭載する使い方の方はどうしているのでしょう。

 オルゴールは全般に 「古いものほどよい」 という風に言われますが オルガニートも例外ではないような気もします。 要するに近代になればなるほど生産効率優先の風潮に押されてでしょうか? 細かい処や 見落とされがちな目立たないところへの配慮から順番にダメになっていくようです。 現在生産されているものはオルゴールに限らずそういったものが多々見受けられるように感じます。 中には本当に細部まで丁寧に配慮が行き届いていて気持ちよいものもありますが 急激に少数派になっています。 ことオルゴールはそれはそれは長く永く作り続けられう製品ですから 細かい処や目立たない処への配慮が欠けていくと いづれは大問題につながり、結局は元に戻すか 致命傷となり消滅するかしかなくなります。 たかが油付けですが 決してあなどれません。 手抜きは絶対にいけません。 自分の首を真綿で締め付けるようなものです。

2019.11.30  セオリー破りはケガのもと  (旧11.4)

  もう7〜8年前のことになりましょうか。 出張先で紙カードを作る実演をしていたことがありまして 作業中に人から声をかけられまして ふっとよそ見した瞬間に動かしていたカッターナイフの刃物で指を切ったことがあります。 刃物を使っているときは絶対によそ見や“ながら”はご法度というセオリーを破ったために事故でした。 3針縫いました。 指先だったので大変な痛みと出血で 正直な話 死ぬかと思いました。 刃物や火は特にセオリーを厳守することを忘れてはなりません。 あれからは紙をカットする動作の度にあの悪夢を思い出し、セオリーを再確認するようになりました。 よい経験だったのでしょう。 今でも古傷として疼くようなときがあります。 忘れさった頃が一番危ないのは災害と同じです。 気をつけましょう。

 ところで33弁αの生産状況ですが かなり持ち直しましてメカ在庫は充分とはいえないまでも確保できてきています。 ご注文くださればすぐに納期回答ができるようになりました。 品質的にもかつてないほど安定してきた感があります。 メーカーさんの努力に感謝です。 宇宙律の仮ラインナップと相まって33弁αは 「生まれ変わった!」 といって過言ではないように思います。 一時期は大変な状況でしたが結果としてお客様に重大な問題を背負わせることもなく改善できたのは大変よかったと思います。 改めてメーカーさんに感謝したいです。 もちろんこのオルゴールは手放しで(つまり20弁並に手軽に)その性能を発揮できるよう扱えるようになるには まだまだ改善の余地はあります。 たゆまぬ努力は欠かせないと気を引き締めております。

2019.11.29  紙カットの道具を考案しないと  (旧11.3)

  紙カードのカットは以前にお話しましたように 現在はディスクカッターという道具を使っていますが 実はどうしても細かい寸法に誤差が出がちでして悩みどころです。 細かいというのはコンマ1ミリ単位ですのでかなり高精度ではあるのですがそれでも不満が残るほど オルガニートの紙カードを満足いくように作るのは難しいということです。 今考えていましてこれから試作に入りたいと思っていますのは ズバリ “二枚刃” カッターです。 ひげそりみたいな雰囲気の名前ですが 要するに69.5mm幅できちっと刃物を2枚配置したカッターを作るということです。 そうすれば直線切りが多少蛇行したとしても幅は確保されます。 幅さえなんとか精度が出ていれば演奏には差し支えはありません。 実際問題として1メートルを超える長さの紙カードを完全な直線にカットするのは実に至難なのです。 定規をあててカットしても その定規自体がコンマ何ミリ単位で直線から外れています。 どこまでカットのテクを磨いたところで限度はあるということです。 みなさんも考案してみてください。 そして情報交換しましょう。 私もやります。 うまくいってもいかなくても情報共有することは大切だと思います。 2枚刃方式も原理は簡単ですが 実際に使えるようにするには かなりの工夫が必要です。 相手は長尺の紙であることを忘れてはなりません。 また進みましたら報告します。 今日はアイディアレベルでのお話でした。 日々改善!です。

2019.11.28  恐怖のドレミ 嘆きのファソラ  (旧11.2)

  写真は20弁オルガニートのくし歯です。 調律中の状態で裏面を上にして治具にセットしています。 高音部のいくつかが写っていますが 右側から6番目〜4番目のくし歯は音でいうとドレミになります。 この音を調律するのがいつも恐怖です。 怖いというよりやりにくいといったところです。 見てのとおり先端にダンパーがついていますが 上げ調律をするときに この先端付近を削るというのは何度か説明しました。 ダンパーの近くを削ることになるのが非常にやりにくいということで恐怖なのです。 ダンパーフィルムを吹っ飛ばしてしまうのもしばしばで 付け直しになります。 加えてこのあたりから上のくし歯は 見ての通り形状が細くてストレートです。 ちょっとした削り方で根元と先端のバランスが崩れてしまうため、伸びのある音を確保するのが非常に難しいところでもあるわけです。 調律作業の目的は主に音の高さ(周波数)を合わせることですが 実は音の質を整えるという作業も兼ねています。 特に高音部はちょっとした削り方で音の質(伸びも含む)が大きく変わってしまいますので慎重な作業が求められます。 失敗するとカウンターを当てるのが難しい領域の音でもあり一発勝負!、やはり恐怖なのです。

  さらに高音側のファソラの音は“嘆き”が出るほど調整が難しいです。 メーカーさんはよくこの形状のくし歯でまともな音が出るように調整できているなと感心します。 私は独特な削り方でなんとかしのいでいますが。 とにかく砥石のひとスリでオシャカ!が現実になりがちな部分でして 嘆きたくもなるというものです。 たとえ満点から多少減点アリな出来であっても ヘタに色気を出すとかえって墓穴を掘りがちですので 適当なところでやめておかねばなりません。 いつもなんらかの不満が残る部分でもあります。 長年の技といいましょうか 私は失敗に終わることはまずありませんが ご自分で調律をされる場合は最も注意すべき難所だと思います。 今日は暗いな話題になってしまいました。

2019.11.27  やぎさんのふりかけ  (旧11.1)

  写真左は私が “やぎさんのふりかけ” と呼んでいますカードパンチで出る抜きカスです。 昨日までの作業でも豆腐の容器1杯分くらい(約5万位?)出ました。 さっさと捨てればいいのに 性分なのでしょうか? こういうものほどとっておく癖があります。 まぁ やぎさんにとっても紙が硬すぎて食べられないかもしれません。 どなたか有効活用できる方いましたらさし上げます。

  写真右はパンチマシン(2号機)のぬきカス排出口です。 刃物で上から下に抜きますのでカスは下から排出されます。 ちょうど直動スライドレール上を滑るコマの間から出てきます。 ちょこっとカスが写ってます。 うまくレールやベースプレートを避けるように下に排出されるように工夫してあります。 上手く作らないとぬきカスが詰まってしまって大変なことになります。 溜まりにたまったカスが一気に爆発するかのように “ぶちまけ” られることがあります。 当然ながら部屋中が大変なことになります。 私はこれを “パンチ爆発” と呼び習わしています。 昔はよくありました。 特に湿気の多い日にパンチすると抜きカスが微妙に湿っているせいでしょうか スムーズな排出にならずたまってしまい、しまいには爆発するようです。 たかが紙の打ち抜きではありますが 案外ノウハウがあります。 写真にある通り排出口の前には透明なフラップを付けてあります。 これがないとカスがうまくカス受けに落ちず、周囲に散乱しがちです。 といってヘタなものを取り付けると今度は乾燥時に静電気でくっついてしまいます。 紙加工は機械化するにも色々と面倒なことはあります。 雨が続いてますので木工系作業ができません。 ですので今日は調律の作業をしようと思います。

2019.11.26  パンチマシンに給油  (旧10.30)

  このところ2階での作業を定着化するのに色々動いてまして この手の話題ばかりになります。 写真は2階で稼動し始めたカードパンチ環境です。 既に一昨日とはレイアウトが異なっています。 パンチはPCとの連携作業になりますので どうしてもPCと隣り合わせでパンチマシンがないとやりにくいので 結局こうなりました。 作業台は立ち仕事でマシンを操作するのに丁度よい高さに設計しました。 普通の机よりかなり天板位置が高いです。 作業位置の高低によるちょっとした腰への負担がなかなか堪える歳になってきましたので什器も慎重に設計します。 まだこれで決定ではありませんが 当面これでやってみます。 マシンの後ろ側に1x4(わんばいふぉー)木材が立ってますが これはマシンにローディング(挿入)するカードをガイドするものです。 紙カードが適度な角度で立ち気味にセットしてありますと マシンがカードを吸い込んでいくのに重力が助けになりますのでスムーズです。 大体1メートル内外のカードまではこれで対応できます。 これを超える数メートル規模のカードになりますとローディングの仕方は変わってきます。 うまく作業できそうならこの形でローダー治具としてちゃんとしたのを作ります。 こうして少しづつ改善しながら作業の質を高めていく努力が大切です。

 昨日は大量のパンチ作業をやっていまして だいたい150枚程度でしょうか? 穴数にすればその300倍程度。 4万〜5万パンチ位を一日でやってしまいます。 パンチマシンでないと出来ない“生産”活動です。 といいつつ 不意にマシンのシークエラーが起きました。 シークエラーとは刃物台を左右(カードの低音・高音側)の適切なトラック位置まで動かす時に動きに乱れが生じることを言います。 穴位置がずれますのでそのカードのパンチは失敗になります。 すいぶん久々に経験しました。 自動マシンとはときおりこういった不具合に見舞われるものです。 私は設計者であり、製作者でもありますから すぐに原因がわかりますので 昨日のところはギヤー系に給油して事なきを得ました。

 これが第三者向けのマシンであったら これで 「トラブル発生!パンチがおかしい!どうにかして!」 ということになり、駆けつけるか 送り返してもらうかして対処しなくてはならないかもしれません。 何が言いたいかといいますと 人さまに使って頂くマシンというのは今私が自ら作って使っているマシンとは異なるノウハウと工夫が必要であるということです。 たとえやり方が同じでも人さまの手元に行っているマシンをメンテナンスするということは自身で手元で使っている状況とは根本的に異なるということです。 おそらくリモートで一次切り分け(原因の概略をつかむこと)をするための仕掛けも入れておかねばならないでしょう。 その分手間もコストも桁違いにかかるということが一般的です。 おそらくですが 上の写真程度のマシンを人さま向けに製作・販売したとすると おそらく大台に乗ってしまう程度のお値段になるでしょう。 自分用と人さま用は根本の思想・設計から異なるということです。 なかなか悩ましいところであります。 多くの方がおっしゃるよう確かに オルガニートユーザーの一家に一台は欲しいマシンではありますでしょうけど...  画期的な新方式を発想する必要がありそうです。

11.26追記 今日は2号機はさらにトラブル発生でてんやわんやでした。 Y軸(時間軸)方向の送りがうまくいかず 結果的にパンチした曲が寸詰まりになってしまいます。 原因はカードを送るメカがスムーズでなかったようで 一旦分解・清掃・給油をしたら元に戻りました。 トラブルに至らないとなかなかメンテナンスしないのがいけないようでした。 おかげで今は快調に使えています。

2019.11.25  作業場の冬支度 その3  (旧10.29)

  作業場を2階に移す作業もだいぶ進んできました。 オルガニートのカードを製作する上で紙のストックはなかなか面倒なことです。 四六版といわれる大きな紙から切り出して長尺のカードを作りますので その保管と取り回しが必要になります。 写真左は今回作った 用紙のストッカーです。 なんとダンボール製です。 これまでは1階の電子工作室と呼んでいた部屋の片隅にあったダンボール箱を改造して作りました。 3段形式でして 下の2段はこれから印刷するための用紙入れ(1092mm長のものと768mm長のものの2種類)、 3段目は白紙のままカードパンチするための幅69.5mmに断裁したカード入れです。 天井には作業中のカード類を置けるようにしました。 全体をキャスターで動かせるようにして長尺用紙入れが普段邪魔にならないように隅に寄せておけるようにしました。 ダンボール製なのでそう長くは持たないかもしれませんし、正直 重い紙を入れておくとフラつきますのでPPバンドで縛ってあるという体たらくですが この冬の間位は役立ってくれるでしょう。 春以降はまた改善を考えます。 写真右はそのストッカーを含めたこの冬仕様の2階作業場です。 ここでカードの印刷、パンチ、それに音キャンのCDなども製作できるようにします。 写真の左端にパンチマシンの2号機が写っていますが 置き台はキッチンで使っていたワゴンです。 これもキャスター付きですので中々便利に再利用しています。 まだ1階に部材の一部がありますので できるだけ2階にあげて いちいち1階2階を往復しなくても済むようにしようと思います。 作業環境を工夫・改善するのはとても有意義で楽しいですし、作業自体の質も向上しますので有効です。 ちょっとした部屋の模様替えの感覚でやっています。 本格的冬の訪れは近いです。

2019.11.24  作業場の冬支度 その2  (旧10.28)

  以前に冬は一部の作業場を暖かい2階部屋に移すことをお話しました。 例年は調律の作業だけを移していましたが、今年からはカードパンチの作業も2階に移すことにしました。 カードパンチは殆どの時間 人は待って監視しているだけですので1階の部屋ですと寒くて大変ですので。  歳のせいかだんだん寒いのが堪えるようになってきました。 できるだけ一部屋に暖房をいれて篭りきりで作業できるようにします。 夏の2階の部屋は熱帯状態でとても作業できませんので 来春以降はまた1階に戻します。 写真はパンチマシンやPCなどを置く作業台で 急ごしらえ2〜3時間で作りました。 家にあった材料だけでほぼ作りました。 天板は和裁用の裁ち板です。 買ってきたのは100均セリアさんでMDFボード3枚で330円(税込み)だけで脚の部分の筋交いに使いました。 コツはネジを外せばバラバラの素材に戻るようにしておくことです。 次の機会には別の用途に使いまわします。 MDF板は三角に切ってしましましたが この板は丸いフェルトパットなどを抜く際に下敷きとして再利用しますので形はどうでもいいというわけです。 まだ配線系統が仮のままですが、当面これで作業してみます。 改善点としては中間に棚をつってカード用紙などを置けるようにしてやると使い勝手が向上しますでしょうか。 少しづつやっていきます。 モノづくりには適切な道具作りと使いやすい什器作りが欠かせません。 外はだいぶ寒くなってきました。

追記 パンチマシンの3号機(右の写真の中央にある)は故障していました。 しばらくドック入りで修理にかかることになります。 現在は右端の2号機オンリーが稼動マシンということになります。 全滅のリスクもありますので3号機は早期に修理します。

 

2019.11.23  カタ音  (旧10.27)

  これまで殆ど問題としてこなった20弁オルガニートメカの不具合があります。 カタ音と名づけていますが メカをカードを入れずにハンドルを回すと 抑え板が時々カタっと持ち上がるように動く現象です。 数台に1台くらいは発生しています。 特に演奏に差し支えないようなので問題視して来ませんでしたが 一応共有しておこうと思いまして書いておきます。 原因は爪車のある軸にはまっている白いプラスチック製スペーサーに いわゆる“ランナー痕” という小突起が残っているためです。 写真では分りにくいですが赤い○の中にあります。小さな突起状です。 ランナーというのはプラモデルを作る人でしたらわかると思いますが 部品がフレーム状のものでつながっているのをご存知でしょう。 あれがランナーでして、成型時に溶けたプラ素材を流し込むそそぎ口の役割を果たしています。 もちろん成型後には切り離すのですが この切り離しが不完全ですとヘソのような跡が残ります。 あれです。 プラモデラーの人は丁寧にヤスリやナイフで処理すると思います。 オルガニートのプラスペーサーも射出成型で作っていますのでランナーを切り離す工程はあります。 その際に完全に切れていないものが散在するということのようです。 結果としてスペーサーの外周部に突起状のものが残りますので これが押さえ板を押し上げて “カタ” っとなるわけです。 私のところではこれを見つけた場合はこの突起状のランナー痕を丁寧に削り取っていますので問題はありません。 この跡が残っていても演奏自体には支障は出ないようですが 微妙にカードに跡がつくことはあると思います。 ここ数年の間に頻発するようになりました。 それ以前には全くなかったことですので 何か工程状に変化があったのかと思われます。 33弁では今のところこの問題はありません。 こうした小さな変化にも目を光らせておくことが重要だと思っています。 知らぬ内に致命傷に発展しないとも限りませんので。

2019.11.22  響箱の特徴・特性を左右するもの  (旧10.26)

  昨日の記事で響箱の違いによって出る音の性質が違ってくることをお話しました。 あくまで私の経験からの話ですので もしかしたら一般的な話ではないのかもしれませんが もう少しお話しておこうと思います。 私は響箱の特性を代表するパラメータとして “重さ” を重視しています。 えらくアバウトに聞こえるかとは思いますが この重さは案外 音に効いてくるのがわかっています。 重い箱は重い音 軽い箱は軽い音 それほど単純ではないですが案外こんな感じで組み合わせの候補を選ぶとうまくいきます。 軽い音というのは “よく鳴るのだけど 何故かわからないがどことなく深みに欠ける音” というようなニュアンスです。 重い音というのは “鳴りはどことなく寸詰まり気味な感じだけど 音色や余韻の表情は結構いい!” みたいな感じです。 重い・軽いといっても 私の作る響箱でいうとフタ、身 それぞれせいぜい10グラム程度の差です。 割合にして5〜7パーセント程度の違いでしょうか。 これが意外にも音の表情を代表するようなパラメータになっているのです。 要するに重いフタと軽い身を組合わせる というような感じでとりあえず決めていきます。 中くらいの重さのはそれ同士で組み合わせます。 非常に原始的なやり方ですが 案外これで狙った響き・表情の響箱になります。 最終的には再度組み合わせを替えることもありますが 大抵は一発でOKです。 私はこれをフタと身の(運命?の)結婚と呼んでいます。 幸いなことにセンの木は実に色々な重さの部分があり、バリエーション豊かですので 単一樹種を使っているのに、この組み合わせに困ることはまずありません。 なれてくると手で持っただけで 鳴り方・音色がだいたい想像できるようになります。 こうして極力狙った音の表情になるように作っています。 メカの調律による表情の違いもあり、かなり豊かで個性的な音創りが出来ていると思っています。 楽器作りの人は同じ原理でもっと高度なことをやっていると思います。 要するに特性の異なる複数の樹種を組合わせることで狙った特性を実現しているのです。 私の方はといえば こうして敢えて文章で書くほど大したことをやっているわけではありませんが 今のところうまくいっています。

2019.11.21  33αは響箱を選ぶ  (旧10.25)

  33αの宇宙律を作り続けています。ようやくメカが揃ってきた感がありまして 軌道に乗ってきた感じです。 33弁を扱ってきて強く思うことは 響箱によって音が天地ほど違うということです。 いつもの同じタイプの箱でも です。 以前にも書いたと思いますが 20弁でうまくいったという響箱をそのまま33弁にも どうせ同じ音域なのだから大丈夫だろう... などという安易な見識で適用すると 大抵は失敗します。 なんと言えばいいのでしょうか 音に“品格”が醸し出せないのです。 ただ鳴ればいい という一般的な響箱では20弁はともかく 33弁にはそのまま適用は難しいと思います。 とにかくチープな音になってしまうこと必至です。 実際にそういう事例は枚挙に暇なしです。 

 なぜそうなるのか? といいますと20弁と33弁のくし歯の性質が違うからだと思います。 20弁のくし歯は充分な体積を有するので比較的懐(ふところ)が広いといいましょうか どんな作りの箱でもそれなりに鳴ってくれるような気がします。 実際に失敗事例は少ないと思います。 音質は“木管系”と呼んでいますが 比較的偶数倍音の多い音でして 箱のもつ諸特性にあまり依存しないように感じます。 もちろんそれは一般的なレベルでの話しで上級を目指す場合は別ですが。  ところが33弁の方は 同じくし歯ブランクから作っているのにも関わらず 音質は全く異なるように感じます。 倍音の範囲が(20弁に比べて)広いといいましょうか 見た目以上に実質的に音域が広いくし歯だと思います。 スペック上では20弁と同じ2オクターブ半であることは同じなのですが なり方の印象は全然異なります。 単にくし歯の体積が小さいせいだけなのかどうかは分りませんが。 ですので響箱の側がチープな受け止めしかできないポテンシャルですと 悲しいほどに安っぽい音になってしまいます。 余韻や倍音の豊かさを生かせない状態と言った方が適切かもしれません。 ですので 私の処の主力の響箱でも厳密に査定すると10台に1台くらいしか最良のなり方の組み合わせは得られません。 多少許容範囲を広げても3〜4台に1台程度の確率でしょうか。 しかし 逆に最良の組み合わせに出会った場合、そのすばらしさは言葉になりません。 オルゴール作っててよかった! 売るのがもったいない! などと思う瞬間に浸れます。 20弁と33弁を両方作っているからこその役得といえるかもしれません。 前述の通り20弁の方はまずマッチしない響箱はありません。 ニュアンスを調整する意味で多少はフタと身の組み合わせをいじることはありますが。 いづれ機会をみて響箱の違いによる音の違いを披露させて頂こうかとも考えています。

2019.11.20  宇宙律の展開  (旧10.24)

  33αオルゴールに暫定的に適用しています“宇宙律”ですが 調律のコツもつかめてきてかなり安定してきました。 相変わらず時間的にはかかる方ではありますが なんとかリラックスしてこなせるようになってきたかな という感じです。 調律は全身体と全神経の全てを集中しての作業になりますので 結局のところリラックス!これが一番大切なことです。 耳も宇宙律的になってきた感があります。 調音の良し悪しは最終的には耳と感覚(体感)で判断しますので体がなれてきたことは大きいです。 実際にオルゴールとして鳴らしてみたときの第一印象もかなり正確な判断材料になってきたように感じます。 そろそろ正式リリースしても大丈夫かな?とも思えるようになってきました。 ただその前にこの音律の発案者の方に最終的な出来を見て頂くというプロセスが残っています。 これまでは途上ということでしたが 最終状態は見て頂く必要があると思います。 厳しいご判断が待っているかもしれません。 その位 奥の深い音のセットなのだと実感します。 宇宙律に出会ったお陰で また新たな領域の音づくりが展開されているという気がします。 オルゴールをやっててよかったと 心から思う次第です。

2019.11.19  ピチ音の解消  (旧10.23)

  以前に書いたことのある 演奏時に発生する “ピチ音” ですが 2系統の発生原因があります。 一つはくし歯の先端の研磨不良。 もうひとつは爪車の先端の研磨不良によるもの。 です。 いづれも研磨不良 つまり先端付近に傷、ないしは荒れがあることが原因ですので これを修正研磨してやれば直るわけです。 今まで恐ろしくてやったことがなかったのですが あまりにもひどいのがあったのを機に やってみました。 結果は “完全には解消しないものの ある程度の効果はある” でした。 やりすぎるとかえって墓穴を掘る結果にもなりかねませんので程々に 恐る恐るやってみました。 なるほどという見識は得られましたので 今後この現象に遭遇した場合は修正研磨作業をやってみようと思います。 20弁では特に低音部の “ソ” の音あたりにこのピチ音が出る傾向にあり、運わるくこの音はよく使う音であるために とても目立ちます。 おそらく先研といわれる研磨工程で使うジグか砥石に傷か減りがあるのだと思います。 目立たない正常なメカも多いので原因は特定しにくいのですが メーカーさんには情報を提供してはいます。 オルゴールは最終的に音を出すアイテムですので 製造上のほんのちょっとした隘路がかなり重大と思えるような現象につながることが多いです。 おそらく製造に携わる人も気づかないことが多いでしょう。 それだけにほんの僅かな問題やその兆候も見逃さない姿勢が必要だと思います。 こんなことに気を使うのは経済的にみれば割りの合わないことなのでしょうが なんとか姿勢を正していきたいところです。

2019.11.18  チャイニート30  (旧10.22)

  昨日の中華製30弁オルガニートですが チャイニート30と名づけました。 まだ使えていませんが サンキョーさんのオリジナルのオルガニートとは作りがだいぶ違うのを眺めて楽しんでいました。 中には “これで大丈夫なの?” と思えるような箇所も散見されますが しばらくは改造等は考えず、ノーマルな状態で使ってみたいと思います。 何年も前にサンキョーさんの30弁用には何曲か作ってみた経験があり、音キャン用のデータも残っていますので 改めてカードにしてみたいと思います。 それから同梱品を見ていましたら2番ギヤーのスペアーが入っていました。 ここがよく飛ぶのでしょうか? このところ製作が建て込んでまして 今日も作業に追われていますので お楽しみ??は少し後ということになりましょうか。 

 外から見たのではわかりませんが 20弁のいわば “チャイニート20” の方は爪車の組部分において 鋼鉄の爪車と軸の間にプラ製のスペーサーのボス部分が設けてあり これがはまり込む形になっていました。 当然プラ部分が摺動されて削れてしまう現象があったのを思い出します。 演奏中に壊れていくのが確認できるほどでした。 30弁も同じ構造なら同じことになるのかな?と想像もしています。 正直いってほぼ普段からクロマな33弁を扱っていますので 今更中途半端クロマな音セットである30弁に真剣に取り組もうとは思いませんが 普段と違うメカニズムに触れてみるのは面白いことだと思います。 チャイニート30 しばらく遊んでみます。 ソフト互換を保った上でサンキョー製とは違う機種が手に入るのはとてもいいことだと思います。

2019.11.17  中華製30弁オルガニート  (旧10.21)

  このところ愛好会のメンバーさんの間でも中華製の30弁オルガニートが流行って??いまして 私もひとつ買ってみました。 ユンシェン社製なのでしょうか? かつての20弁のコピー品と同じ形をしています。 すぐ演奏できるサンプルカードが付属していないようなので音は鳴らしていませんが 姿だけ写真にしました。 手回しの“味”はかなりギクシャク感があり 違和感が大きいようです。 ベースプレートやくし歯の形などサンキョー製をそっくりコピーしたものです。 しかもかなり昔のサンキョー製のものをコピーしているようです。 もっとも30弁は昔のサンキョー製は現物が残っている方が奇跡的なくらい現存していませんので そっくりコピーしてもらった方がいいのかもしれません。 最大の違いは上下のローラー間に板バネによる押さえがないことでしょうか。 これできちんとカードを送れるのかどうか これからやってみますが...  付属のブランクカードを見ると主キーはト長調のようです。 確かサンキョー製はハ長調でしたのでこのあたり違っているのかな?と思って測ってみたら サンキョーと同じハ長調でした。 付属のブランクカードの音名表記は間違っているようです。 最大の長所は安いことでしょうか。 かつてのサンキョー製はかなりの値段がしましたし、現行の33弁もかなり高いですから この価格は魅力があります。 多少のことは目をつむってもいいかなとも思えます。 

 かつてのサンキョー製30弁オルガニートのコピー品ということになるのでしょうが この30弁 クロマチックなのは中音部より上でして 低音部はハ長調のダイアトニック音階になっています。 最低音はドではなくその下のソとファを敢えて入れて構成してあります。 リズムパートを刻むことを意識した配列なのだと思います。 ですので基本的にこのオルゴールはハ長調かヘ長調かト長調で演奏することを意識したものということになります。 音のキャンバスはずいぶん昔に対応していますのでご希望でしたら配布はできます。 20弁のライセンスをお持ちの方でしたらOKです。 パンチマシンは33弁の刃物を流用できるかな?と思われますので 中華製を手にしたこともありますので 自動パンチにも対応していこうと思います。 ともあれサンキョーさんは既にこのオルゴールを生産していませんので 中華製の登場で選択枝が増えることはいいことだと思います。 使ってみたら続報します。

2019.11.16  パンチマシンのオーバーホール  (旧10.20)

  カードパンチマシンの2号機ですが 現在主力で使っています。 このだいぶ使い込んできたせいか Y軸の駆動系にかなり磨耗が激しくなってきました。 刃物は一度研ぎなおししただけですが 先にラック&ピニオンギヤが磨耗したという次第です。 まだ今のところ機能してくれていますので このシーズンの一連の製作が終わった時点でオーバーホールしようと思います。 Y軸駆動系の寿命はだいたい200万〜300万パンチ程度ということになりましょうか。 今度はピニオンギヤーを樹脂製に替えようと思っています。 やはり金属製同士ですと噛みあいの音があります。 Y軸とはオルガニートカードでいうと音高方向に相当する方向で 1パンチごとに刃物台を動かしますのでかなり頻繁な動きをする箇所です。 本来はボールネジというもっと精密で耐久性のある駆動系を採用するのが理想的なのですが 安く作るという観点からラックギヤーを使ったというわけです。 位置決め精度はカードパンチ用途としては充分だと思います。 意外だったのはこのY軸刃物台とベースプレートをつなぐ配線が断線しなかったことです。 激しく曲げ伸ばしされますので早期に取替えになるのでは?と思ってましたが 今までのところ交換を要してはいません。 こうしてマシンとしての寿命や弱点を特定しておくことも 将来この手の機械を広く流布する際に重要なデータになります。 ある種の草分けともいえるでしょうか。 パンチ数やどんな曲をパンチしたか?などは全てpc上にジャーナルに記録する仕組みになっていますので いづれ統計をとって正確な情報は把握しておこうと思っています。 このジャーナルを元に編曲等の著作者の方に印税を支払う仕組みとしています。

2019.11.15  出荷  (旧10.19)

  昨日と今日は出荷ラッシュとなっています。 ラッシ